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"きっかけ"になりたい

こんにちは。カナ・ノワール堂の音海奏乃です。

今日は、最近気が付いたことについて、少しお話をさせていただきますね。

ハンドメイドは仕事……?

よく、やるからにはお金を稼げないとだめだ、みたいな表現や、初期投資を少なくして利益を大幅に上げるコツ、などを見かけます。先日お話ししたように、家業が洋服屋だったので、大学でも経営学部に進み、仕事とは何か、というのは嫌というほど学びました。

そんな環境だったので、ハンドメイドも、仕事として取り組むようになったのですが、そこで違和感を覚えます。もちろん、製作した作品に責任と、ちょっとの自信はあります。利益がどうとか、原価がどうとか、生きていく上ではそういうことが必要だということも、わかっています。

詳しい話は別の記事でお話ししますが、仕事と、楽しむ気持ちの葛藤から抜け出すのに、私は4年の歳月がかかりました。ちょうど、お店が閉業し、自分のハンドメイド品を自分で売る方法を確立しなくては、という焦りと責任感が最高潮だったころからはじまって、つい最近まで、その答えは出せませんでした。

原因を探し続けて三千里

そんなこんなで、"売れない"という深海に突き落とされ、ここで初めて、ネットと実店舗の差を痛感したのです。もともと、人見知りだった私は、「そんなんじゃ店は継げないな」と言われるくらいでした。なので、直接お客さんに商品を進めることは出来ず、後ろからこっそりと家族が頑張っている背中を見ることしかできませんでした。

つまり、「今まで売れていたのは家族が頑張って売ってくれていたから」という考えになっていき、自分の作品への自信を失っていったのです。ここでさらに負のループにはまっていくのですが、きっかけは、魔の検索エンジンのはしごです。そう、売れない原因はなんだ、それを直せれば、と、どんどん深みにはまっていき、ダイオウイカに逢えそうなくらい沈みました。

私の悪い癖は、他人のことを考えすぎること、お金の心配をしすぎること、出来なかったときに自分を責めがちになることの三拍子。トリプルコンボを決めてしまった以上、そこから浮かび上がるのは至難の業でした。でも、一方で地道に努力ができる、諦めない、表現を楽しめる、という良い癖も、もっていました。そのおかげで、試行錯誤を繰り返し、トライ&エラーで壁の下に穴を掘って抜け道を探しながら(?)今日まで生きてきました。

決めるのは、あなたです

よく聞くセリフだな、と思ったそこのあなた。私もそう思っていました。けれど、何気なく見ていた朝ドラで放たれたその言葉が、今まで以上に心に刺さります。きっとそういう、タイミングだったんですね(タイミングについても後ほど別の記事で!)。

他人のことを考えすぎる私は、「こんな表現で伝わってるかな」「おすすめは押し付けにならないかな」「コーディネート例なんて誰も求めてないかも」とやっぱりどんどん後ろに引っ込んで、やどかりのようになっていました。けれど、あのセリフが心に届いて、「あ、そうか!」と殻の外に出ることに成功しました。

そう、決めるのは、あなた。だとすれば、私はその"きっかけ"になりたい! と前向きに捉えられるようになったのです。深海にさしてきた、まっすぐで明るく、でも不思議と柔らかい光に、迷わず手を伸ばしました。そうして生まれたのが、"きっかけワード"という、説明文の最後に書かれた単語たちです。そのワードをきっかけにアクセサリーと出逢って、その人の物語が始まるきっかけになりたい。そういう思いで、はじめてみたのです。

やどかりも、いいじゃない

そっと出てきては、何か感じるとすぐに引っ込むやどかり。ちょこちょこ動いては、居場所を探して、安心できるところを探しています。ちっちゃくて、おどおどしていて、弱そうだなぁ、なんて印象を持つ方もいるかもしれません。でも、やどかりだからわかることもあるんです。さめにはさめの、いかにはいかの、やどかりにはやどかりの世界がある。同じ世界で暮らしているまだ見ぬ仲間の気持ちがわかる気がするんです。思い過ごしかな、という気もしますが、そうであったらいいな、という希望も込めて……。

例えば、素敵なものを見つけたとき。お洋服屋さんで、気になる服を見つけたとき。あなたは「かわいい、これください!」「試着してもいいですか?」と言えますか? 私は言えません。なんと、やどかりに申し訳ないくらいに引っ込みます。どうしても"あと一歩"が踏み出せない。だめだなぁ、自分……と思う時もありましたが、今は違います。

「悩んでいるのは私だけじゃないはず」

そう、だから、岩陰に隠れているかにも、砂の中に隠れているヒラメも、興味がないわけじゃなくて、"踏み出す勇気がほしい"のかもしれない。だからそういう人たちの"きっかけ"にもなりたいなと思っています。無理に引っ張り出すのではなく、「出てきたくなったら出てきてね」と、待つスタイルになりました。だって、無理に引っ張り出されたら怖いから。

いつか、同じ世界感を好きになって、いいな、欲しいな、買ってみよう、と思ってくださる方が表れる日まで、たくさんの"きっかけ"を用意して待っていたいです。

長い文章になってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます!

たくさんのご縁がつながるきっかけになれますように……

音海奏乃

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