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「先輩と話そう@多文化共生ゼミ」を開きました!

国際日本学部ではほとんどの教員がゼミナールを開講しており、60ほどの多種多様なゼミを、3年になった学部生は自分の興味関心に合わせて履修しています。この2022年がゼミ開講の最初の年になりました。

多文化共生ゼミ(担当:熊谷謙介)は外国語学部時代の2013年度から行っているゼミで、アジアからヨーロッパ、日本のさまざまな地域に関心がある学生が学科を超えて集まり、多文化共生をめぐって、宗教や言語教育、人種差別などについて考え続けているゼミです。最近では民族の問題だけでなく、ジェンダーや障害、コミュニティの問題など、ゼミ生の関心は多様化していて、ゼミのディスカッションの進行をする立場から見ても、毎回勉強になっています。

2022年6月20日(月)、このようなゼミを作ってほしいという声をあげてくれた、いわばゼミを作った先輩である太田貴さんに、「先輩と話そう」というイベントでお話をしてもらいました。太田さんはこのゼミを卒業後、日本の大学院や技能実習にたずさわる仕事をした後、現在ではマニラのフィリピン大学の博士課程で、日本とフィリピンの関係をめぐる研究を続けています。最初、zoomでフィリピンから参加してもらおうと思ったのですが、なんと一時帰国をしてお話ししてくれました!

太田さんからは、大学時代の経験について話してもらった後、自らの日比「ハーフ」から見えてきた経験や、国際結婚について、一人ひとりの当事者への聞き取りから見えてきたこと、メディアでは報じられにくい技能実習制度の多様な側面について、レポートしてくれました。

最後に、コロナ期におけるフィリピンや国際交流の状況に触れて、現ゼミ生に向けてのメッセージをいただきました。就職活動に入りつつある時期を迎えた学生たちにとって、多様な仕事の現場を見てきた先輩の一言は、心に刻み込まれたものとなったように思います。私(熊谷)自身、ゼミを卒業したあとに、太田さんが日本とフィリピンでしてきたさまざまな経験を想い、少し目頭が熱くなりました。

学生からの質問では、「ハーフ」という呼称や、以前別の授業でふれられた、フィリピンのミンダナオ島などがテーマにあがりました。下に、今回の話を受けての、学生からのコメントを紹介します。

日本で育つ外国につながる子どもや若者が、自らのルーツと向き合うことはどういうことなのかを太田さんの経験から知ることができました。外国につながる若者の進学、特に高校から大学への進学の壁がいまだに厚い中、大学では確実にミックスルーツの学生たちが増えているということに驚きました。[…]また、フィリピンでの話だけでなく、面接の時の重要なポイントなど、今悩んでいる私たちにとても良いアドバイスを頂き、嬉しかったです。

1番印象に残っていることはJFC(日本人とフィリピン人の間に生まれた子どもたちJapanese-Filipino Children)についてです。父親がいないこと、認知してくれないこと、会えないこと、いるのに一緒に暮らせないこと、父親が別の家族と暮らしていることなどは、JFC の子どもたちの心に、とても大きな傷をつくっているのだとわかりました。またそのせいでいじめられたり、差別的な扱いを受けていることも知りました。子どもたちがどのような状況に置かれているのか、何が問題となっているのかを学ぶことができましたが、私たち日本人はJFCの存在を知るべきであり、理解を深めることが重要だと思いました。また、JFCについて考え直さなければならないと思いました。

「ハーフ」という言葉について、当事者の声を聞くことが大切だとおっしゃっていたのがとても印象に残りました。「ハーフ」という言葉がステレオタイプを生むなど、そう呼んでほしくない人もいれば、そこに大切なアイデンティティや誇りを抱いている人がいるなど、個人様々であるということに気づかされました。また、このことは、「ハーフ」という言葉に特別ではなく、ジェンダーや出身地など、自分自身のアイデンティティを形成する様々なものに関わってくると思いました。

太田さんの話を聞いて、フィリピン人と日本人の国際結婚について詳しく知ることが出来ました。実際フィリピンと日本人の擬似恋愛では従来のステレオタイプに当てはまらないものも多かったりと自分の想像していたものとは違っていて意外だと感じました。他にもフィリピンでは婚外子の問題もあったりして私の知らない現状を知り、深く考えさせられました。

これからもこのような話を聞く機会やフィールドワークを、重ねていきたいと思います。太田貴さんには今回はありがとうございました! (熊谷謙介)


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