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若いけれど虚弱な体質な方の妊娠物語

寒さが厳しくなりつつある日、薬局に若いご夫婦がいらっしゃいました。ともに31歳で、2年前にご結婚、すぐに子供が欲しかったとの事でした。病院の検査では左卵管の通りが良くなく、卵胞の発育不良と排卵障害があると診断され、排卵誘発を受けながらタイミング法を10回以上、人工授精も複数回受け、結果が出ないのでそろそろ体外授精にステップアップするように言われたそうです。

奥様は虚弱体質で特に胃腸が弱く、また普段から冷え性で疲れやすく、精神不安になりやすいんだそうです。そして自身の健康状態があまりよくないことが気になり、ストレスさえ感じているようでした。また体外受精を受けることには抵抗があり、どうすることもできず精神的にかなり参っていました。ご主人様は精子の状態に異常はなく、落ち込んでいる奥様を優しく見守っている様子でした。たまたま友人が誠心堂で漢方薬を飲んで妊娠したので少しでも希望が持てるなら二人でチャレンジしてみたいとの事でした。

確かに奥様は見るからにやせていて、顔面蒼白で目が少し虚ろとしていました。直感でこれは子宝だけではなく、お二人の人生にもかかわる事だと感じ、まずは奥様に希望を持たせてあげないといけないと感じました。一通り状態の確認をした後、私は奥様にこう言いました。「今あなたの身体は弱すぎて卵を育てる余裕がないのです。気持ちが落ち込みやすい事も体が冷えやすいのもみんな身体が弱いからです。それがすべての不調の原因です。これから私は全力であなたの身体を強くさせていきます。そうすれば子供を授かるのも夢ではありません。私と漢方を信じて一緒に頑張って行きましょう。」と。彼女の目には涙が浮かんでいました、決して悲しい涙ではなく希望の光を見つけた嬉しい涙でした。

気血を養い巡らせ、消化器や生殖機能を強化していく方針となりました
奥様は漢方を飲み始めてからは病院の治療を一旦休みにしていました。病院通いがストレスになるんだそうです。

その後も二週間に一回のペースで薬局に来られて、その都度薬の調整を行いながら漢方治療を続けて行きました。約三か月後には彼女も驚くほど体調が良くなり、気持ちも安定し、基礎体温がとても綺麗になりました。その時の彼女の明るく自信に溢れた笑顔がとても素敵でした。
半年後の卵管造影検査では両側の卵管がスムーズに通っていました。

そしてある周期では高温期が3週間続きました。おそらく化学流産だったのではないかと、これは良い兆しだと私は判断しました。
案の定、次の周期で彼女は妊娠し、順調に胎嚢と心拍の確認ができました。
妊娠初期は若干のつわりがありましたが、それもすぐ収まりました。

虚弱体質の方では卵胞発育不良や排卵障害などが良く見られるのですが、これに関して現代医学の根本的なアプローチはあまり多くなく、排卵誘発やホルモン補充などを行っても上手くいなかないこともあるのが現実です。このケースではやはり根本からの体質改善が奏効したと感じます。

彼女は今も定期的に安胎の目的でお薬をもらいに薬局に来ています。胎児も順調に育っています。彼女の表情は穏やかで自信に溢れています。過去の彼女とはまるで別人になっています。そんな彼女を見ていると、また少し人の役に立てたかなと私も幸せを感じます。


中医学アドバイザー 井上松春
薬剤師 早川友樹

誠心堂薬局 池袋店
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