【1124】サードシーズン
ある小さな島の、たった一つの公園。そこにはこの島でたった一本の桜の木がありました。普段から子供たちは決まってそこで遊び、島で花見といえばその公園に集まることでした。
しかし、ある日地殻変動によって、その公園の地面の色んなところが、踏めば崩れていくような弱くて危ない地質になりました。公園全部がそんな危険な場所ではないのですが、踏んでみなければそこが崩れるかどうかがわからないのです。また日々刻々と事態は変化し、昨日はなんともなかった地点も今日には崩れているというようなこともありました。
島の人々は段々とその公園に近づかなくなりました。何が起きているのかわからないし、危ないからです。昨日まであんなに好きだった場所が、今は恐ろしく感じられました。公園をなくしたほうがいいのではないか、そんな声も聞こえました。
人々が公園から離れている間に、偉い人や賢い人のおかげで今何が起きているのか、何をしたら危ないのか、ということが少しずつわかってきました。根本的な解決は出来ませんが、どういう対応をしたらいいのか、色々なお知らせがされました。
そんな中、春が来ました。公園では、まだ、満開とは言えないものの、桜が咲いています。人々は桜を見に行きたいなぁ、と思いました。
「うちの島には桜はあの公園にしかないんだ。あの公園に行きたい。」
「そんなこと言っても、うちの子が地面に飲み込まれたらどうするの?」
「桜を見れたとしたも、無事に帰ってこられるか、わからないんだぞ」
「でも、わしは来年の桜は見られるかどうかわからない。今年が見納めかもしれん。それならば、満開の桜を目に焼き付けておきたい。」
想いは十人十色。そこで、今まで公園を管理していた青年は言いました。
「僕も桜を見たい。今、賢い人がいうには、脆くなっていない地点は把握が出来ているらしい。だから、その場所には木の板で道を作って桜のところまで行けるルートを作ろう。今のところは、その板の道から足を踏み外さなければ安全だ。細い道もあるから、それなりに大変だし、いつまた脆い地点が増えるかもわからない。板ごと飲み込まれることも、もしかしたらあるかもしれない。それでもよければ、一緒に桜の下まで行こう」
青年に続く者、続かない者、それぞれではありましたが、こうして、島の公園は木の板の道の敷かれた公園になり、桜が咲くごとに、その道は多くなったり少なくなったり、北へ延びたり、東へ延びたりしました。公園はどうにかなくなることは免れて、今も島の唯一の公園としてそこにあり続けているのです。
こんにちは、要小飴と申します。
トップには可愛いイラストをお借りしましたが、第三波と言われていますね。そのせいか、私は最近よく今年の春先のことを思い出します。
あれから色んなことが変わりました。
あの頃は色んなところで公演が取りやめになったり、先が見えない状態で延期になったり。そのうちに自粛期間が始まり、なんとなく「明日世界が終わるなら、最後の晩餐には何が食べたい?」みたいなことまでぐるぐると考えることもありました。
あの期間を経たからこそ、今の私たちがあるのです。昨日とは違う今日を受け入れるという経験を、毎日毎日繰り返して、今へとたどり着きました。そして、私たちにはきっと明日が待ち受けています。逆戻りはしない、できないとして、しぶとさを持たなければ、と思っています。これは、精神的な話でね。
今はひたすら、日々の生活と稽古。そして、体調管理です。
それでは、今日はこのへんで。
また明日!
要小飴🍬
いつも見守ってくださってありがとうございます! これからも表現活動、創作活動に勤しんでまいります。 要🍬 小飴