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双剣におけるダメージ増加効率の理論的考察

※Ver13時点の文章です

双剣は属性が重要、とはよく言われることだがどれくらい物理攻撃力を犠牲にしていいのか根拠をもって語られることは少なく、プレイヤーの主観に委ねられていることが多い。結果、双剣ですら汎用性などという文言を用いて無属性を推すような動画がMHRise無印の時期に蔓延るなどの事態が発生したのは記憶に新しい。実際にはモンスターの肉質と攻撃の威力を踏まえて物理と属性の割り振りを検討するべきである。本研究では物理と属性の割り振りに関する理論的な指標を構築する足掛かりとして複数の攻撃と肉質の組み合わせを用いて物理と属性のダメージ効率比を計算した。

本文章は以下の要素で構成される

1.ダメージの仕組み

ダメージは物理、属性ともに「攻撃の威力×肉質×ダメージ倍率×攻撃力」で決定される。
このうち、図1に示すように肉質と攻撃力はそれぞれハンターノート、ステータス画面で確認することができる。ただし肉質はモンスターの状態によって変化するものがありそれはハンターノートによる確認はできない。
攻撃の威力はモーション値、属性補正と呼ばれているものでダメージシミュレータやhyperwikiなどで確認できる。
ダメージ倍率は斬れ味補正とスキルに記載されている倍率をすべて掛け算したものになる。斬れ味補正はダメージシミュレータで確認するとよい。

図1.肉質と攻撃力の確認

図.1の情報をもとに計算例を表1.に示した。物理、属性ごとに横に並んだ数値をすべて掛け算し、それぞれの計算結果を足すことでダメージになる。

計算結果は153ダメージだが端数の関係で実ダメージとは若干のずれがある。比較の上ではほとんど影響がないため正確な計算方法について今回は取り扱わない。
なお今回は%表記になっている数値をすべて10%→0.1のように表記している。普段から肉質やモーション値をよく見る方は注意してほしい。

2.ダメージ効率比の定義

ここでは次項の計算結果がどのように算出されるか説明する。
前項で示したようにダメージは「攻撃の威力×肉質×ダメージ倍率×攻撃力」で決定される。ここで前3項目を固定することでダメージと攻撃力の一次関数を作ることができることに注目したい。例えば表1で攻撃力以外の数値をまとめると
物理ダメージ=0.278×攻撃力
属性ダメージ=0.75×属性値
となる。初期値に表1の攻撃力と属性値を適用すると図2(a)のような攻撃力の増加量とダメージのグラフを作ることができる。また、初期値を0にすることで図2(b)のようなダメージの増加効率のみを示すグラフも作ることができる。

図2.ダメージ増加効率(神閃・雷渦一双、鬼人空舞)

ダメージ効率比を傾きの大きさの比(属性/物理)と定義すると0.75/0.278≒2.70より、セルレギオスの脚に斬れ味紫の「神閃・雷渦一双」で鬼人化して鬼人空舞を当てる場合、攻撃力を27上げることと属性値を10上げることが同じ効果量であることがわかる。図2(b)でも破線で示したように攻撃力+81と属性値+30が同価値であることが読み取れる。
このように双剣においては極端に属性の効きが悪い相手以外は同じ数値を上げられるなら属性を強化する一択であるケースが多い。
他武器サンプルとして大剣「神断・雷渦外天」の真・溜め切り(溜め最大、強撃)で同様の計算を行い図3に示した。本武器は元の斬れ味が白だが条件を近づけるため紫で計算している。

図3.ダメージ増加効率(神断・雷渦外天、真・溜め切り3強撃)

効率比は0.252であった。これは攻撃力を10上げることと属性値を40上げることがほぼ同価値であることを示しており、真溜め軸の大剣が圧倒的に物理優勢な武器であることが確認できる。

ここまでで示したように物理と属性どちらを強化するべきかについては状況、仮想敵ごとのダメージ効率比を計算することで大まかに判断することができる。

3.理論計算・考察

ここでは複数のモーションの組み合わせと肉質の属性/物理の比を用いて物理寄せか属性寄せ、どちらで戦うべきか数値上の基準を探していく。

効率比

まず、効率比のグラフの作成にあたって実戦に即したモーションとダメージ倍率の仮設定を行った。表2の上段に会心設定、中段に会心期待値、斬れ味補正、およびこれらにそれぞれ異なる条件A,B,Cを加えたダメージ倍率を示した。下段は使用モーションで、物理寄り攻撃として鬼人空舞+空中回転斬り、属性寄り攻撃として螺旋斬を採用した。

