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ストリートファイター6が意外と運指練習になるかもしれない話

 タイパーアドカレ2023の2枠目がまだかなり空いてたので、思いつく範囲で少しずつ埋めてみます。この記事は4日目の枠で、私(かり~)の記事としては1つ目になります。
 前日の記事は中村信さんの「Клавогонкиの遊び方について(導入〜開始まで)」。ロシア語タイピングを練習できる貴重なサイトを紹介されているので、インテルステノの多言語タイピング部門に挑戦される方や、いつもとは違うサイトで英語・数字などを練習してみたい方はぜひ読んでみてください。

ストリートファイター6とは

 さて、タイパーのみなさんはストリートファイター6(以下「スト6」)をご存知でしょうか。有名な格闘ゲームのシリーズで、今年6月に最新作が発売されました。
 今作はかなり初心者でも遊びやすいように作られていて、たとえば一人用の「ワールドツアー」モードではオープンワールドを歩き回りながら少しずつ格闘ゲームの操作に慣れることができますし、チュートリアルなどもかなり充実しています。
 
 なかでも一番特徴的なのは、従来の「クラシック」操作だけでなく、「モダン」操作が選択可能になったことです。「モダン」操作では、今まで煩雑だった必殺技がワンボタンで出せるようになりました。
 これまでの格闘ゲームはまず必殺技のコマンドやコンボを練習して、自由に出せるようになってようやく相手との駆け引きが楽しめるものがほとんどでしたが、「モダン」操作によって購入したその日から対戦ゲームの一番楽しいところを遊べるようになりました。
 敷居が格段に下がった結果として、REJECTやCrazy Raccoonが主催したスト6のストリーマーイベントはかなり盛り上がりましたし、Vtuber界隈でも「にじさんじ」では事務所内の大会であるKZH CUPの開催、さらに「ホロライブ」内でも多くのライバーがスト6で遊んでいるので、そうした配信を目にしたことがある人もいるかと思います。

スト6の購入
 そんなわけで、格闘ゲームには手を出してこなかった私もついに半月ほど前、11月下旬のセールのタイミングでスト6を購入してしまいました。
 ちなみにストリートファイターを最後に触ったのは「ZEROシリーズ」が最後で、20年くらいブランクがあったので迷わずモダン操作を選択。初日で「ゴールド」ランクまで上がり、翌日には神戸で開かれていたオフライン対戦会でわちゃわちゃ楽しんできました(ちなみに使用キャラはルーク)。

モダン操作からクラシック操作、そしてタイピング操作へ……

 購入から3日後には順調にプラチナランクまで到達したものの、実は個人的にはモダン操作よりもクラシック操作の方が楽しく感じたので(モダンが悪いわけではなく、あくまで個人的な価値観によるものです)、ゲームパッドでのクラシック操作へと早々に切り替えました。
 ただ使っているゲームパッドが1500円くらいの安いものだったので、コマンドミスが頻発するなどクラシック操作で遊ぶにはかなり不満も出てきました。そんなわけでAmazonで色々とゲームパッドを探したのですが、ここ最近の円安や物価高、またスト6が発売された直後ということもあって価格が高騰しており、なかなか気軽には買えない値段でした。しかも1万円くらい出したとしても自分にあうかどうかは触ってみるまでわからないという問題もあります(このあたりはタイピングにおけるキーボード選びと同じですね)。

 そんなわけでゲームパッド以外のデバイスも含めて色々と調べてみると、意外とキーボード操作が強いらしいということを知ります(唯一の欠点はオフラインでキーボードを2台繋いでの対戦ができないくらい)。
 そこで試しに触ってみたところ、意外と必殺技も出せるし、案外動かしやすいことに気づきました。そんなわけで、10日ほど前からキーボードで操作してスト6をプレイしています(使用キャラはジュリ、今のランクはゴールド5です)。

 ……というわけで前置きだけでかなり長くなりましたが、ここからはスト6をキーボード操作するうちに「この動きはタイピングにも活かせるのでは?」と感じたところをいくつかピックアップしていこうと思います。2018年のタイパーアドカレでたのんさんが「タイピング力が向上する音ゲーについて考えてみた!」という記事を書かれていましたが、格闘ゲームも思ったよりタイピング力向上に役立つのでは?という感じの話です。

 なお、この記事ではなるべく格闘ゲームを知らない人でも読めるように書いていきますが(そのぶん厳密ではない記述も出てきますがご了承ください)、ここでタイピングにおける「kpm」と同じくらい重要なキーワードとして「フレーム」という用語だけざっくり説明しておきます(ちゃんとした説明はカプコンさんのこの辺とか読んでください)。
 フレームとは、アニメや映画などでいう「コマ」のことです(「コマ送り」とか言うときのコマですね)。格闘ゲームの場合、1秒間は60コマで構成されています。この1コマのことを「フレーム」といいます。つまり1フレームは60分の1秒、約0.017秒になります。説明がわかりにくければこの「1フレーム=60分の1秒」ということだけ覚えておいてください。
 また、キー設定は基本的にデフォルトの状態で表記しますが、ジャンプボタンだけ「スペース」キーに割り当てています(プロゲーマーも使用する「レバーレスコントローラー」に操作感を近くするためです)。

1.昇龍拳

 「昇龍拳」はストリートファイターの代表的な必殺技の一つで、飛んできた相手をジャンプアッパーで迎撃する重要な技です。「→↓↘」とパンチボタンを押すことで出すことができます。
 少し裏技的な入力方法になるのですが、キーボードの場合は左手で「D」「S」「スペース」キーをずらして押し込み、スペースと同時に右手でパンチボタン(「U」「I」「O」のいずれか)を押すことで出すことができます。 これらの動作を1フレームずつ押すことで理論上は3フレームで昇龍拳を出すことができます(実際は万能ではない入力方法ですが)。

