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【2-1029】落ち着く場所

家の中で落ち着く場所はどこだろうか。

私の場合は、3点ユニットバスのトイレの蓋の上に腰掛け、バスタブのふちに足を置く、このポジションだ。ものすごく精神が安定するので、ここで本を読んだりする。

うちのユニットバスは別段飾り気もない、一面アイボリーの、ごく普通のユニットバスだ。大学生のときに一人暮らししていたアパートのユニットバスとほぼ同じだと思う。そういうなんの変哲もない、物件探しではマイナスポイントとされそうなバスルーム。なのに、なぜかこの場所が私には特別しっくりくる場所なのだ。

理由として考えられるのは、まず一つ目は照明だろう。鏡の上に取り付けられたそれはいわゆる電球色。薄橙色の灯りは、落ち着き、目が疲れない色だそうだ。確かにこの灯りの下でシャカリキに頑張るというのはあまり想像が出来ない。肩の力が自然に抜ける灯りなのだ。

そして、この場所が私にとってしっくりくるもう一つの理由は、時計の針の音だと思う。私は出かける前にシャワーを浴びることが多いので、時間の目安として、アナログ時計をシャワーカーテン用のフックの一番端、ちょうど件の照明の横あたりにかけている。(ちなみに、我が家はシャワーカーテン不使用、無くても特に困らない。)ミスドの福袋に入っていたポンデリングのアナログ時計だ。我が家にある唯一のアナログ時計。バスルームには、常に秒針のカチカチという音が鳴っている。普段、音楽やYouTubeをかけっぱなしにしがちなのだけれど、そういうものを全て切って秒針の音だけに耳を傾ける時間は、どこにも行かないニュートラルな私という感じがする。

バスタブのふちに足をかけ、トイレの蓋に腰掛け、壁に背中を預けながら俯く、この格好はなんだか胎児のようだ。一日に一回はこのポジションに落ち着く。本を読むだけじゃなく、歯磨きをしたり、もちろんスマホを見たりすることもある。

ここが私の落ち着く場所だ。ただいまと帰ってくる場所。自分と向き合うための場所。


いつも見守ってくださってありがとうございます! これからも表現活動、創作活動に勤しんでまいります。 要🍬 小飴