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無目的的旅路において|エッセイ

梅雨。このご時世にそぐわないキャリーケースをガリガリと音をたてながら引き摺り歩く。旅は、いつ振りだろうか。12月に訪れた真夏のセブ島、それから3月の福岡。海外には、もう半年も行っていない。それに反して、国内旅行からは、まだ3ヵ月の月日しか経っていなかったのか。駅で買ったミルクティーを流し込みながら、リュックに突っ込んできた文庫本を捲る。旅先では、何も特別なことをしない、ただいつも通り喫茶店で本を読むとか、散歩するとか、そういう時間の方が贅沢だと思ってしまうから、案外出不精になるのがわたしの旅の特徴だ。

『男ともだち』と題されたその小説は、偶然にも京都を舞台にしていた。そうして、主人公の神名、彼女からは、失った半身のような、分裂症気味のわたしの一部を満たしてくれるような心地を抱いた。

p53、空港への乗り換え案内が放送されている。虚しく響き渡る車内放送。かつて心躍る言葉だった空港の二文字。

ただ、こうこうと響き渡る––。

友人とシーシャに行きます。そして、また、noteを書きます。