推しの子について

もう、先週の話なんだが。
推しの子の最新話がヤバい。
展開としては予想通りではあったのだが、実際の会話の展開。絵作りは期待以上であり、続きが今から楽しみな状態だ。

推しの子のあらすじは以下の通りだ。

推しの子は芸能界を舞台としたサスペンスだ。
雨宮ゴローは研修医時代に、患者であるサリナの影響で、アイドルのアイのファンとなり、彼女を推すようになる。
成長し、産婦人科医となったゴローのもとに推しのアイドルであるアイがやってくる。アイドルを続けながら、秘密で出産したいと考えるアイ。ゴローは彼女に協力する。しかし、ゴローはストーカーによって殺されてしまう。
死んでしまったゴロー。しかし、彼には第2の人生があった。
なんと彼は、アイの子供として転生する。

ここまで話すと、なろうによくありそうな話なんですよ。最近は乙女ゲー転生の流れで、現代のヒロインや男性に転生はよくありますし、芸能界もありますから。
連載当初、私はアクタージュとなろうのいいとこ取りだと思って読んでいました。

アクアは役者として芽を見せはじめ、ルビーは前世のトラウマを乗り越えてアイドルを目指しはじめる。アイも子供たちとの交流を通じて、徐々に人間らしさを持ちはじめた。
そういう何かしらの欠けた家族のヒューマンドラマのようなものがはじまるかと思えば、急展開でアイはストーカーに殺されてしまう。
アクアは、ストーカーによる殺人は仕組まれたものであると推察し、ストーカーに情報を流した人物がいることに気づく。それが、自分の父親ではないかと考える。

これにより、アクアは殺された母の復讐のために、自分の父親捜しをすることになる。そのために、芸能界で生きることを決意する。

この流れはショッキングだし、これが連載の上で、物語がどうなるかわからなくさせている。この急展開により、そもそも、アイはだれと恋に落ちて子供を産んだんだってはなしになってきて、彼女の過去も怪しくなってくる。

また、アクアが生き抜く芸能界の描写もとても緻密で、人に話したくなる。
マンガの実写化ドラマのドタバタは短いながらも、濃いいたたまらなさを感じるような身の詰まるような撮影現場の事情が描かれていました。
恋愛リアリティーショーに参加したアクアがSNSによる炎上を間近で見て、その渦中にあるヒロインを助ける展開は手に汗を握ったし、自身のSNSの使い方を振り返らせるような想像できるリアリティがありました。
マンガの舞台化による、漫画家、プロデューサー、脚本家のすれ違い、役者たち同士の交流は、話が進むごとに読者がヘイトや感情移入をする相手が切り替わり、最後にはだれも悪い人がいないような気持のいい終わり方をさせたところがよかった。そのうえで、新しい情報によるこの後どういう新展開が起きるのだろうか、という不穏さのワクワク感があった。

これらの芸能界の裏側に迫るストーリーを展開させながら、アイに対しての謎。アクアとルビーがなぜ産まれたのか、という秘密にも迫っていく展開には緊張感が走る。

このスリリングな展開とは裏腹に、ラブコメとしての甘さも両立させているバランス感覚もすごい。今回、私は推しの子の最新話の急展開に興奮しているのもラブコメの部分が強い。

まず、有馬かな。子役時代からマルチに活躍するタレント。アクアとは幼い頃に役者として共演した仲。アクアたちが高校生になるころには、役者として元子役のイメージを引きずってしまう不遇な状態になっていた。アクアとは漫画の実写ドラマ化をテーマとした回で、関係性を進展させ、アイドル活動をはじめたルビーに、自身のグループに誘われる。

ムーブが幼馴染キャラな感じがとてもいい。恋愛面では、受け身なとこが多いので、後手に回ってる感じがするし。最悪なタイミングで、最悪なことが起きてしまうことが多いのが不運感があって、目が離せなくなる。そのうえで、芯の強さや真面目さ、ひたむきさを感じる場面が多く好感が持てる。

そして、黒川あかね。アクアとは恋愛リアリティーショーで共演。不慣れなバラエティでの活動で空回りしてしまい、SNSでの炎上に巻き込まれてしまう。これにより、ふさぎ込んでしまった彼女は自殺を考えることもあるほどだったが、アクアによって助けられる。その後、じつは役者として、自分の演じる対象を分析して、自身の中に再現することに対して驚異的な才能を持っていることが明らかになる。この才能により、恋愛リアリティーショーでアクアを喜ばせたい彼女は、彼が好みのタイプとして挙げたアイをコピーすることに成功する。あかねのアイに対する分析能力を評価したアクアはそのまま恋愛リアリティーショーであかねと付き合い、表面上のビジネスカップルを行うことにする。

有馬かなと黒川あかね。この二人はどちらもキャラが濃く、目が離せない危うさを持っている。それは心の弱さだったのだけども、コインの裏には表があるように、舞台をひっくり返すだけの強さにもなりうる。そこが緊張感があって、アクアはどちらと最終的に付き合うことになるのかは私にとって楽しみにな事だった。

この二人の一騎打ちだと思われていたラブコメにとんでもない、第3勢力がやってきた。アクアの妹であるルビーだ。
彼女は、アクアの前世であるゴローが研修医時代に交流していた患者のサリナだった。正確に言えば、ルビーの前世はサリナだった。これは読者にはわかるように描かれていた。
先週の神回で、その事実がルビーとアクアの間で知られることになった。
お互いが前世から交流のある関係であったことが明らかになる。
これでわだかまりが消えるんだろうな、と考えていたらですよ。

その後のルビーのあの表情ですよ。

横槍メンゴ先生の情的な女性の表情の上手さについては、『君は淫らな僕の女王』や『クズの本懐』でわかってはいましたが、破滅的な予感を感じさせる汗のにおいまで伝わりそうな表情の描写はさすがだと思いました。

今から続きが楽しみです。これ、どうなっちゃうのだろう。


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