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東北・北関東の香り

私の父親の家系はどうやら東北がルーツらしいです。

そして父親やその親は、北関東の人間らしいです。

引っ越しの多い家系だし、父親も詳しく話すことがなかったので、私は父や祖父の正確な出身地を知らないのです。


ただうちに、東北や北関東の影響は色々とありました。

例えば冬に使う行火(あんか)。

重箱くらいの大きさで、携帯電話のようにパカッと開けることができて、その中心部には豆炭という炭の一種に火をつけて入れて、袋に入れて布団の中に入れておき、暖かく寝られるようにしたものです。

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行火(あんか)

これをうちでは普通に使っていました。

(昔は豆炭も普通に買えた)

どうやらこれは、冬の寒さが厳しい東北以北で使われていたものらしく、東海地方に住んでいた頃には友達の誰も知りませんでした。

暖かくていいのですが、湯たんぽと違って朝まで温度が保たれるため、寝ているうちに邪魔になってしまったりもしました。

昔の、すきま風で夜に冷え込む家屋だと、こういうのが必要だったのでしょうね。


子供の頃は豆炭に火をつけるのが大好きでした。

大きな灰皿に豆炭を乗せて、マッチの火を端に当てていると燃えはじめて、ジワジワと全体に広がっていくのをじーっと見ていたものです。

(こんなものを布団に入れておいて一酸化炭素中毒にならないのでしょうか?(笑))


それから、かいまき布団。

(これ書いたっけ?)

着物の形をした掛け布団で、元々は東北地方の子守の防寒着なのだそうです。

私は子供の頃からずっと使っていて、昔は祖母の手作りでしたが、後に市販品に変わりました。

かいまき布団の何がいいかって、襟の部分が肩にかかることです。

これに慣れてしまうと、ホテルなどに泊まったときに毛布などが肩に引っかからないことに違和感を感じてしまうのです。

まぁ慣れの問題ですけど。

ちなみに袖の部分に手を通したりはしません、通せますが。

あの袖もいいのです、重さと厚さがね。

これも東海地方の友達は誰一人知らなくて、うちに泊まりに来たときには着てしまったりしてましたっけ。

ちなみに江戸時代の江戸では、掛け布団はみんなかいまき布団だったそうですよ。


ネットの便利なところは、こういう古いものでも画像くらいは見つかることで、懐かしいです。

で、また見つけてしまったのですよ、懐かしいものを。

それは、「紋合わせ」というゲーム。

うちの父親は賭け事とか勝負事が好きで、ギャンブルにハマる程の馬鹿ではありませんでしたけど、家族で遊ぶときにはそういう系統のことをよくやりました。

例えば花札、麻雀、トランプ。

うちでは碁石をコイン代わりに使っていて、「うすのろ」をやるときには座布団の上に碁石を置いて奪い合ったものです。

あとは競馬カード(DERBY RACE CARD)というのもあって、スクラッチで着順と倍率が出てくるタイプで、大きな紙に番号を書いて碁石を置いて遊びました。

(Amazonで買えます)


そうそう、紋合わせ。

これは六種類の紋(役者のもの?)が描かれた紙と、その周囲に紙テープで止められた小さい巻紙とで出来ているゲームです。

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紋合わせ 例1

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紋合わせ 例2

これも東北地方で遊ばれていたものらしく、昔は駄菓子屋で買えたそうです。

うちの父親は、東海地方に越してからもどこからか入手してきて、よく遊びました。

これ、完全に手作りで、小さい巻紙は2cm四方くらいの大きさで、巻き方は雑、端が糊で止めてありました。

それを並べて、細長い紙と糊で台紙に固定してあります。


遊び方はまず、親以外のプレイヤーがどれか一つの紋に碁石を置きます。

親は端から順番に一つずつ巻紙を外し、破かないように慎重に剥いていきます。

巻紙に描かれていた紋が当たりとなり、当たった人がいれば置いた碁石と同じ数の他の碁石を受け取り、残りは親が取ります。

親は順番に回していき、巻紙がなくなった時点で終了。

これはうちの遊び方であって、別の遊び方もあったそうです。


この巻紙がね、薄いし糊の付けすぎとかあって中々上手く開けなくて、そして開いても印刷がズレていたりして、そこに面白さがあったのです。

親は場の中心で開けていき、みんながそれを見つめて結果を待ち、少しずつ紋が見えてきてね。

丸い紋が三種類あって、その端が見えてもどれか分からなくて盛り上がったり。

(わざとゆっくり開いたりして)

うちではこの遊びを「とっこ」と言っていました。

そういえば、とっこは出現回数の少ないレアアイテムでしたねぇ。


他愛もないアナクロな遊びですが、デジタルが当たり前になった今、とっこの面白さは中々味わえないと思います。

もう作り手もいなくなっているでしょうから、実物を見る機会はないでしょう。

もしご存じの方がいらしたら、コメントして頂けると嬉しいです。


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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