日プシーズン2 #4 無限大 感想【前編】
グループバトルで圧倒的な存在感を放った無限大1組VS2組のカード。この記事ではその様子を前後編に渡って振り返りたい。
さて、記事のサムネで察した人も多いと思うが、私は無限大に関しては断然2組派だ。誰に何と言われてもこの気持ちは決してぶれない。
もちろん1組も素晴らしかった。けれども私は2組の6人が織りなすストーリーと化学変化にすっかり魅了され、2組に対する非常に強力な推しフィルターがかかってしまった。もはや実力だけによる公平な判断ができないほどだ。
そのため2組について書きたいことが多すぎて、前編では終始に渡って無限大2組のドラマを語ることにとなってしまった。
※無限大1組について語った後編はこちらから
※放送前の期待を綴った短めの記事
私が無限大2組に魅了された理由
なぜ私はこんなにも無限大2組を好きになったのか。それは彼等6人の見せたストーリーに心が熱くなったからだ。
日プS2を始めとするオーディション番組の見どころは、練習生のパフォーマンスそのものだけではなく、そこに至るまでの過程にあると私は考える。
葛藤の末成長した姿を見せることができた練習生は、時として圧倒的な実力を持つ練習生以上に魅力的に映る。日プS1から具体例を挙げるなら、OVER THE TOP2組の本田康介や、たらい回しの末やんちゃ組に迎えられた大平祥生だろう。
苦しむ仲間に手を差し伸べる練習生もまた同様だ。日プS1の白岩瑠姫はその代表とも言えるだろう。
無限大2組の物語はまさにこの黄金パターンにはまった。
思い悩む練習生、そんな彼等に寄り添うチームメイト、そこからの成長が見事に描かれていた。
特筆すべきは一部の練習生だけではなく6人全員が物語の鍵を握ったこと。記憶にある限りではS1でもそんなグループは滅多に無かった。
古瀬直輝の心遣い
全員が主役と言っても過言ではない無限大2組ことSIX PLANETSの6人だが、MVPを与えるなら古瀬直輝だろう。
パフォーマンスでも安定感あるダンスと歌でチームの核となったが、彼の評価を最も上げたのはチーム内での立ち回りだ。
それが特に見られたのがミーティングの場面。
小堀柊の「自分が足を引っ張っているからサブボーカル2のパートを変えた方がいい」という発言を受け「すっごい甘いと思った」とあえて厳しい言葉をかけた。
そこで突き放して終わるのではなく「この無限大SIX PLANETSのサブボーカル2は柊しかおらん」と小堀の背中を押してあげるのも素晴らしい。
この言葉が小堀の本音を引き出した。発言のタイミング、内容ともに完璧だった。
リーダーでもないのに嫌われ役を買って出たのは小堀に対するもどかしさだけでなく、田島将吾の負担を肩代わりしたいという気持ちがあったところも注目したい。
チームの課題、それを克服するために自分のすべきことを理解しているからこそあの発言に至ったのだろう。結果嫌われるどころか感謝されたのは古瀬直輝の人徳だ。
自分さえよければいいでとどまらず、グループ全体の課題を見つけ改善策を見出す能力。これは絶対グループに必要だ。デビューする11人のリーダーになってほしい練習生を挙げるとするなら間違いなく古瀬直輝だ。
小堀柊の憂鬱と成長
このグループで一番成長したのは小堀柊で間違いない。
上手く歌えないことのもどかしさを吐露する場面は、危なっかしい言い回しで見ているこっちも冷や冷やしたが、「自分の歌に納得していない。けどどうすれば上手くなるか分からないから教えてほしい。でもそこに時間を割くのは申し訳ないと思っていた」という趣旨の悩みを打ち明けられた点は褒めてあげたい。
そもそも彼は再評価テストでCからFへ降格するも、へこたれずにレミフラのダンスと向き合ったマインドの持ち主。
だからこそ「選んでもらったからには絶対力になる」という彼の言葉は間違いなく本心から出たものだ。
途中自分の殻に籠ってしまったのは「チームの力になりたいけど迷惑はかけられないから、自分一人でどうにかしよう」という不器用な考えから来てしまったのだろう。もはやその不器用さすらも愛おしいと私は思ってしまった。
ミーティング後は目覚ましい成長を遂げ、本番では歌もダンスも見違えるほどに仕上がった。
だが伸びしろはまだまだある。何よりKEN THE先生に絶賛されたラップという最終兵器がまだ残っている。
#3終了時点では36位という危うい順位にいるがどうか残留してほしい。彼の成長物語をここで止めてはいけない。
四谷真佑の葛藤
実力不足に悩む気持ちは四谷真佑も同じだ。グループ決めでは指名権を勝ち取る強運ぶりを見せたが、ダンスだけでなく得意な歌まで上手くいかない現実に思い悩む一面を見せた。
ミーティングを経るまでそれに「気づけなかった」と田島将吾に言わせた点は、それだけ不安を悟られないよう気を張っていた証拠だろう。
