女の子はどう生きるか

女の子はどう生きるか 上野千鶴子


・オトナが「伝統」を持ち出したら、答えられないから問いをシャットアウトして、ごまかしているんだと思ってください。


・子どもの世界はオトナの社会の縮図。女の子の色、男の子の色っていうステレオタイプをつくったのは子どもではなくてオトナ。オトナのやることを真似して、子どもたちもステレオタイプを身につけ、そこからはみ出す子どもたちを「ヘン」って排除するんだよね。


・家庭は男女が共に支えるもの、それなら特性教育よりも、むしろ女子には女子の不得意な技術教育を、男子には不得手な家庭科教育を与えるほうが大事、そして男女ともに同じ教育を受ける必要がある。


・どちらかが主役で他方が脇役の人生じゃなくて、主役同士で助け合って生きる人生ってすてきじゃないですか?人生には選択がつきもの、選択には失敗がつきもの。失敗したときにやりなおせるのも大事なこと。そのための最低限の条件が、お母さんのいう「経済的自立」です。


・もちろんどんな人生を選んでも、得るものと失うものの両方があります。ひとはとりかえしのつかないものは、事後的に正当化する傾向があります。


・いまはおばあちゃんの時代とちがって、「お嫁にいく」んじゃなくてふたりが選びあって新しい家庭を作るのが「結婚」。


・ことばは生ものであるだけでなく、ことばは魔物。ことばの呪力によって、支配されたりもします。


・ひとつの制度の裏には、タネもシカケもあります。その制度でいったい誰がほんとうにトクをするのか、考えてみるクセをつけましょう。


・親がいちばんうれしいのは、子どもが自分の犠牲になる姿を見ることではなく、子どもが自由に幸福な人生を送る姿を見ること。あなたの人生の選択肢を狭めないようにしましょう。


・実際に直面するまでわからない、というのが人間の限界。


・自分の力で世の中を少しずつ変えるって、手応えがあって楽しいことだからです。


・男を敵にまわすとソン、って思ってる女性は多そうだけど、男から「やさしいひと」と思われるのは、何でもニコニコ聞いてくれる「御しやすいひと」「つけこみやすいひと」と思われているのとほぼ同じ。


・異文化接触が起きると摩擦が起きます。摩擦からはノイズが発生します。ノイズはだいたい不快なものです。異文化との交渉のなかから、これまで知らなかった新しい知識や情報が生まれます。それを情報生産性といいます。情報のもとはノイズですから、ノイズのないところに情報は生まれません。ノイズはどこに発生するかというと、システムとのあいだに発生します。

じぶんというシステム、家族というシステム、社会というシステム……あらゆるシステムは、効率よくまわすために、できるだけノイズの発生を抑えるしくみを持っています。

一つのシステムのなかに安住していると、情報は発生しません。

見たこともない現実に立ち向かって、答えのない問いにとりくまなければならないのです。そういうときに必要なのは、複数のシステムが出会うこと、いくつものシステムに足をかけること、違うシステムを積極的に受け入れること……です。




この間久しぶりに東大の祝辞を読んで、涙が出た。

世の中には、がんばっても報われないひと、がんばろうにもがんばれないひと、がんばりすぎて心と体をこわしたひと……たちがいます。がんばる前から、「しょせんおまえなんか」「どうせわたしなんて」とがんばる意欲をくじかれるひとたちもいます。

そうなんだよね、「がんばれること」ってある程度の恵まれた環境があってこそのことなんだよね。

がんばっているひとを報いてあげたいし、がんばれない人には寄り添って安心させてあげたいし、がんばろうとしている人とは伴走したい。

自分がはどうしたら「がんばれる」環境を作る一役を担えるのか、そんなことを改めて考えたいと思った。

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