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コロナ禍における音楽

2000年代頃から日本の音楽業界が総売上で徐々に苦境に入っていったことは、プロで現在も活躍されているミュージシャンの方から直接お聞きしたことがあります。誰もが知っているアーティストを支えている人たちですら、かなり苦しいんだと驚いた記憶があります。
日本は不況が長引き若い世代の可処分所得も減り、モバイルとインターネットがさらに普及するにつれ、他の娯楽との競争にもなり、音楽自体の単価もさらに下がっていきました。総売上は落ちる一方であったのは間違いありません。

ただ音楽業界の縮小はこれだけが原因ではないとずっと思っていました。
出す音楽の質が明らかに落ちていきました。
個性のない曲が増え、更に売れない悪循環の中で、今度はアイドルの握手会が特典のCDが売上上位を占めるようになりました。音楽は使い捨てになり、目先の利益を追うだけになってしまいました。今はそれも飽きられつつあります。

そしてコロナ禍が来ました。
これはライブ(主にグッズ販売など)で何とか食いつないでいた音楽業界に大打撃となっています。
まさに今の音楽業界は収入源を更に減らしつつあります。
コロナ禍は2022年1月現在、収束の気配はありません。

しかし音楽自体のニーズが減っているわけでは決してないと思います。
現にChange.orgに載せた、EXILE ATSUSHIと清木場俊介(SHUN)の2016年のライブのダイジェスト公式動画2本は視聴回数を順調に伸ばし続けています。5年以上前のライブなのに毎日コメントが増え続けています。
ステイホーム中に動画を見る時間が増え、彼らの音楽に触れる機会を得た人がたくさんいるのです。懐かしく思えた人も、初めて聴いて衝撃を受けた人もいて、もっと聴きたいと多くが感銘を受けています。

音楽の単価が下がり、コロナ禍でライブ開催が自由に行えず総売上が上がらない現在、音楽業界はよりドラスティックな動きが必要なのではないでしょうか。

商業音楽はどうしても自社の利益を守り、売れなければならないのは理解できます。
ただ近年の日本の音楽業界は本当にリスナーの声を真摯に聞いて、音楽を提供してきたでしょうか?
商業の基本に立ち返るのならば、本当にニーズに合わせた音楽を提供してきたと胸を張って言えるでしょうか。ニーズに合わないものを作っても売れないのはどの業界にも言えることです。

一方でアーティストやクリエイターが表現したい音楽と、売れる商業音楽とはどうしても相反する部分があるのは否めません。
アーティストが自分が表現したいと思う気持ちやその表現方法は内(うち)から出てくるものだからです。多くの人に受け入れられるか、世の中のニーズに合致しているかまで客観的に見ることはそう簡単ではないでしょう。

でもコロナ禍で窮地に置かれている日本の音楽業界を救うため。
疲弊している日本の社会で奮闘している人たちにエールを送るため。
せめて多くの人が聴きたいと声が上がっている音楽活動を実現してもらえないでしょうか。


古い慣習を打ち破り、時にはプライドやこだわりを捨てるべきではないでしょうか。
特に音楽業界のトップランナーたるレコード会社や音楽事務所、アーティストは率先すべきです。

もし何もしないまま、自分の取り分やプライドだけにこだわるのなら、日本の音楽業界はこのまま先細り、末端のスタッフや会社が減り、コロナ禍が収束しても業界全体の立て直しが難しくなると思います。なぜならコロナ禍で苦しい業界は他にもたくさんあり、厳しいようですが、お金と人材は少ないパイの奪い合いになるからです。裾野が狭くなると若い才能も育ちません。

日本の音楽業界は今こそエンターテイメントの原点に立ち返ってほしい。
エンターテイメントは「みんなを楽しませる」ことに尽きるはず。
みんなが聴きたいと思う音楽を聴かせてほしい。

2022年はコロナ禍の収束を待っているだけではなく、日本の音楽業界に携わる全ての人たち、特にトップランナーを自負している方々はぜひみんなが聴きたいと声を上げている音楽を実現してください。
ライブは制限されたままかもしれない。
だけどインターネットやSNS等で多くの人が聴きたい音楽は把握しやすくなったはず。
みんなが待っている音楽を音源で届けるだけでも、多くの人たちの心を支え、勇気づけることができるはずです。
多くの人を勇気づければ社会全体が活気づき、巡りめぐって音楽業界もまた元気に復活できることでしょう。

コロナ禍は間違いなく国難です。世界中が国難だと言っても過言ではありません。
この国難を乗り切るために、みんなが聴きたい音楽がいま必要です。
2022年はみんなが聴きたい音楽が提供されてそれがブレイクする、そんな予想を、もとい期待を強く持っています。


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