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金石のソウルフード“ゲンゲ”をジャエビのおつゆで堪能する

 金石でのゲンゲに対する反応は3つに分かれる。「こんなに旨いもんはない。」と言う人もいれば、「子どものとき食べさせられたけど、どうしても苦手やった。」という否定的な反応もある。もう1つはおもに他地域から金石に来た人たちのもので「金石ではこんな気持ち悪いもん食べとるんや。」というものである。今でこそ全国区となり高級魚扱いされることもあるが、一昔前までは主に海沿いでしか消費されず、商品にならない下魚扱いであった。

 先日地元近くのファーマーズマーケットでゲンゲが並んでいて、古希になろうかという夫婦がその魚売り場を遠巻きに見ていた。私がゲンゲのパックを手に取るとその夫婦がすうっと近寄ってきて調理の仕方を教えてくれと言う。車で30分ぐらいの所に住んでいるのだが、その日は珍しいものがないかとはるばる海の近くのこの店にやってきたらしい。近所では見かけない食材を見つけたがどうやって食べればいいのか分からない。ゲンゲのパックを手にする人を待ち構えて私に声をかけたのだろう。
 ちょっと考えておつゆを提案した。ぶつ切りにしてたっぷりのお湯で湯通しする。別に出汁をとっておいて醤油で味付けし下処理したゲンゲを放り込んで出来上がりとお伝えしたが、果たして気に入っていただけたであろうか。


 “ゲンゲ好き”にとっては調理法もこだわりがある。湯通しする派としない派。ダシとらない派、鰹昆布ダシ派、昆布ダシ派。コショウ振る派と振らない派。金石では醤油の澄まし汁が主流だが、金石外では味噌汁にするところもある。
 今回紹介するのは漁師がよくやるジャエビをダシにするやり方だ。底引き網で一緒に網に入るゲンゲとジャエビの組み合わせである。ジャエビでなくてもガスエビでも良い。エビが多すぎるとゲンゲの味が壊れる。最後の醤油も香りづけぐらいの少量にとどめた方が素材が生きる。とにかくあるものでシンプルにそして繊細に旨いものを作るという海の上のご馳走である。

ゲンゲとジャエビのおつゆ
1 ゲンゲは頭と内臓を取りブツ切りにする。お好みで湯通しする。
2 お湯を沸かしゲンゲとジャエビを入れて塩と醤油で味付けする。

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