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「FYS」で横浜能楽堂を見学しました!~日本文化学科の授業紹介

 神奈川大学では、初年度前期に必修科目として「FYS」という授業を行っています。授業内容としては、大学生活で必須となるレポートの書き方やパワーポイントの作り方、プレゼンテーションの実演などを行っています。高校生の科目に置き換えると、「総合」の授業に近いかと思います。

 「FYS」での授業内容は学科によって異なる部分もあります。今回、日本文化学科では「横浜能楽堂」の見学を行いました。
 横浜能楽堂に着くと、まずは能舞台を正面に見る観客席に座らせていただきました。そこで、舞台や楽屋の見学に先立ち、観客席に座って職員の方から横浜能楽堂の歴史や、能についての詳しい説明を聞きました。能舞台の構造をはっきり見る機会はそうないため、貴重な経験をさせていただきました。 

 その後、控室に案内していただき靴下から足袋に履き替え見学をスタート。足袋を実際に履いた経験のある学生も少なく、苦労しました。

 実際に、舞台上に上がったり、橋がかり(舞台裏と舞台をつなぐ橋)を渡ったりしました。日頃の舞台鑑賞では見ることのできない、舞台裏や、鏡の間なども見学しながら、学生たちは職員の方に質問を投げかけ、能への理解を深めます。
 また、場幕が上がる際にかかる掛け声「御幕(おまく)!」を実際にみんなで声に出すことで、能舞台の気分を味わいました。

 その後、能で使われる装束や扇子、囃子方の笛や小鼓、大鼓、太鼓などの展示も拝見し見学は終了です。

 今回、実際に能楽堂に足を運ぶことで、能についての歴史だけでなく、能舞台の手触りや足から伝わる振動、鏡板の白梅の美しさ、香りや閑寂な雰囲気を感じることができました。
 また、舞台にはほこりひとつ落ちていませんでした。私たちは、この横浜能楽堂の見学を通して、日本の文化である「能」を守っている職員さんたちの思いにも触れることができたのではないかと思います。

 このように日本文化学科では、学校周辺の文化施設等を利用したフィールドワークを積極的に行っています。実際に五感で感じることで深まる学びを、これからも大切にしていきたいと思います。 

(国際日本学部日本文化学科1年A.N.)


以下、その他の写真や感想を、まとめて掲載します。

能楽堂の中に入るとすぐに木の香りがして、神聖な空気を感じました。鏡板の松の塗料が一部剥落しているなど、何度も練習と公演がなされたと分かる点も観察でき、間近で歴史を感じました。

・実際に見た能舞台は映像で見るよりも迫力がありました。能楽堂の方が仰っていたように松竹梅が描かれているめずらしい鏡板を見ることが出来て良かったです。

・建築に使われている木材について、古くて変えなければいけない部分のみ新しい木をはめ、できる限り古い木を残そうとしているとの説明をきいて、歴史を感じるとともに、その歴史を大切にすることがとても魅力的だと感じました。

道型の舞台(「橋懸り」)をより長く見せるために松の高さが異なっているところや僅かな傾斜があるところなど細かく作り込まれていることに感動した。

・注目した所は、能舞台にある「橋掛り」という部分です。単なる通路ではなく、「幽界」と「現世」をつなぐものとなぞらえるなどの使い方もあるといいます。「橋掛り」は能役者がゆっくり登場する過程で、観客の注意力あるいは心を引きつけ、さらに現実の世界から「劇の世界」に渡る「儀式」を行う場所なのではないかと思いました。

舞台の上にまで上がらせてもらえる事はなかなか無いので、木の感触や舞台に立って見たときの視点なども体験できてとても楽しかったです。舞台にあがり演者からの視点を体験したところ、お客さんの座る席との距離がとても近く、前方の席だと迫力がすごいと感じました。また、少し舞台が高いので、上から見ると広く全体が鑑賞できると感じました。

・私が横浜能楽堂の舞台で1番興味を持ったのは「鏡板」に描かれていた絵です。どの舞台にも松は描かれていると思いますが、横浜能楽堂には、昔の所有者の名残として梅も描かれている日本でも珍しい舞台でした。……また、控え室では、太鼓の面を炙るための火鉢が用意されており、演じる役者さん達だけでなく、お囃子の方や楽器など全て含めて、1つの「能」なのである、ということが強く感じられました。

主役が能面をつけて役に入り込む心をつくる「鏡の間」は神秘的であの大きな鏡と向き合えば心が変わるというのも納得でした。死者の通る橋(「橋懸り」)が舞台にはあり、あの世のものも行き通うとはどんなものなのか益々能の物語に興味を持ちました。

・舞台にある柱(「目付柱」)は能面を付けたら視界が狭くなるため、目印としてあると聞いた。能面の視界は、軽く握り拳を作って覗いたくらいだと教えてもらい、実際に舞台に上がらせてもらったとき試したが、柱を目印にするのも難しいくらい場所の判断が出来なかった。ほぼ見えない状態で舞うことは想像できないほどの稽古が必要なのだろうと実感させられた。

能楽堂を見学したなかで、5色の「揚幕」が特に印象に残っています。私は揚幕の開閉を実際にやらせていただいたのですが、想像以上に重たく、また演者のタイミングも計らないといけないため、とても責任重大な役割だなと感じました。

・中学生の頃に修学旅行で京都の能楽堂に行き、能と狂言を鑑賞したことはあったが、舞台の仕組みや装束・装飾品・絵画が持つ意味まで説明を受けたのは初めてで、非常に興味深く感じた。昔は屋外で演じられていたことから、屋根を作り、石を敷くなど、その名残が今もなお残っており、当時の人々を想像しながら説明を聞いていた。今回の能楽堂見学を通して新たな学びを得ることができたため、是非また演目を観に能楽堂に足を運びたいと思った。

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