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監督・脚本・撮影 上田義彦『椿の庭』(後編)


(DVD)『椿の庭』
監督・脚本・撮影 上田義彦
2021年劇場公開作品
発売・販売元:インターフィルム
本編128分


掃除機をかける渚に、絹子が「渚、玄関もお願いね」と声を張る。姿見の前で白い夏の着物に薄緑の帯を締める絹子とそれを笑顔で眺める渚。玄関のチャイムが鳴り、「は~い」と階段を降りる絹子と渚。もう一度、絹子の「は~い」。玄関には白いシャツにベージュの上着を着て、パナマ帽を被った男性が。絹子の夫の友人(絹子の友人でもあった)幸三(こうぞう=清水紘治さん)。(絹子がめかしこんで浮き浮きしていたのは、この人の来訪を心待ちにしていたから)。昔を懐かしむふたりの会話。「たしか後楽園に遊園地ができて、それでジェットコースターに乗ることになって」「私よ、乗りたいって言ったのは」「そうだった、僕たちは反対したんだよ」(お茶を運んでくる渚)、「私が『怖がり』って。だって子供だって乗ってるんだから」「いやいや『怖い』ってわけじゃないんだよ」「幸三さんたら、あの時と同じことを」「だいたいね、あんなものは大の男が乗るもんじゃないんだよ」「まあ、ずいぶんな負け惜しみ。だいたい男なんて、いくじがないんだから」「それでとうとう絹子さん一人で乗ることになって、両手離して、わーわー叫んでたね。これは大瀬(?)もずいぶんお転婆さんを選んだもんだって、内心、心配してたんだよ」。レコードに針を落とす絹子。(流れてくる音楽は、1965年のヒット曲、The Brothers Fourの《Try ro Remember》だという)。夫・友人の思い出を語り合うふたり。海に何艘もの白い帆のヨット。


帰り際、日傘をさしかける絹子に幸三が言う。「陶子さんから聞いたよ、この家の話」「そうですか。いつか何かの本に書いてあったこと。記憶って場所や物に宿っていて、ある場所に行くと突然、思い出したり、物を見ると思い出すみたいなことって、そういうことって、あるわよね。そうしたら、もし私がこの家から離れてしまったら、ここであった家族の記憶やそういうものすべて思い出せなくなってしまうのかしら。そしたら私は、今の私ではなくなってしまうわねぇ」と語った絹子が、ふうっと幸三の腕の中で気絶してしまう。「絹子さん、絹子さん」と呼びかける幸三。駆け寄って「おばあちゃん、おばあちゃん」と呼ぶ渚。

息を切らして家の玄関へ駆け込む陶子。2階で布団に横たわる絹子のそばに陶子と渚が座り、陶子が「お母さん」と呼びかける。「来てたの」と応える絹子。「びっくりしたわ、幸三おじさんから連絡、いただいて。渚と一緒に病院までついてってくださったて。お医者様は『心配するほどのことはない』っておっしゃったって。張り切りすぎて疲れたのよ」、うなずく絹子。「おばあちゃん、けっこうはしゃいでた」と渚。陶子が帰る。窓辺で外を見つめる絹子。海。

雨の日、絹子の家を訪れる男性ふたり。黄(ファン)と戸倉(=田辺誠一さん)。戸倉は黄(ファン)が仲介する家の買い手で、今日は下見に来訪。部屋の天井を眺める戸倉に、黄(ファン)が語る。「この部分は、明治時代に京都の農家を移築したものです」。うなずく戸倉。縁側を渡り、2階へ上がろうとする戸倉に、「今日は2階をお見せすることはできません」と黄(ファン)。ガラスコップに氷を入れ、麦茶を注ぐ渚。蟬の声。扇子で顔をあおぎながら、縁側にしゃがんで「雨がすっかり上りましたね」と戸倉。青空に松葉の緑。お茶を運ぶ渚。戸倉の感嘆の声。「しかし素晴らしいですね、庭も手入れが行き届いていて、とても気持ちがいい。それに海がこんなにきれいに見えるなんて」。戸倉にお辞儀をする渚に、いとまを告げる黄(ファン)。「大瀬さん、われわれはそろそろ。おばあさまにはまたお電話を差し上げますと伝えてください」。ふたりが家を後にする。2階の寝椅子にまどろむ絹子。広い海に小さな白い船が一隻。

