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狂気のなんでなんで期

親子揃ってしんどかった、長女のイヤイヤ期がだいぶ落ち着いてきた。いやぁ、ほんっと、しんどかった。無論、今も三歳児なりの「ごもっともな」主張でわーわー泣き喚く事はあるものの、暗黒期は抜けたと思われる。人間、成長するもんだ。

イヤイヤの次にやってくるのは、「なんでなんで期」らしい。
育児書だか育児サイトだかでその存在は知っていた。曰く「お子さんの疑問にはちゃんと対話して答えてあげましょう」との事。
ふむ、なるほど。魚はどうして水の中にいるの?空はどうして青いの?…そんな「なんで」に、ちゃんと対応できるようにせねば!と、育児の現実を知らぬ当時の私は意気込んだのである。

我が家の三歳児もイヤイヤ期を乗り越えて、ご多分に漏れず、やってきました「なんでなんで期」。それにしても、個人差あるとはいえ、ある程度同じような流れで情緒が成長していくから人間っておもろいな。

しかし、蓋を開けてみて愕然とする、このなんでなんで期。
「公園行くよー」
「なんでー?」
「遊びに行くんだよ」
「なんであそぶのー?」
「車で行こうね、はい乗るよ」
「なんで、なんで車で行くのー」
「ご飯食べるよ座って」
「なんですわるの、ねぇなんでトマトあるのねぇなんで」
「……」
「ねぇなんでーなんでー
なんでなんでなんでなんでなんで」

んぬぁぁああぁあぁあぁぁ
思ってたんと、ちがぁあぁああぁう!!!!

こちらの回答にたたみかけてくる、なんで攻撃。もはや狂気、真っ向勝負していたらこちらの精神が崩壊する。
逆に聞きたい、なんで?何でそんなに「なんで」なの?
最早、言葉の持つ意味は無いのだ。とりあえず出てくるのが「なんで」なのだ。
お恥ずかしい話だが、あまりの攻撃にこちらも怒れてきて「あんまりなんでなんで言わないで?!理由はないの!こうなるの!」と本気で返した事もある。
冒頭の「ちゃんと対応してあげよう!」という意気込みを思い返すと、情けないものよ。でもこれ、無理じゃない?無限ループじゃない?相手が何を望んでいるのか、そもそも答えなんてないじゃないか。

昨日、公園で遊んでいると、そんな「なんでの申し子」からコソっと
「ウンチ出た…」との報告。あらま、と多目的トイレへ。次女をおんぶしつつのオムツ替え、君はいつまでオムツなんだいそれにしてもココでウンチかよ、と悪戦苦闘していると、長女が一言。

「なんで長女ちゃん、ウンチ出ちゃったの?」

「………。」

こっちが聞きたい。我が子とはいえ嬉しいはずもない、下の世話をさせられながら、答えのない問いが脳内をぐるぐる巡る。

なんで、ウンチ、出ちゃったの……


その後も、多目的トイレにある緊急呼び出しボタンについて
「なんで押しちゃダメ?なんで押しちゃダメ?」と30回ほど繰り返す娘を完全に無視しつつ、トイレを後にした。
ねぇほんと、なんで?

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