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能登半島地震を受けて考えていたこと。

能登半島で被災された方へお見舞い申し上げます。

2023年11月に、能登へ旅行へ行ってきたばかりでした。輪島にある舳倉屋さんといういしるメーカーさんの話を聞きたかったのと、商品を取り扱いしたくて顔合わせしたかったのです。舳倉屋さんを知ったきっかけは、私が所属しているひとつ発酵食大学の魚醤の講座でした。そこで魚醤を知りハマって全国の色々な魚醤を使ってみて、やっぱり金沢のいしる好き!となっていたのでいつか行こうと思ったまま月日は流れて、叶ったのが11月でした。

輪島朝市

初めていく輪島はとても素晴らしいところでした。朝市では見たことない海藻や木桶に入ったぬか床。「私が採ったの」「これ自家製だよ」とおばあちゃんたちが売っていました。

輪島塩を作っているところでは「トイレ絶対見た方がいい!」と言う夫に誘われ、循環型のトイレをはじめてみました。排水がずっと流れ続けていて海を汚さないためだよね…と、塩の作り手としてここまで海を守ることを徹底しているんだと感動しました。

こめとわとベーグルという所では、自家栽培の米を米粉にして、米粉をベーグルにする6次産業をしていました。奥能登の農業を盛り上げ、米文化を守り、次世代に繋げていけたい…という想いでオープンしたんだと、史上最高に美味しいもっちりベーグルをいただきながら知りました。年末に、全国発送を考えているとインスタで拝見したばかりでした。

舳倉屋さんでは、いしるの伝統を守る話、いしるの使い方を教えていただいて、過去の新聞記事など貴重な情報もおしみなく提供もらいご夫婦に暖かく迎え入れていただきました。「静岡でいしる広めます!」と言うと、「お力添えできることがあれば遠慮なく言ってください。来る年の幸せを輪島から願っています」と手紙をいただいて、発注した最後の商品が届いたのは12月28日のことでした。

いしるの干物とジェラード

1月1日地震がありました。こんなに環境と伝統を大事にしている地域がなんで?亀裂した道路、崩壊した建物。伝統文化の話を聞いたばかりで心が痛みました。広小路の店舗にあるいしるは、値段には代えられない価値があるものになりました。

発酵は時間を味方にする保存法で、時間を止めて保存する添加物とは別軸です。時間を味方にできるのは、菌の力があってこそです。蔵の復興と一言で言っても、そこにはお金、時間、気力…計り知れない決断が必要だと想像しました。私の言葉や行動が、応援になるのか、暴力になるのかもいまは計り知れません。

発酵は守る人がいてくれるから成り立つのです。大量生産大量消費の時代の流れもある中、昔ながらの製法を守って、生活を維持していくには、こだわりだけじゃなく信念があると思うのです。材料ひとつ、仕込みひとつ、効率を重視しないからこそ出来ることです。

売り手としてできることは何だろう、このいしるをどうしようかずっと考えていました。「使えないから捨てちゃった」は許されないことになった今、最後の一滴の価値まで理解できる、想像力のある人の手に渡って欲しい。

もともと1月後半に企画していたいしるLessonは開催を迷いましたが、「最後の一滴の価値まで理解して使ってくれる人」限定で募集をかけました。ちょっと強めの表現をしてしまったかも…と思っていたのですが、理解してくれた方々の申し込みがあり満席となりました。その後も問い合わせあり、お断りしたほどの反響でした。

私はただ、手に渡るまでのストーリーを知って、廃棄した後の影響を考えて行動できる人(エシカル消費)が増えたらいいなと感じていて。私が365日エシカル消費するのと、100人で1日エシカル消費するのとでは数字は同じでも影響は違うと思うのです。三島広小路駅近くの人通りの少ない5坪極狭店舗ですが、私のお店での買い物が未来への有意義な一票に繋がると願って活動しています。

いしる手作業の様子

いしるLesson代は、いしる文化を守る「能登いしり・いしる生産者協議会」へ寄付とさせていただきます。この協議会の話は、舳倉屋さんから聞いていて知っていました。聞いておいて良かった。

Instagramより

自宅にあるわずかないしる干物といしるジェラートも、今後いしるチャリティーLessonを企画して提供してみんなで味わうことにさせてください。詳細は決まってないので、ちゃんと練ります。

長々と書いてしまいましたが、能登地震をきっかけにより発酵文化の継承とそのための消費者の在り方について考えるきっかけになっています。

一刻も早い復興と、能登の方々が心穏やかに過ごせる日が早く訪れますように。

今の気持ちを率直に書いてしまったので、表現がおかしかったり勘違いさせてしまう表現もあるかもしれませんが、ご了承ください。

糀工房Kamosu 秋本

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