2020.11 異端の鳥 #No.1前半 【無料記事】
こんにちはカモハイです。
素晴らしい映画を見ては、感想を残したいとこれまで考えてきました。
考えてきただけで一回も実現したことはありません。それはモチベが保てないからです。
しかし、私には有料noteを読んでもらったという成功体験があります。
「そや!有料にすればやる気が出る!」という取らぬ狸の皮算用もびっくりする丼計算で有料noteで感想を書くことにしました。ある程度たまったら優良にしたいと思います。少なくとも1年以上は無料のまま公開します。
これは非常に悪いクセですが「書くならちゃんと書きたい」ので、お仕事としてかけるクオリティまで持って行きたいのです。
まぁ、御託はさておき、とにかくそういうわけで、映画感想noteを書くことにしました。
記念すべき第1回は、『異端の鳥』。
私より先に観に行った友人から「終わった後は(気持ちが)お通夜だよ」というアドバイスを受けていたし、何よりネタバレを先に読んで行く派なので内容は知っていたが割と過激そうで一人で行くのは辛かった。ので、男性と2人でいった。なお、この男性と映画を一緒に見るのは初めてだったので、今思うともっと画面が明るくて爽快な映画をご一緒すればよかったと思う。(ごめん)
*明るい映画でミッドサマーとか思いついてしまったので何れにせよ色々ダメ。
以下、ネタバレを大いに含むレビューです。
タイトル:異端の鳥
上映時間:180分
総評:★★★★☆
三行で内容:ホロコーストにあった流浪の少年の話、
行く先々に少しの庇護とたくさん不幸
起承承承承承承承承結って感じ
感想:少年と一緒に山羊投げたくなる。
本記事は、あらすじの中にちょいちょい感想を含みます。
全体のあらすじ:ホロコーストから逃れた少年が家族に再開するための流浪の旅を続けながら、そこそこに悲惨な目にあう物語。9章からなるエピソードが連なる物語で、9つの地を流転する。流転先では、オカルト宗教に従事、川に流されたり、過重労働、ペド的性的虐待、命の危機、色情狂女性の生活補助、従軍などの新宿歌舞伎町とアジアスラムを悪魔合体させたような人生を歩む。しかし、最後にはついに父と再開し、少年は忘れていた自らの名前を取り戻して人生をまた歩んで行くのだろうというほんの少しの希望を匂わせるのであった。
物語を紐解く前に。
本作、『異端の鳥』、小説が原作です。作品情報をまずは見ていきましょう。
以下、公式サイト(http://www.transformer.co.jp/m/itannotori/)より抜粋。
"原作は自身もホロコーストの生き残りである、ポーランドの作家イェジー・コシンスキが1965年に発表した代表作「ペインティッド・バード(初版邦題:異端の鳥)」。ポーランドでは発禁書となり、作家自身も後に謎の自殺を遂げた“いわくつきの傑作”を映画化するために、チェコ出身のヴァーツラフ・マルホウル監督は3年をかけて17のバージョンのシナリオを用意。資金調達に4年をかけ、さらに主演のペトル・コトラールが自然に成長していく様を描く為、撮影に2年を費やし、最終的に計11年もの歳月をかけて映像化した"
この作者のコシンスキ氏は、ポーランドの出身で、自身も映画の主人公の少年と同じユダヤ人で第二次世界大戦中は疎開してカトリック教徒を装いながら生き延びたそう。劇中で、主人公の少年は途中から精神的なショックで口を聞けなくなるが、コシンスキ氏も5年間トラウマで口が聞けなかったそうだ。
つまり、私小説であると言って良さそうだ。
彼自身も「The painted bird(異端の鳥のオリジナルタイトル)」を発表する際に自伝的小説であると匂わせた。しかし、創作であったことが世間で批判を浴び(wikiによると「自分の小説が事実に基づいたノン・フィクションであると言ったことはない」と反論した。)ことや様々な疑惑(盗作、ゴーストライターがいるとか、経歴を詐称しているとか)があり、何が原因かわからないものの57歳でビニール袋を頭からかぶり自殺した。
このような作品背景や、「呪われた作品」的な扱いを受けたこと、劇中で飛び散る残酷描写やペド的な性的虐待や児童労働や動物虐待などをふんだんに盛り込みまくったからかなのか、ポーランド本国では原作本は発禁処分や公開中止などの憂き目にあってきた本作だが、ヴェネツィア国際映画祭ではユニセフ賞を受賞し、他にも様々な映画賞を受賞していて国内外からの評価は非常に高く、その期待に十分答えてくるクオリティの作品となっている。
さて、全体の感想は後ほど。
まずは駆け足に本作を構成する9つのエピソードを紐解いて行きましょう!
