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映画『THE FIRST SLAM DUNK』考察と感想

2022.12.03から公開された映画『THE FIRST SLAM DUNK』を見てきた。
見終わってから…冷めやまぬ熱があり、久しぶりにnoteに残すことにした。

感想を一言でいうと『映画だから出来る別世界。すごく良かった』
ただ、賛否両論分かれるのはよく分かる。私はいい意味で全然期待したものと違ったと感じたが、悪い意味に捉えるファンもいるだろう。

なぜ、意見が分かれたのか。
イノタケ(井上雄彦)先生は、どんな想いで映画を作ったのかを考察したいと思う。

私とSLAM DUNK

前提情報として、私はスラムダンクのファンだ。
現在、30代だがリアルタイムでジャンプを読んでいた世代ではない。初めて読んだのは小学6年生頃だったと思うが、その時は特に今日もなかった。

時は過ぎ、中学2年の頃に改めて読み返して、猛烈なファンになった。ファンというかオタクとして目覚めたきっかけが、スラムダンクだった。
初めて二次創作をしたのもスラムダンクで、純粋の作品を好きな意味とは少し違う意味でファンだった。
アニメはキッズステーションで見て、アニメ映画はレンタルビデオ店で借りて見て、コミックスも完全版も持っていた。

とはいえ、それから数十年経過して…熱は冷めつつあった。
もう、スラムダンクをアニメで見ることはないと諦めていたので…映画化すると知った時は、本当に驚いたのと…「期待しないでおこう」と思った。

賛否両論は何故なのか

すごく短くTHE FIRST SLAM DUNKを説明するなら、『宮城リョータ目線の山王戦』だ。そもそも、原作では桜木花道が主人公なのに…なんで宮城が?山王戦で宮城ってそんなに目立っていたか?といった疑問が出てくるだろう。

そう多くの人は、 SLAM DUNKのアニメ映画化=漫画アニメ化を期待するのだ。実際の所、THE FIRST SLAM DUNKは漫画のアニメ化ではない。
『新しい視点から、角度から見た SLAM DUNK』とイノタケ先生も説明している。前情報なく、漫画のアニメ化を期待していった人は『こうじゃない。なんか違う』と思っただろう。

否の意見


映画レビューサイトを見ていて、低レビューをつけているひとの中に『原作ストーリーはカットだらけ』『全く泣けない』『最後にZARDが聴きたかった』といった内容を見かけた。
これって完全に、漫画のアニメ化を期待する意見だからだろう。漫画通りの内容で映画を見て泣きたい気持ちは分かる。それもまた見てみたかったと思う。

意図的かは分からないが、映画のPRとして、漫画(原作)とは別物と謳っていないことが原因かもしれない。

賛の意見

称賛しているひとは、『漫画とは別のストーリー』として見ているのだ。ちなみに、私はほぼ前情報なく見たが…最初の3分くらいで、別物として描きたいのだと感じた。

私はイノタケ先生のファンだったので、『バガボンド』や『リアル』も読んでいた。それもあり、スラムダンク以外のイノタケ先生の表現を知っていたから受け入れられたのかもしれない。

漫画のスラムダンクは、少しコミカルで笑いも交えつつ青春を描いている。イノタケ先生は人間模様や、キャラクター心情を描く作風があることを『バガボンド』『リアル』を読んでいないと知らないのではないだろうか。

映画は回想シーンが多く、シリアス。漫画とのギャップがある。バスケシーンがみたい人にとっては回想は邪魔に感じただろう。

原作・脚本・監督の井上雄彦先生の想い

THE FIRST SLAM DUNKにおいて、最大のポイントは原作者が脚本も監督も務めていることだと思う。私は、公式のアナザーストーリーという理解をした。

パンフレットより一部抜粋

まだ映画館に行けてパンフレットを手にしてない人は、以下のインタビューを読むと伝わると思う。

キャラクターの生感

オファーから10年以上経ち、4回目のパイロット版でOKしたらしい。その理由は、キャラクターの表情。そこに熱意があったからと書かれていた。

宮城の眉毛を下げて困ったような表情が、私はすごく映画の中で印象的だった。『あぁ、宮城リョータがいる!生きてる!』と見ていて感じた。本当に微妙な表情で、キャラクターが生で生きているような感覚。
パンフレットやインタビュー記事を読み返してみても、イノタケ先生はキャラクター感を非常に大事にしている事が伝わる。だからこそ、4回目のプロトタイプでキャラクターの表情に惹かれてOKしたのではないだろうか。

