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旧伊勢屋質店台帳プロジェクト その6

 神奈川大学国際日本学部歴史民俗学科の学生が、跡見学園女子大学の学生と共に、文京区指定有形文化財である旧伊勢屋質店の展示コーナーの制作に取り組んでいます。展示は2024年2月から公開予定です。実施にあたっては跡見学園女子大学地域交流センター、テイケイトレード株式会社埋蔵文化財事業部、地元の地域の方々などが連携して取り組む計画です。
 今回は、その1その2その3その4その5に続いて、その6をお届けします。

文化財の防災イベントを企画、参加しました!

 1月26日の文化財防火デーに合わせて、文京区指定文化財の旧伊勢屋質店にて、防災イベント「菊坂子ども歴史探検隊~どうやって質屋を守る!?防災のヒミツを探してみよう!~」が開催されました。今回は台帳プロジェクトから少し離れて、1月27日に開催されたこのイベントについてご紹介したいと思います。
 イベントでは、跡見学園女子大学の学生と一緒に、旧伊勢屋質店に見られる防災の工夫について説明した後、地域の消防士さんをお招きしてお話を伺い、消火器訓練や子ども用消防士ユニフォームでの記念撮影を行いました。イベントは地域の菊坂町会の方の協力のもとに開催され、子どもたちや近隣住民の方など、たくさんの人が参加してくれました。

防災の工夫の話

 伊勢屋質店は1860年に創業した質屋で、現存する建物は見世と土蔵、座敷などから成る古い建物です。それでも関東大震災(1923)や東日本大震災(2011)に耐えてきました。また、古い建物ですが、建物や質入れ品を守るための工夫として、「目塗土(めぬりつち)」があります。土蔵前の廊下の床下に土を収納しておき、火災のときに火が燃え広がるのを防ぐため、建物の隙間を土で埋めるというものです。イベントでは実際に床板を外し、この目塗土を見学しました。

目塗土の見学

 消火器訓練では、空気が吹き出す訓練用の消火器を使用して、火を模した的に向けて当てていました。消火器を持ち出してピンを外し、ホースを火元にむけてレバーを強く握る、という一連の流れを確認しましたが、中には消火器の扱いに手間取ってしまう人も。消防士さんのお話によると、火を見て慌てて消火器のピンを抜いてしまい、駆け寄っていく間に噴射してしまうことで、実際に消火するときには中の粉末が足りなくなってしまう場合があるそうです(一般的な消火器は約17秒間噴射されるそうです)。落ち着いて行動し、初期消火に努めることが重要だと感じました。

消火器訓練

 消防士さんのお話によると、常日頃おびえながら過ごす必要はありませんが、実際に自分が地震や火災にあったら、という想定をしておくだけでも、いざというときの行動に違いが出るそうです。絶対に安全だと考えず、避難場所や避難経路を確認しておき、自分自身で助かる方法を考えておくことが重要になります。1月1日の能登半島地震で、建物の倒壊も火災も既に甚大な被害を出していることが報道されていますが、まだ不明なことも多いです。現在も避難をされている方は、寒さ・健康や二次災害に気をつけて過ごしてほしいと思います。

(歴史民俗学科2年 大屋恵実子)


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