銅製のバケツに蛇口から水が注がれ、スイカが冷やされている。「ただいま、暑い~」とハンカチで首を拭きながら帰宅する渚。青い着物に薄い黄色の帯、襷掛けした絹子が障子を簾戸(すど)に入れ替えている。渚が冷えた水を飲み干し、2杯目をグラスに注ぐと、花盛りの萩が風にそよぐ。渚が絹子を手伝う。簾戸がなかなか敷居にはまらない。来客。「測量にまいりました」。庭へ回って縁側の絹子に挨拶する測量会社の男性ふたり(=宇野祥平さん、松澤匠さん)。「この奥からはじめさせていただきます」という言葉に絹子が冷ややかに返す。「今日ですか、明日だと思ってました」。絹子が踵を返すと、怪訝そうなふたりが庭の奥へ。絹子がレコードに針を落とす。チェロとピアノの静かな曲。(簾戸はうまくはまったのか)。先ほどの活気を失う絹子と渚。絹子は薬を飲もうとして、流しに捨ててしまい、水だけを飲む。測量される庭。

スイカをザクッザクッと切り分け、夕方、藤棚の下のテーブルについている渚のもとへ運ぶ絹子。どうやら渚はスイカが苦手の様子。「葉子(渚の母で絹子の娘)と同じなの、そんなとこまで似なくてもいいのに」。スイカを口に入れる絹子に渚が尋ねる、「おいしい?」、「あまい」。海の波音。日が暮れかける。

(別の日か、海の波音は連続しているのに、渚の服が違っている)。自室のベッドに座り、『新実用日本語』という大判のテキストを見る渚。絹子は自室で小物の整理。夫の腕時計のネジを巻き、左手にはめてみる。封筒から1枚の写真を抜きかけてすぐに戻す。青い箱に収められた赤ん坊の小さな靴。便箋に万年筆で何やら書き、折りたたむ。渚がベッドでノートに何か書いている。窓を開けているのか、レースのカーテンが揺れる。

松葉と芭蕉の葉の向こう、海を背景に立つ背の高い二本の椰子の木。下の方の葉は枯れている。花束を抱え、緑色のワンピースを着た陶子が訪れる。仏像に合掌し、何か呪文のような言葉を呟く。持参した白百合を花瓶に生ける。そこへ絹子。「来てたのね」「ただいま」。絹子が仏像の左手にあった花瓶を右側に移し、その跡に陶子が白百合の花瓶を置く。仏壇に線香をあげながら、「9月の半ばなのに、暑いわねぇ」という陶子を、絹子が団扇であおぐ。庭に金木犀が咲いている。「としゆきさん(陶子の夫?)にも心配かけてるわねぇ」「いいのよ、あの人、のんき者なんだから」。「そんなことより、この頃、具合どう?」「大丈夫、見ての通りぴんぴんしてる。お薬が効いてるのかしらね」。「お母さん、本当にいい?」「ええ」とうなずく絹子。「もう決めたから。税理士の黄(ファン)さんがいい人見つけてくれてね。その方、若いんだけど、この家を大事に使ってくれるって言うのよ」。(張 震(チャン・チェン)さん演じる黄(ファン)は、税理士だったのか)。「渚にはこのことは?」「ううん、まずはあなたにと思って」。うなずき合うふたり。そこへ「ただいま」と渚が帰ってくる。「おかえり~」と陶子。「おばさま?」。「あれ、ちょっと見ないうちにまたきれいになった。ますます姉さんに似てきたわねぇ」「そうかなあ、来るって知ってたらもっと早く帰ってきたのに。今日、泊まれるの?」「そうしなさいよ」と勧める絹子に続けて、「そうしなさいよ」と渚。「あら」と笑い合う絹子と陶子。陶子が自宅に電話する。芭蕉と椰子の木、海。

