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彼が見る夢は たいていが悲しい

旦那氏が
明け方、悲しい夢を見たのですって。
ふだんは夢をほとんど見ないけど
見るときはたいてい、悲しい夢。
私がいなくなるとか
私が 愛想を尽かすとか
私が 誰か他の人にとられるとか…………
そんなのばかり。

でも今朝のは少し違って


私が 3〜4歳くらいの女の子を抱きしめて
微笑んでいるのに 泣いている。
涙を流しているのに
優しい笑顔をしている。


…………そんな夢。

悲しくて苦しくて 目が醒めて
隣で眠る私の髪を撫でた。


私はそんな気配に気づきもせず
髪を撫でられたので浅く眠りから醒めて
旦那氏の腕に寄り添った。


ごめんね、と旦那氏は言った。


ごめんね、と言われる理由は いくつもいくつもあるけれど

ごめんね、と言わせてしまって ごめんなさい……と
私は思っていた。
思ったけれど 言わなかった。

謝り[合戦]になっては
ただの自己満足だから。





運命は そのほとんどが必然なの。

『仕方がない』のではなく

あの有名なパパが言うように
『これでいいのだ』なの。


これでいい。


これがいいとの違いは
[正解は誰にもわからない]から。


いつも歩く道の
優しい木陰を作ってくれる木が乱暴に切り倒されてしまって
旦那氏もきっとそれを見たはずだから
心が傷ついているんだと思う。


私もショックで息を呑んだ。




今夜は温かい煮物にしよう。


彼が泣くから 私は泣かずにいよう。


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