節1【マルタ】あらすじ:
映画は少年が森の中を何か動物を抱えながら必死に逃げ惑っているシーンから始まる。
第二次世界大戦下、そのユダヤ人の少年はホロコーストを逃れるため、父の親族である「東欧のとある国」のおば宅に疎開してた。
少年が抱きかかえていた動物は、無残にも追ってきた近所の少年たちに焼き殺されてしまう。東欧の人々とは容姿や話し方も違ったのだろうか、いじめに合っていた。
いじめられてボロボロの身なりと焼き捨てられた動物を抱え、村はずれのおばの家に帰宅するも、そんな少年を見ておばは「だから一人で出歩くなと言っただろう」という。
しかし、汚れた少年の顔を拭い、彼のことを疎ましく思っている様子ではない。
口調もそっけないし、貧しい生活だが、何くれと少年の面倒を見ているおばの元で少年はピアノを弾いたり「一人前になるには靴を磨け」的な教えを受けて靴を磨いたり、それなりに生活をしていた。
ところがある日、何時になってもおばが起きてこない。
ついには日が暮れても朝見たときと同じ体制のままのおばに声をかけようと手元のロウソクの灯を持った少年が近づくと、おばはすでに亡くなっていた。
驚いた少年が手元の蝋燭を落としてしまい、途端に日は家屋全体に回って全焼してしまう。行くあてをなくした少年はついに、おばの家の焼け跡を後にして途方にくれたまま近くの村へと向かう・・・・
節1感想:いやーーーーーーーー、開始5分以内に、少年のペットの動物にブランデー?灯油?かけて丸焼きにするシーンから始まる。めっちゃどうでもいいが、その動物が猫なのか犬なのかイタチなのかなんなのかよくわからんくて早々に頭を悩ませてしまった。
割と悲惨で凄惨な物語という触れ込みでみに行ったものだから、「あんまりグロくないな」くらいの感想でした。他のレビューサイトではこの冒頭のストーリーだけでも結構悲惨そうなことを書かれていたのでかなり拍子抜けしました。
というのも、上に書いた通り、割とおばちゃんに大事にされてるんですよね。甲斐甲斐しく体を洗ってもらったり、洗濯してくれたり、ピアノを弾かせてもらったり。めちゃ貧しいけど清潔なベッドで少年は眠っているし、服だってちゃんとたとむ。生活の乱れが見えないんですよね。
おばちゃんが急死(座ったままなくなった)するまで少年はまぁ近所の子供達にいじめられつつもあんま悪くない暮らしをしていたように見えましたね。ちなみに燃えた家屋は火災保険が満額下りるレベルの全焼でした。まさに炭。
というわけで次のエピソードに参りましょう。
第2節【オルガ】
あらすじ:家が焼け落ち、行くあてもない少年は村に向かう。
少年は黒い髪に黒い瞳。村落ではちょっとみることのない容姿で、その容姿から「厄災」とばかりに村民のリンチにあう。袋叩きという言葉の通り、麻の大きな袋に少年は入れられ鞭打たれたり蹴られたりする。しまいには袋に入ったまま物のように持ち上げられて動物のように、犬のようにくびに縄を括られて怪しげな老女に差し出された。老女の名前はオルガ。オルガは、少年を買い取り、下働きとして働かせる。老女はまじないや民間療法を行う祈祷師で、少年に蛇を担がせたり色々と雑用をさせる。少年も素直に従う。
あるとき、村で病が流行り多くの死人が出た。高熱が出て、死に至る病で感染力は強そうだ。まじないで病を直していたオルガと少年もその病にかかった人たちを診ていた。その結果、ある日少年も高熱を出してしまう。オルガは彼のことを治療しようと、夜中に少年を首から上だけ出して土中に埋めた。翌朝、少年が目を覚ますとどう猛なカラスが少年を狙っている。首から下は土中であり、カラスから逃げることも払いのけることもできない。少年はカラスに啄まれ血まみれになる。そこにオルガが帰ってきて、カラスから解放される。少年の熱も下がっていた。
ある時、少年が川辺にいると村の若い者たちがはしゃいでいた。今でも村人には悪魔だの厄災だのと思われている少年は川に突き落とされてしまう。そして、少年は川の流れに乗って下流へ流されて行った。
節2感想:いや、呪いで熱治ってますやん。呪い超効いてるやん。というのが本節の感想です。オルガは蛇を患者に這わせたり、もう民間療法と怪しい魔術のパレードなんですけど、根が悪い人ではないようで、少年を小間使いにするも、割と大事にしてくれいているようなのですよね。土中に埋めた時も「ヤバい、治してあげないと!」という感じなので悪気はなさそうでした。しかし、土中から首だけ出て身動きが取れず、状況もわからず周りの者についばまれ続けるその姿は本作のメインイメージとして採用されるだけのことはあります。まさに本作の伝えたかったシーンの1つでしょう。とても象徴的なシーンでした。
さて、ここまで前半の内容が終わりです(終わらせます)。のっけからハードボイルドな展開ですが、この後少年はもっと悲惨な目にあいます。前世でいったい何をやらかしたのかというくらい悲惨な目にあいます。
次回お楽しみ()に。
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