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兵器武器のお話

『シティハンター』っていうマンガとアニメがあります。

私はこれ、ほとんど知りません。

マンガは数ページ、アニメは合計しても一時間も見ていないと思います。

誰にでもあると思いますが、ちょっと触れてみただけで、

「これは自分には合わないな」

と思ってしまった、私の一つの例ですね。


あの作品のマンガだったかアニメだったか、もう記憶が曖昧ですけど、こんなシーンがありました。

主人公が愛銃・コルトパイソンにサプレッサーを付けて射撃していたのです。

これを見ていた私は、思わず吹いてしまいましたよ。

「ガン・アクション物なのに、こんなの描いていて大丈夫?」


詳しくない方のために書くと、ハンドガンの中でもリボルバーという種類の銃(回転式拳銃)は、構造上サプレッサー(サイレンサー)を付けたところで音を消すことは不可能です。

(っつーか売ってないし、それでも付けたいなら改造しないと)

(ごく一部に消音できるリボルバーはあるが、かなり特殊)

タイトル画像がそのパイソンですけど、銃の中心に円筒形のもの(シリンダー)があるのが見えますよね。

これがリボルバーの最大の特徴で、この中には大体6つの穴が円形に並んで開いていて、そこに弾を込めます。

銃身(バレル)と同一線上にある弾が発射されて、一発撃つ毎にシリンダーは少し回転し、次の弾が発射位置に来るという仕組みです。

(本当は順番は逆ですが)


シリンダーとバレルは、密着しているわけではありません。

隙間が開いていて、それをシリンダーギャップといいます。

シリンダーギャップがあまり狭いと、繰り返し発射しているうちに、ここに火薬(パウダー)のカスとか弾丸(バレット)の鉛とかが付着して詰まって、シリンダーが回転しなくなり射撃ができなくなってしまいます。

だから意図的に、シリンダーギャップは広めにとられるわけです。


銃を撃つと、薬莢(ケース)内の火薬(パウダー)が大量の燃焼ガスを発生させ、バレットを押し出し空気を振動させ、大きな発射音がします。

バレットの初速が音速を超えていれば、ソニックブームも大きな音を発生させます。

リボルバーの場合は、バレルだけではなく、シリンダーギャップからも燃焼ガスが吹き出すので、その両方に何らかのサプレッサーを付けて、更にバレットの初速を音速未満にしないと音は消せないということです。

シリンダーギャップから吹き出す燃焼ガスは結構危険で、指なんて置いといたら切断されたりもしますから、ご注意を(笑)。


あの主人公も、音を出したくないならそれに適した銃を使うべきでした。


日本は平和で、銃の所持もできませんから、日本人にはこういう兵器や武器の知識があまりありません。

だからマンガやアニメを見ていると、とんでもない描写が結構あるのです。

例えば悪者が手榴弾を投げてきて、それが近くで爆発しているのに、主人公はちょっと身をかがめただけで無事とか…… 有り得ません。

手榴弾は細かい金属片を大量にばらまくことで、周囲にいる人間を怪我させるものですから、爆発したら周囲の人も車も建物も穴だらけになるはずです。

正しい避け方は、飛んできた手榴弾に足を向けて真っ直ぐにうつ伏せになり、両手は真っ直ぐ上に挙げて耳の横に付けるのです。

(飛び込みに近いポーズ)

(その時に目は閉じて口は思いっきり開けるらしい)

これにより、もし破片が当たったとしてもほとんどは足(靴底)だし、手で耳を塞いでいるから鼓膜が破れにくくなるのです。


マンガ『美味しんぼ』の原作者・雁屋哲は、連載が(一旦)終了したときのコメントの中で、その理由について、

「食について読者のほうが詳しくなってしまい、書けなくなった」

と言っています。

もう大分前からそうなのです、読者が専門分野の知識をどんどん持つようになり、そういう読者を超えられる作家が少なくなっているのです。

別にリアルならいいとか、知識だけでマンガや小説を書くわけじゃないですがね……

(『美味しんぼ』の作画は最悪だったし(笑))

ただ中には、そういうバランスを上手く取りながら、最新の知識と面白さを兼ね備えた作品を作り出す作家もいるのも事実。

あとは受け手である我々が選ぶだけです。


最後まで読んで頂き、ありがとうございます。

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