3DCGは手段

色々なサイトや動画で、3DCGに関しての批判的な意見をみた。私も最初にMVを見た時に気になったのは、3DCGでキャラクターが動いていることについてだ。

全く前情報がなければ『なんで、3Dなんだよ』という感想で終わると思う。あの生々しい動きや、ひとりひとりの細かいアニメーションの違いを2Dで表現することは出来ないと、映画を見れば分かると思う。

現に、イノタケ先生も3Dでやりたかったとは思っていないのが、インタビューを読んでいて分かる(否定している訳でもない印象)
個人的には『3Dが微妙』『3Dだから見ない』という意見とても勿体ないと感じる。あくまでスラムダンクの世界を演出する手段であり、そこがメインじゃない。それだけで見に行かないひとは損している、と言い切りたい。

声優や作画


私はゆるいオタクなので、新声優陣は大体名前を知っていた。
知っていたからこそ…『宮城リョータが仲村宗悟??』という違和感があった。仲村宗悟さんは、アイドルマスターSideM 天道輝が出世作だろう。SideMはライブに行くくらい好きだったので、天道輝のイメージからすると宮城リョータは結びつかなかった。沖縄出身だから?などとも思った。

実際、映画で声を聞いてみてビックリ。全然思っていた印象と違った。今まで聴いていた仲村宗悟さんの声は、『キャラを作った声』だったんだなと感じた。宮城の仲村宗悟さんの声は、非常に生っぽい(素)印象で好感が持てた。

あとは、何といっても桜木花道役の木村昴さん。
ジャイアンであり、ヒプマイの山田一郎。合う合わないではなくて『木村昴は、木村昴なんだよなぁ』という印象は、映画を見ても抜けなかった。
ただ、合っていた。旧花道やくの草尾 毅さんの声とは全然違うが、花道だった。

作画は、イノタケ先生ご本人が描かれてるものも多いようで…最高としか言いようがない。特に、沢北。もう最高
沢北ドアップで映画のスクリーン見れるなんて、中学生の頃に私が知ったら死ぬかもしれない。
このクオリティで…ライバル校すべてのキャラも見たいと、オタク達は思っただろう…。

続編はあるのか

色々と推察されているが、私も5部作構成なのではないかと思った。各メンバーを一人づつ映画にして、描いていくと納得がいく。

少なくとも、三井編を描いて欲しい…。
THE FIRSTであそこまで、さらっとしか不良三井を出さないのなら…THE SECONDでは三井がメインなんだよね??と期待を 持たざるを得ない。

仮に赤木編があったとしたら、陵南戦で魚住との関係性を描くのではないか?だから、THE FIRSTではほとんど触れなかったのではないか?と妄想が止まらない。

仮に5部作構成だったら、あと10年くらいは楽しみが残っているのではないだろうか。もちろん、公式発表は出てないし…映画はそんな簡単に作れるものではないのは理解している。

しかし、THE FIRSTを見て…『スラムダンクにこんな世界があったの?』と心を掴まれてしまった。期待しないなんて無理でしょう。
湘北だけでないキャラクターも見たい…藤真と神を映画版で見たい…。
イノタケ先生、スタッフさんどうかお願いします…どうかどうか…。

長くなったが、最後に。
観ようか観まいか悩んでいる人は絶対に見て欲しい映画だった。山王戦のラスト10秒息を呑む展開は、映画館でしか味わえないと思う。


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