椅子に座り、窓から外を眺める陶子。庭の緑。絹子も椅子に腰掛け団扇をあおぐ。絹子の背後から遠く、海を望むショット。夕方、1階の座卓に集う三人。ワインか梅酒? グラスを合わせる。日暮れの海。虫の泣き声。「これはね、初めてお父さんが買ってくれた指輪。当時のお給料じゃあ、ずいぶん頑張ったわよねぇ」「それほどお母さんにぞっこんだったってことよ」「『ぞっこん』?」と渚。「惚れて惚れてしょうがないってこと」と陶子。「これは、あなたが持っていて」と指輪を陶子に渡そうとするが、「まだ、お母さんが持ってたほうがいいわよ」「あなたが持っていてくれると安心なのよ、だから持っててちょうだい」。「これは、渚、あなたに。私がパリへ初めて行った時に買ったブローチよ」。

枕を並べる陶子と渚。「渚、眠れない?」「おばさまも?」。「お母さん、少し興奮ぎみだったね」「うん」。「部屋もずいぶん整理してるみだいだし、いつからやってるんかなぁ」「私も驚いた。私のいない時、ずっと一人でやってるのかなぁ」。渚のほうへ顔を向け、「渚がいてくれてよかったぁ。姉さんが駆け落ちして日本を出た時、本当に悲しかった、腹も立ったけど、渚の顔見たら、それも消えたわ。姉さん、ちゃあんと、しあわせだったのねぇ」「そうだといいなぁ。お父さんが亡くなってから、お母さんとふたりだけになったけど、お母さん、いつも笑ってた。あの日はお母さん、お友だち夫婦と三人でドライブに行ったの。出かけるとき、とってもはしゃいでた。今日のおばあちゃんみたい。山道で事故にあって、まだお母さんだけ意識があって、病院で、最後に『ごめんなさい』って言ったの」「きっと渚を一人にすることを謝ったのね」「ううん、違う、日本語で『ごめんなさい』って」「はああ」と溜息を漏らす陶子。「姉さんも母さんたちも、お互いに……、いつかまた元に戻れると思って」「だから私、ここにいるの」「ありがとう」「うん、おやすみ」「うん、おやすみ」。夜の海に月が浮かぶ。

青空に白い雲。テキストを音読する渚。「歌はどうして作る。じっと観(み)、/じっと愛し、/じっと抱きしめて作る。/何を。/『真実』を。/『真実』は何処に在る。/最も近くに在る。(庭の花、蝶、金魚のカット)/いつも自分と一所に……(椅子の背に被された二つの麦わら帽子のカット)/いつも/自分と一所に……」。(調べると与謝野晶子の詩だった)。青い海と空、白い雲のカット。

新聞を広げて読む絹子と渚。「昨日の東証株式市場、平均株価は、……」と音読する渚に、絹子が目を向け、「すごーい、すらすら読めるようになったのねぇ」と褒める。渚が読めない「銘柄」という漢字の読みを絹子が教える。庭師たちが庭の手入れをする様子を眺める絹子。窓ガラスに飛蝗。

