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トヨタの対EV戦略はカーボンニュートラルの最適解?!

カーボンニュートラルに向けて欧州では2030年にガソリン車販売廃止を発表。世界の自動車業界が電気自動車へのシフトに動く中、トヨタ自動車が独自の路線を打ち出した。記事

トヨタが本来得意とするハイブリット(電気とガソリン両方で動く車)の製造をやめないというのだ。真にカーボンニュートラルなのは、電気自動車かそれとも?


自動車業界のカーボンニュートラル部門に異動したばかりの私が新人目線で分かり易く解説します!

電気自動車は本当に「脱炭素?」

ライフサイクルアセスメント(LCA)という視点で見ると分かり易い。

LCAとは製品を作るのに必要な原材料の採掘から製造、エンドユーザーの使用、廃棄に至るまで、いわば「ゆりかごから墓場まで」のCO2排出量を計算する手法だ。車の種類ごとにLCAを比較してみると、製造時と発電所で排出されるCO2排出量が多い電気自動車は、必ずしもエコとは言えない結果となった。(走行条件は年間1.5キロ×10年間) (EV:電気自動車、PHV:プラグインハイブリット車、HV:ハイブリット車、ガソリン:ガソリン車)

PHEV EV比較 1.5万キロ年

トヨタが目指すのはサステナブル(持続可能)でプラクティカル(実用的)なエコカー

トヨタ自動車が発表したのは、「水素から作るe-fuel」「バイオ燃料」といった「脱炭素燃料」を従来のガソリン車やハイブリット車(HV)、プラグインハイブリット車(PHV)と組み合わせるという考え方だ。

車両製造時のCO2排出量が少ないガソリン車、HV車、PHV車が走行時の排出量もゼロに限りなく近づくとなると、LCA視点では電気自動車よりエコという事になる。さらに面白いのが、一定量のe-fuelをガソリンに混ぜて使用する事で、今街中を走っているガソリン車の走行時CO2排出量をPHV車並みにできるというのだ。

世の中のエンドユーザー全員が電気自動車に乗り換えるのには何十年も時間がかかる。ましてや中古車市場もある。「脱炭素燃料」と今のガソリン車を組み合わせるやり方が、プラクティカル(実用的)であり、サステナブル(持続可能)である。というのがトヨタの考え方なのだ。

真のカーボンニュートラルを示してくれる「ライフサイクルアセスメント」

自動車でカーボンニュートラルと言えば電気自動車!

このイメージが先行している中、本当にカーボンニュートラルなのは何か?をあぶりだしてくれるのが「ライフサイクルアセスメント(LCA)」という考え方。車からモクモク出されている排気ガスだけではなく、「揺りかごから墓場まで」生涯で排出するCO2に目を向けると、そこには全く違う世界ある。

さて、欧州が電気自動車へ傾く中、トヨタはライフサイクルアセスメント視点でどう戦うのか。以後注目していきたい。

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