ここで見せた葛藤は歌にも活きた。自分やチームを鼓舞するようなの歌い方は藤牧京介とは違う魅力があった。安定感はさすがに藤牧の方が上だが、曲とマッチしている点では贔屓目もあるが四谷の方に軍配を上げたい。
#3終了時点の順位は43位。残留してまた彼の歌を聴きたい。
ムードメーカー小林大悟
バラバラだったチームを一つにしたミーティング、この名場面をセッティングした小林大悟にも注目したい。
何しろ真っ先に話し合いを田島将吾に提案したのは彼だ。
そのミーティングで辛い胸の内を明かした練習生をフォローする姿勢もいい。年上の四谷真佑に対しては、上目遣いをしながら「頑張りましょうよ」と声をかけ、年下の小堀柊にはミーティング後グータッチをした。
円陣の途中、古瀬直輝が堪えきれずに涙を流した時も「言っちゃってくださいよ、吐き出しましょう」と寄り添った。それがあの名言「悔しかった、よ」を引き出した。
グループ内で中間の年齢に位置する彼が見せた立ち回りは、間違いなくSIX PLANETSの絆を深めるのに一役買っている。
そんな小林は「ダンスの経験が少ししかない」とのことだが、とてもそうとは見えない表現力を持っている。ステージ上で見せるギャップは練習生でも1、2を争う。次の評価でも大化けしてほしい。
余談だが、SIX PLANETSの掛け声「ファイヤー!!!!!!」は恐らく彼の1分PRから来ている。こういうところが彼の愛される理由かもしれない。
西島蓮汰のストイックさ
西島蓮汰も意識の高さが充分に伝わった。
小堀柊にたどたどしい言葉遣いで「練習しててネガティブな考えが多くて、その気持ちが理解できない」と投げかける場面があったが、それは韓国で練習生をしていた経験があるからだろう。
練習でも表情の作り方などディテールにまでこだわるストイックさを見せた。その姿勢があるから「自分が思う何倍も(練習を)してから、できなかったって言わないと」という言葉が出てきたのだろう。
彼の気迫あるパフォーマンスは、自分に厳しく努力をするから生まれるものだと感じた。田島将吾と繰り出すラップもすっかり板についている。
田島将吾の優しさと信念
そしてこのチームの核となった田島将吾。これまで練習生の中心的存在として全体を引っ張っていた彼が初めて思い悩む様子を番組内で見せた。その根底にあるのは優しさだろう。
1組のパフォーマンスに圧倒されグループ内に重い空気が漂った場面、彼は不安を悟られないよう密かに一人になった。その理由も「リーダーの自分が立てた計画のせいで皆を不安にさせてしまった」と、メンバーではなく自分のせいだというのがいじらしい。
その後の菅井先生とのレッスンでは、1組を見てから不安を感じている点を言うことができたが、理由までは言えなかった。菅井先生にそれを指摘され「あー...」と考え込んでから理由を述べたのも、メンバーが傷つかないか気にかけているからだろう。
ミーティングでも、チームメイトを否定しない優しさが目立った。
小堀柊のサブボーカル2変えた方がいい発言の際は一番に意見を言った。重苦しい空気の中、田島はまず小堀がちゃんと成長している点を挙げ、そこまで追い込まなくてもいいと励ました。
それでも最後「うーん...」と言い淀んでしまったのは、本当は小堀に対して甘さを感じていたからかもしれない。それを言い出せない優しさは時として弱点にもなるが魅力でもある。
ミーティングの終わり、六人で円陣を組む場面では「柊!」と声をかけ、小堀の決意表明を引き出した。最後までメンバーのフォローを忘れない優しさがそこにあった。
円陣で田島が語ったことは、まさに彼の人間性を体現している。
「ずっとそうだったけど、「勝利」の文字しか頭にないから本当に。俺もみんなを信じてるし、みんなも俺を信じてほしいし、死ぬ気で、頑張りましょう!」
自分を信じる強い気持ちと仲間を信じきる優しさ。それが田島将吾の信念であり、彼の熱いパフォーマンスを作り出す原動力になっている。
この言葉を聞いて私は彼に託したくなった。やはり田島将吾は一位でデビューしなきゃダメだ。
無限大2組に関する総評
このチームはまさに奇跡ともいうべきバランスで成り立っていた。
小堀柊の本音は田島将吾の優しさと古瀬直輝の厳しさの両方が揃わなければ引き出すことができなかった。そんな二人の想いに小堀が有言実行で応えたことでドラマはさらに熱くなった。
古瀬の存在は田島にとってもありがたかったはず。彼がいなければプレッシャーを全て背負いこんでに押しつぶされていたかもしれない。
小林大悟は年長者二人や落ち込むメンバーのフォローに回り、西島蓮汰はストイックに練習に打ち込むことで士気を高めた。何より「奇跡」と評された四谷真佑の人選がなければこの化学反応は生まれなかったはずだ。
さて、無限大2組の物語の解説はここまで。後編では無限大1組の様子や両チームの対戦結果を中心に振り返りたい。
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