流しの排水口についている白い粉に気付く渚。ゴミ箱に薬の包紙を見つけ、絹子の薬袋を確認する。黒い着物で庭に出て、奥のほうへと歩く絹子を、渚は2階の窓から見る。

紅葉する山。庭の落ち葉に風。ガラガラ、「ただいま」と沈んだ声で帰ってくる渚。絹子が渚に、「ねえ、あとで庭、掃いてくれない? 落ち葉が溜まっていて……」と言う。「イヤ」と小さく言って、どこかへ行ってしまう渚。風が強まる海。ためらったのち電話の受話器を取る渚。(陶子へか?) 先方が出るとすぐに電話を切ってしまう。お茶を2つ入れ、絹子が夫に話しかける。「ねえ、あなたはいつもそう、葉子の出産の時も陶子の時も、直前に出張でいなくなるし、タイミングが悪いんだから、肝心な時にいないのよ」。椅子の背に掛けられた2つの麦わら帽子(夫と絹子のものか)。庭の石灯籠。なぜかやや老けた感じの絹子が、「渚」と呼びかける。「それが終わったら、落ち葉をお願い」。日本語の勉強か、何か書いていた渚が強い口調で返す。「落ち葉、落ち葉って言うけど、今日、掃いてもまた、明日も落ちて、あんまり意味ないでしょ。それよりちゃんと薬飲んで休んでよ」。ふらふらと立ち上がる絹子。「それにもう、この家、あの人に売っちゃうんでしょ」。縁側のガラス戸を開けて、庭におり、後ろ手に戸を締め、竹箒で落ち葉を掃き始める絹子。それを睨むような目で見つめる渚が、椅子から立ち上がり、庭へおりて手伝う。薄い夕焼けと穏やかな海。

レコードが回転する。再び《Try to remember》。青いセーター姿の渚が一人で落ち葉を掃き、黒い着物の絹子は椅子に腰掛けて外を眺める。椿の花が咲いている。曲に合わせるかのように少しだけ首を上下に振る絹子。椿の花一輪が風に揺れる。暗転。

にわか雨。「おばあちゃん、晴れてるのに雨、雨だよ。おばあちゃん」と言って渚が、両手を頭にかざし、ガラス戸を覗き込んで、静かに戸を開け、しばらく中の様子を伺って家に入る。戸を閉めた右手が力なく垂らされる。ドク、ドク、ドクという音。椅子に座ったまま眠る絹子に渚が「だいじょうぶ?」と声をかけ、そろそろと近づく。ドク、ドク、ドクという音はレコードが終わったまま回り続ける音だった。椰子の木の向こうの海の真ん中から虹の弧が出ている。ドク、ドク、ドク……。落ちた椿の花に雨粒。絹子の右手を握り、左手で額を、頬を撫でる渚をカメラはガラス戸越しに写している。ガラス戸に反射する庭と海。左手を頬から離し、絹子の右手の指を親指でさすり、そして頬ずりする。雨に濡れ、鮮やかに咲く八重椿と蕾。青い海と曇り空のカット。

食卓、右の席に渚。テーブルにはトーストと牛乳。渚は手をつけない。絹子の姿はない。コートを着て、無言で出かける渚。玄関に鍵をかける。暗転。

白梅の花。家の雨戸を閉める陶子と渚。椿の散った庭に素足で立つ渚。咲いた椿、まだ蕾のままのもの。「渚、おばあちゃんの大事なもの、忘れないで」と庭の渚に声をかけた陶子は、暗がりの中、椅子に腰かけ、「お母さん、あなたらしいのねぇ」とつぶやく。渚が、薄暗い絹子の部屋で「渚 江」と書かれた封筒を開く。「あなたが誕生した時の写真です。葉子からこの写真が届いた日に、おじいちゃんと一緒に靴を探しました。お母さんの手紙にはシアトルとしか書かれておらず、結局、送れずじまいでした。今になり、ごめんなさい。絹子」。写真の裏には、「無事、元気な女の子が産まれました。渚と名付けました。葉子」の文字。青い箱の中には赤ん坊の靴。(葉子と渚は、韓国ではなくアメリカのシアトルにいたのか?)

