蛾が

 家に小さいというには大きい蛾が飛んでいる。昔は団地の入り口の蛍光灯に群がっていた。久しぶりにみた。どうしようもできなくて放っている。夜中にトイレに行こうとしたら、灯りに向かってばちばち飛んでいたので、怖くなって我慢した。今は窓のサッシに乗っかっていて、側面からみる蛾は意外と厚かった。身体が薄いと言われることがあり、割と悪い気はしないけれど、これはやっぱり身体を側面からみた認識であり、細いというのはもっと総体的な評価の気がするが薄くて細くないことも、細くて薄くないこともないのだから、べつに同義でいいのではないか。いいのではないかもなにも言い出したのは自分だが。とにかく蛾はいる。食べるものもないので衰弱して死ぬんじゃないかと思う。高校には大きい蜘蛛がたくさんいて、たくさん死んでもいて、それをほうきと塵取りを使って捨てていた。もしかしたら、大きい蜘蛛が来て、蛾を食べるかもしれない。食物連鎖の授業は好きだ。虫は苦手だ。

今日の一句
蛾を舌の裏に仕込んで誕生日

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