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ガラスペンの思い出

エルバンのガラスペン
15年くらい前、誕生日にプレゼントされた。
当時の彼氏と交際を始めて1ヶ月くらい。
嬉しかった。
インクも一緒にくれた。
エルバンのトラディショナルインクは、定番から珍しい色まで35色揃っている。
その中から彼が選んでくれた二色。
BLEU NUIT ナイトブルー
ROUGE OPERA オペラレッド
どちらも深みのある素敵な色だった。

今は陶器のお香立てに入れている。ぴったりサイズ!インクで汚れたりもしない。



彼と出会ったのは大きな書店だったんだけど、私がショーケースに入っていたガラスペンを見て「綺麗だね」と何気なく言ったことを覚えていて、選んでくれたこと……。
それが嬉しかった。

彼と別れても、ずっとこのペンは大切にしていて、使ってない時でも一番使う引き出しにしまってあった。
別に彼に未練があったわけでもないけれど、見る度に嬉しかったから。

そして15年経った今、いつの間にかガラスペンブームがきていて、なんとセリアでも売ってると知った。
私は久しぶりにガラスペンを取り出した。
15年の間に万年筆の沼に落ちていたから、インクはいくつも持っている。
懐かしい、ずっと使っていなかったけど、どんな書き味だったっけ?
ノートにペン先を走らせる。
そうだ、このかりかりした音、なのにひっかかりのない書き心地、指先がまだ覚えている。
使わなくなったのは、壊しそうで怖かったから。
でも、今なら使いこなせそうな気がする。理由は無いけど。

最近モーニングページかジャーナリングかわからないようなものをやっているので、これからはガラスペンで書こうかと思った。
またこのガラスペンを使えるのは嬉しいから。

ついつい新しいインクも買ってしまった。
『夜桜』という色名。
ピンクでもあり紫でもあり、のような感じで、液色が薄い。
心の中の事を書くにはちょうどいいかな。
いずれはラメの入ったインクも欲しい。
万年筆には使えないようなインクでも、ガラスペンなら安心だ。
使い終わったらサッと流水でインクを洗い落とすだけ、というお手入れの楽さも私には合っている。

ノートはコクヨのリングノートだ。リングが柔らかいやつ。裏写りもしない。以前は高価なノートを使っていたけれど、このくらいが書きやすい気がする。ノートの価値は、紙質とかじゃなく、書く内容による。

あの頃の気持ちをそのままにしておきたくて、新しいガラスペンは買わなかった。可愛くて素敵なものはいくらでもあるのに、壊れるまではこれだけを持っていたい。

これは、彼の後つき合った人たちには内緒にしていたお話。
彼にはもう伝える術もないけれど、ずっと心の支えにしていたんだなぁ、と今頃になって思う。
今でもペンを走らせる度、あの嬉しい気持ちを思い出す。



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