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ゆらり旅ログ*岡山県倉敷市水島

岡山県南部に位置する倉敷市は、県下では岡山市に次いで人口第2位。

倉敷は、観光地として有名な歴史的景観を誇る「倉敷美観地区」と、日本を支える重工業の一大地区「水島コンビナート」という、相反する二面性を持っています。

鷲羽山水島展望台からコンビナートを見下ろす。
ざっくりコンビナートの説明をしている看板


打って変わって美観地区。

水島コンビナートは総面積約2500haという広大な空間に石油精製、鉄鋼生産、自動車などを中心に200を超える事業所がひしめいています。
日が落ちてから鷲羽山から見下ろす工場群は不夜城そのもの。「全国夜景100選」に選ばれる絶景だとか。

水島地区は、戦前、漁業と干拓農業を主とするのどかな村だったそう。
1943年に岡山県が「農業県から工業県への脱皮を図る」ため、軍需工場「三菱重工業水島航空機製作所」を誘致したことから、工業化が始まりました。

三菱重工業水島航空機製作所では、海軍の航空機を製作していました。戦後は大型船の入港のために改定を浚渫(改訂を削って水深を深くすること)し、発生した土砂で海を埋め立てて工場用地としたそうです。

水島周辺には玉島、亀島、連島など「島」のつく地名が多いのですが、それらはもともと海に浮かぶ島だった名残なのだとか。

確かに、鷲羽山から見下ろすと、平らな埋立地の中に、いくつか不思議とこんもりした小山が点在していました。
あれぜんぶ島だったんですか!
さすが瀬戸内海。

まっすぐ延びる道の向こうに見える小山。

戦時中は多くの朝鮮人が軍需産業の労働者として駆り出されていたとか。
手配師さんのような人が企業と繋がっていて、その人に人材募集をかけると、日本中から人が集まったそうです。

戦後は九州からの出稼ぎ労働者がコンビナートで作業に従事していました。
そうした方たちが引退後も身寄りがないまま水島に住み続けているため、身寄りがなく、独居の方が多いそうです。

現在公園になっている亀島山。大戦末期にはここの地下に工場がありました。
トンネルを掘る傍で、飛行機部品も同時に作っていたそうです。
2024年7月現在、中に入るには「守る会」への予約が必要です。

緑に覆われた亀島や町か工場入口。
緑に覆われた亀島や町か工場入口。


まったく手を入れていない内部。

亀島山の下を縦横無尽にトンネルを掘り、全長は2キロ余り。

掘り進めるのは朝鮮のかたと決まっていたようで、中には女性もいたのだとか。

箆取神社は車で行くと、「えっここ車で入って大丈夫?」みたいなてっぺんにあります。登ったらバックで下らないといけなさそうな不安がよぎりますが、細い道路の終点にパーキングがありました。よかった。
天武天皇の時代から鎮座していたという箆取神社。本殿へと続く回廊は長く趣があってご機嫌です。

少し登ったところで振り返り、ぱちり。
見晴らしもいい。


地域の名産は、みかんとレンコンだそう。

地元の方に聞いたら、みかんは、近隣に学校ができてから水の流れが変わったようで、木が育たなくなったと言ってました。
手入れをせずに放置されている木が多くなったとのこと。

青々とした実をつける木。みかんってこんな早くから実がなるの?

一方でレンコンはいまだに健在でした。

一大工業地帯のお隣に、どーんと広がるハス畑。

ハス畑の遙か遠く向こう側に建物が見える。
ハスの花のつぼみ。凜としていて神秘的。
ハスの浮き葉と立ち葉の間は、ちょっとナウシカが落っこちた腐海っぽい。神秘的。
家と家の間の狭い空き地にもハス。


圧巻でした。
ハスの花が咲くのは6〜7月かな、この時期に倉敷に来たら、ローカル文化見学地としては必見かも。

このあたりに住んでる子どもたちは、家の間にハスが生えてるの当たり前だと思ってるんだろうな……。

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