 最速で入力するのはかなりシビアなのですが、スト6はトレーニングモードもかなり充実していて、各入力に何フレームかかったかが表示されるので、その都度確認しながら練習することができます。

 色々と格闘ゲームの説明を端折ってしまっていてかなりわかりにくいので理解する必要はありませんが、一応説明しておくと、この場合は下から順に「D」を押してから2フレーム後に「S」を入力、さらに1フレーム後に「スペースキー+パンチボタン」を押しているということになります。要するに「D」と「S」の間が2フレーム空いてしまっているので、さらに1フレーム早くする余地があるということです。
 このずらし押しをひたすら練習している感覚は、TypeLighterを突き詰めている感覚にかなり近いですし、「1フレームずつ正確にズラして押す感覚」はタイピングの1ストロークで打てる文字列をぶっ込む感覚に活かすことができるように思います。(1ストロークというのは、今年の司さんのアドカレ記事の言葉を借りれば「実質1打鍵理論」が適用されるチャンクということです)

2.前ステップ

 前ステップというのは、対戦相手がいる方向に素早く駆け寄る動作のことで、通常の入力では「→、→」と入れることでステップをすることができます。
 キーボード入力の場合いくつか裏技的な方法があるのですが、最も効率の良い入力方法は「D」キーを押しっぱなしのまま、「A」キーを一瞬押してすぐ離すというものです(後ろステップの場合は逆に、「A」キーを押したまま「D」キーを押して離す)。
 まずタイピングにおいて「何かのキーを押しながら別のキーを押す」という動作は小指のシフトキー以外ほとんど機会がないと思いますが、実際にやってみると指の独立性を育む上でかなり有用です(ピアノ教本の『ピシュナ』などがこのアプローチですね)。
 さらに「A」キーを押して離す、という動作ですが、一番大切なのはいかに速く離すか、というところです(Aキーを押したタイミングではなく、離したタイミングでステップが成立します)。

 この画像でいうと、Nとなっているところが「A」キーを押して離すまでにかかったフレームです。かなり早く入力したつもりでも、押してから離すまでに3フレームもかかってしまっています。
 タイピングにおいて「指を下ろす速度」を意識することはあっても「指を上げる速度」を意識することはあまりないように思います。それが実際の入力速度にどれだけ効果があるかはわかりませんが、普段タイピングでは練習しない部分を意識できるのはかなり興味深く感じます。

3.スーパーアーツ

 スーパーアーツとは、溜めたゲージを使って出す特別な必殺技のことで、今風の言葉でいえば「ウルト」のようなものです。
 キャラクターによってスーパーアーツは異なるのですが、ほとんどのキャラクターでは「S」「D」「S」「D」の交互打鍵、あるいは「S」「A」「S」「A」の交互打鍵となります。特に「中指と薬指の交互打鍵」を最速で入力するのはかなり難しいので、いわゆるトリルの動きを練習するいい機会になります。

4.インパクト、パリィ

 細かい説明は省略しますが、スト6には相手の動きを見てとっさに押す必要がある特殊なボタンがいくつかあります。その代表と言えるのが「ドライブインパクト」ボタンと、「ドライブパリィ」ボタンで、私は左右の小指で押せる場所に設定しています。具体的には左小指で「左Shift」、右小指で「P」のキーを押しています。
 この2つはどんなときでもすぐに押せることが望ましいので、小指は対戦中、常にキーの上に置いています。小指を微動だにせず常にキーの上に置いておくには案外指の独立性が必要で、地味ですが意外と指のトレーニングになっている気がします。

最後に

 色々と書いてきましたが、最後に身も蓋もないことを言ってしまえば、「タイピングの動きを練習するにはタイピングが一番」ではあります。
 ただしフィジカル面でのトレーニングは成果が出るまでにかなり時間がかかるものです。たとえば私の場合はピアノの教則本を使った指のトレーニングを取り入れていますが、数ヶ月、あるいは1年くらい同じ練習を繰り返してようやく効果が実感できるということもザラです。
 フィジカルのトレーニングはどうしても地味なもので、一般的に飽きられがちだと思うので、たのんさんの記事の音ゲーにせよ、あるいは楽器や格ゲーにせよ、自分が楽しいと思える趣味で鍛えることができるならそれに越したことはないとも思います。

 ……そんなわけで、もしこの記事を読んでストリートファイター6に関心を持った方、あるいは実はこっそりストリートファイター6を持っているよ、という方はぜひお声掛けください。対戦しましょう。
 最近は個人的に、スト6のオフライン対戦会に遊びに行ったり、ボイチャしながらのオンライン対戦などをする機会が増えたのですが、タイピングにせよ格ゲーにせよ誰かとワイワイ対戦している時間が一番楽しいな、ということを改めて実感しています。

 なお、1月5日までSteamやPlaystation Storeなど各ストアにて34%オフのセールが実施中です。元々がフルプライスのゲームで少々お高いですが、格闘ゲームの1タイトルは比較的長く続きますので(たとえばスト5→スト6は約7年)、ストリートファイターに興味のある方はこの機会にぜひどうぞ(Steamではデモ版もダウンロードできます)。

 本日の記事は以上です。想定よりかなり長くなってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございました。次のタイパーアドカレ、5日目の記事は「経県値マップを全クリした話」です。


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