錦秋ミルキーウェイ/いろは短編
まだ肌寒い朝は温かな飲み物で目覚めるに限る。私は左手を伸ばし、サイドテーブルの上にあるハンドドリップタイプの電子ケトルの蓋を開けて水の残量を確認する。昨晩、大好きな吉本ばななの新作に手を出して一気読みしたので、大きなマグで三杯もハーブティーを飲んだ。中身はすっからかんだった。おかげで明け方に尿意をもよおし、こんなに早起きをする羽目になったけれど、吉本ばななの新作を一気に読めた嬉しさでむしろ清々しい気持ちさえしていた。今日は休日だ。シフト制の仕事をしている私には久しぶりの連休