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リクの髪色論

人への印象は日々変わるもの。ただ、第一印象は無意識の中に深く刻み込まれるらしい。
僕たちが初めて彼女を目にした時、惚れたのはそのギャップだった。小動物のようなあどけないルックスから繰り出される、キレのある空手と歌唱力。黒髪も間違いなく象徴の一つ。未だに根強い「信仰」の正体は、その幻影を追いかけ続けているものだと思う。

ただ、最近はその風潮も収まりつつある。
それは「金髪に見慣れたから」とか「馴染んだ」とかそんな安っぽい理由ではない。上記に挙げた以外の多くの魅力が顕在化してきたからだ。それも、ビジュアルというよりも内面の魅力が。
視覚的にも一番インパクトのある「髪色」の印象を変えたのが内面だなんて頓珍漢だろうが、そこそこに自信を持っている仮説だ。

青髪は伝説。Baby, I’m a starの登場シーンの衝撃は、5分前に起きたかのように思い出せる。
しかしこの色が彼女をデビューに導いたとは考えていない。青が測ったのはリク個人の力量よりも、虹プロ参加者全体、ひいては後にデビューするグループの可能性だったように思える。
その色はプレデビューに向けてすぐに黒く染まった。あの日プロデューサーが描いた画が、姿が、可能性が、具現化される日が楽しみで仕方ない。

伝説といえば銀髪もそうだ。ただ青と決定的に違うのは、銀がリク個人の可能性を追求するものであったということ。だからこそ、常に金髪との比較・競争に晒されていた。

今でこそ「二番手」の印象が強い銀だが、古代エジプトにおいてその価値は金よりも高かったらしい。
もちろんこれはこじつけである。でもそんなくだらない知識を引用したくなるほど、目にする機会の少なさはあまりにも惜しかった。曲のコンセプトやファンからの反応、何か歯車がひとつ違えば、その立ち位置は逆転していた。そう思えて仕方ない。

これは事実として。リクの茶髪はあまり人気がない。これは解釈として。僕は「失敗」だとは全く思っていない。
前述した通り、髪色は個人の力量だけを計るものではなく、グループ全体の可能性を探るものだ。オーディションの印象から変わらなければいけない。しかし変わり過ぎてもいけない。そんな絶妙なバランスの中で、採用されたのがリクの茶髪。金髪への変化も然りだ。

ifの世界にあまり意味などない。それでも、茶髪がトレードマークとして定着したリクを想像してしまう。その輝きは金髪のそれとは引けを取らないだろうと信じてしまうのは、ただの色眼鏡なのだろうか。

最近、口癖のように「ピンク髪にしたい」と望んでいる。自らがピンク髪の加工画像を投稿するほどだ。しかし裏の事情を考えると、口にしているうちの実現は難しいのだと思わされる。

別に悲観することではない。
KCON・歌番組・始球式・ライブ。どこが入口だっていい。「NiziUの金髪の子」が気になった人は、過去一年以上の供給のどれを見返してもその色を追うことができる。「アイデンティティ」になることは避けたいが、「トレードマーク」としての意味合いはあまりにも有効だ。変わることを渇望する前に、変わらないことによる利点に目を向けたい。

ある意味リクは、NiziUにおける挑戦の成功の第一人者だ。
黒→青→黒→茶→銀とそれぞれ短期間で色を変えながら、金髪という一年以上揺るがなかった武器を手に入れた。掴み取った、という方が正しいか。
だからこそ、次に訪れる彼女の髪の変化はグループの方向性を大きく変えると僕は信じ込んでいる。全体を考えて1人のビジュアルが変わるなら、1人の変化がNiziUの舵を切る可能性だってあるはずだ。ベビアマの登場シーン以来、幾度となく覚えてきた彼女の“主人公感“は、ここでも顔を覗かせてくれる。


他のnoteを書いていた時もそうだが、リクを軸に考えるとNiziU全体がよく見える。自分の中の「推し」の定義なんて、今はそんなものでいいと思う。

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