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たかが2年されど2年

衣食住に係わることが好きで、これは誰でもが生きていくのに必要であることだし、好きなものに囲まれて居心地よく快適に、できるだけ丁寧な暮らしをしたいと思っている。
旅は好きで家を空けてあちこち行くことも多いけれど、旅に出ても帰る家があるから出かけられるというのもあるし、自分にとっての居心地のいい空間がやっぱり大事だと思っている。
自分で住む家、住む部屋を選ぶのがとっても好き。

最近だと、5月には引っ越しをしなくてはならなかったため3月上旬から物件探しをしていた。同僚と3人で物件を見に行き、全部で12部屋ほど内覧させてもらった中で、それぞれの希望する部屋がかぶらないといいなと思っていた。
帰りの車の中で、どの部屋が気に入ったかという話になり、面白いくらいに部屋の好みが分かれたのでほっと胸をなでおろした。

その後、まだ時間もあるしコロナの影響でどうなるか様子見といった状況でもあったためすぐには決めずにいて、再度内覧を申し込み確定させる意味も込めてある程度絞った部屋数をもう一度見させてもらった。
2度目に見ると1番気に入った部屋がやっぱり良くて、改めてここに住みたい!!と、その部屋に住んだイメージもすんなりできて、よし、決めた!と思っていた。
木の具合と質感のいい家具、テーブルや座り心地の良い革張りのソファ。キッチン用具も過不足なく揃っていた。シンプルでスッキリとして、かつ機能的な部屋。部屋に入った瞬間に相性がいいかどうかが分かった。
帰ってから不動産屋に連絡をすると、なんと残念ながら他に借り手がついてしまったとのこと…残念過ぎるー。
しばらくして、気を取り直し2番目によかった部屋を告げると、なんとそこも数日前に借り手が決まったとのこと。ここは、まとまりがよくキッチン周りも使いやすそうで、家具も華美でなく質素であるがいい感じの部屋だった。
なんで?うーん…では仕方がない。3番目の部屋か…と乗り気でないまま交渉を始めて少ししてから、避難一時帰国をしなければならなくなり、敢え無く引越しはなくなってしまった。
でも、1番に気に入っていた部屋が借りられないとなった時から、これは今回の引越しはないかもしれないと薄々感じていた。
ご縁がなかったということなのだろう。

以前、久しぶりに会ったある友人に、あなたが前に話していて、とても心に残っている言葉があると言われたことがある。
「たかが2年されど2年。住む家住む部屋は、住む期間に限らず、どこにいたとしても居心地よく過ごす」
それを聞いてからは、期間に限らず自分の住む空間を大事にするようになったと言っていた。

居心地のいい空間を作り、または気持ちよく過ごせる部屋を見つけて、今までにもそうやって過ごしてきたいろんな国の数々の愛すべき部屋たち。
遊びに来てくれた友人たちは皆、私がそこを離れた後も、あの部屋よかったよね~と何度も言ってくれるのが嬉しい。
そこに詰まった楽しい思い出、集まって来てくれる友人たちが大好きだから。
ふるまう料理を考えて作る時間、料理に合うお酒を選ぶ時間、もてなす空間を整え、いつまでも続く朗らかな会話が大好きだから。

そういえば、私の部屋には時計がない。「時忘れの部屋」と呼ばれていた。
だから賑やかな宴は、気づくと日付を超えていることが何度もあったな…こんな時間を過ごせるのって幸せだと思う。

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