コートを着たふたり。大きな荷物を玄関に置き、陶子が渚に言う。「こないだの話、気持ち、変わらない?」、小さくうなずく渚に、微笑んでうなずき返す陶子。(おそらく「一緒に暮らそう」と言う陶子の提案を断って、渚は一人暮らしをするのだろう)。「よいしょ」と荷物を持ち上げ、玄関を出る陶子。渚が玄関の戸を閉める。鍵はかけない。咲きかけの椿の花。

トレンチコート姿の黄(ファン)が待つ、旧大瀬家の門のところに戸倉ともう一人の男性(=不破万作さん)が到着する。バスに乗り込む渚と陶子。「何、聴いてるの?」と陶子。渚が左耳のイヤホンを外して陶子に手渡す。三度目の《Try to remember》。ふたりが右と左の耳のイヤホンで同じ曲を聴く。黄(ファン)が一人、門扉を出る後ろ姿。振り返りかけてそのまま歩き出す。家のシルエットと暈のかかった満月。

満開の桜。暗く閉ざされた家。浴室の磨りガラスの向こうに人影が動く。咲いた椿の花とともに、大きな物音。障子にヤモリ(?)の影。青く長い重機のアーム。椿の花が揺れる。なんと重機が家を取り壊している。衝撃的ながら、「やはりそうか」と思わせる結末――。金魚を掬う両手。税理士・黄(ファン)が左を向く横顔。顔を右に振ると、木立ちの向こうの海。水の中の二匹の金魚を包み込む両手。青い服の渚の寂しげな左向きの横顔。椿の花。


重機による家屋の解体場面で揺れる庭の椿。
(TV画面を撮影)


水中の2匹の金魚を掬い上げようとする渚の両手。
(TV画面を撮影)

金魚を入れたビニール袋を手に帰宅した渚が、金魚鉢に金魚を移す。鉢を指先でなぞりながら金魚を見つめる渚、目を閉じ、映像がぼやけてはまた焦点を結び、またぼやけて……。

エンドロール。富司純子、沈 恩敬(シム・ウンギョン)、……、出演者の名前、わずかに17名。

言葉少ない、揺らぎと陰影の映像美に満ちた静かな映画だった。一度、通して観た後、途切れ途切れに、DVDを再生しながら、場所はどこだろうと思いながら観ていた。この文章を書き起こした後、映画『椿の庭』についてインターネットで調べていると、神奈川県葉山の高台に、海を見下ろして建つ古い建物で、写真家でもある上田義彦監督が、かつて実際に借りて住まわれていた家だと知った。

▼「広い家ではないけれど、4月になると庭の乙女椿が見事な花をつけました。ある時、いつかこの花を見られなくなる日が来るという喪失感に襲われたのです。借家でしたし、私たちが家を離れると庭も失われるかもしれない」。そんなことを思いあぐねて近所を散策していると、よく眺めていた大きな庭木が伐採されたことに気付いた。知らぬ間にその家ごと解体されたのだ。またも喪失感に襲われた上田は、文章を書き始める。書き始めは目的を持たなかったが、進めるうちに映画への予感が生まれた。

その文章が、DVDパッケージの裏に掲載してあったので、転記しておく。

▼椿の庭のこと
 ある日、僕が住んでいた家の近くの道をいつものように歩いていたら、見覚えの無い空き地に足が止まった。まわりを見渡しはっとした。
 あの家が無い。穏やかな静寂に包まれていた古い家。優しい木漏れ日を歩道に落としてくれていた大きな樹が跡かたも無く消えていた。目の前の空っぽのごろごろとした土くれに覆われた地面と、いくつかの切り株の跡をただ眺めていた。
 そして想った。ここに暮らしていた唯の一度も、姿を見かけたことも、話したこともない人のことを。こんもりと繁った木々に隠れて静かに建っていた、小ぢんまりとし好感のもてた家のことを。
 落ち着かない不思議な喪失感に占領されながら帰り道を急いだ。家に着き自然にペンを取った。庭では椿の花が木いっぱいに咲いていた。
 15年前の春先。あの日この映画が始まった。
   上田義彦

上田義彦監督についてインターネットで調べると、1957年、兵庫県生まれ。兵庫県のどこかは不明ながら、同じ兵庫県生まれの先輩でした。この映画をもとに、写真集『椿の庭』(赤々舎)も編まれているようです。

後編(了)

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