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佐藤 究『幽玄F』
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河出書房新社
2023年10月30日 初版発行
「三島由紀夫をモチーフに」(著者「謝辞」の言葉)、F-35A・Bという超音速戦闘機のパイロット・易永透(やすながとおる)の波瀾万丈の生涯を描く奇譚。
終盤の幻想的な場面で引用されている心敬(しんけい)という室町時代の僧侶・連歌師の言葉が印象的でした。
▼心もち肝要にて候。常に飛花落葉を見ても。草木の露をながめても。此世の夢まほろしの心を思ひとり。ふるまいをやさしく。幽玄に心をとめよ。
——『心敬僧都庭訓(しんけいそうずていきん)』
「ふるまいをやさしく。幽玄に心をとめよ。」という言葉が心に沁みる。「幽玄に心をとめよ」の助詞「に」に惹かれる。「ふるまいをやさしく。幽玄に心をとめよ。」——座右の銘にしようと思います。
エピローグ「紙の航空力学」の冒頭に掲げられた河村悟氏の詩も印象的だったので、転記します。
ひとしずくの闇のくちづけに——
目覚める空–虚。
かすかな轟音——。
彼方に——。裂果と雷鳴。
——河村悟『黒衣の旅人・後編 裂果と雷鳴 或る天使刑の破片』
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