この条件を適用し肉質の属性/物理を横軸、効率比を縦軸にしたグラフを作成し図4に示す。横軸の数値がおよそどの部位に相当するかいくつか例示しておいたので参考にしてほしい。

図4.肉質ごとの効率比

(a)と(b)は一見同じグラフに見えるがスケールに大きな違いがある。
おさらいになるが縦軸は属性値を1上げることが攻撃力をどれだけ上げることに相当するかを示している。例えば(b)C条件でショウグンギザミの頭に螺旋斬を当てる場合効率比は7.5となり属性値を1上げることと攻撃力を7.5上げることが等価である。
効率比をEとすると両グラフの表示上の範囲は合わせて0.76<E<7.5である。Eの範囲内で鬼人化や傀異錬成などの方向性をどうするべきか考察する。

傀異錬成

攻撃力+20または攻撃力+5,属性値+20が候補となる。差を考慮すると検討するべき内容は攻撃力+15と属性値20どちらの効果が高いかになる。攻撃+15の方が効果量が高くなる条件はE<15/20=0.75である。グラフ上にはこのEの値は存在しない。ただしこれは表2で設定した標準条件内のことで、実際にE<1のようなターゲットを考えるときには通常、属性側には倍率を振り分けないため会心撃【属性】を外して計算することを考えるとE<0.75×1.135=0.85となる。つまりライゼクスの頭やクシャルダオラの頭(火属性)を主に攻撃するときは攻撃力+20を選択すればよいということである。鉄蟲斬糸の使用を考慮するとEの値がさらに大きい場合も攻撃力+20を選択した方がいい場合があると考えられるが今回は詳細な議論は省略する。

鬼人化/鬼人化【獣】

前提として鬼人化は武器性能と乗算系の攻撃力強化によって効果量が変化する特性がある。そのためモデルを設定する。また傀異錬成で攻撃+20を選択する場合は鬼人化【獣】一択であると考えられるため傀異錬成は攻撃力+5,属性値+20の場合を考える。ベースにはウェントゥス=ダオラの攻撃力と属性値、スキルは攻撃7と属性強化5の乗算部分を計算した場合とさらに恩恵2と奮闘3を加えた場合を考える。条件と各々の鬼人化/鬼人化【獣】による強化量を表3に示す。

攻撃7と属性強化5を使用した場合、鬼人化<鬼人化【獣】となる条件はE<2.23、さらに恩恵2と奮闘3を加えた場合はE<1.69となった。

状態異常武器を使うべきか

前提として無属性の使用は現環境ではありえないことを指摘しておきたい。これは蓄積攻撃強化のスキルによって状態異常武器に期待値1.067倍の第二の会心要素が追加されたからである。また例えば霞双剣オオナズチにおいて毒ダメージは全体の1割程度のダメージを担う(ソロ)ため錬成攻撃力+20、攻撃7、護符、爪を持っているとして鬼人化【獣】状態の実効攻撃力は(330×1.1×1.2+10+15)×1.067/0.9=546、表3の攻撃7属性強化5の条件に護符、爪を加えると鬼人化【獣】状態の攻撃力は315×1.1×1.2+10+15=440、属性値74×1.2+4=92、攻撃力差を属性値で割ると1.13よりE<1.13は状態異常武器が優勢になってくる領域と言える。属性武器において錬成で攻撃力+20を選択するのはE<0.85が条件だったが、これが最適構築と言えるケースが存在しない可能性をこの結果は示唆している。

4.結論

ここまでを踏まえて図5に判断基準を示した。鬼人化の判断基準線はスキル攻撃7、属性強化5をベースとしている。

図5.構築判断基準

ダメージ効率比Eは
(属性補正×属性肉質×属性ダメージ倍率)/(モーション値×肉質×物理ダメージ倍率)
で計算でき、値が大きいほど属性寄り構築が優勢になる。
Eの値によって4つの領域に分けることができる。
E<1.13:状態異常構築優勢
1.13<E<1.69:属性武器、鬼人化【獣】
1.69<E<2.23:攻撃+鬼人化【獣】、奮闘+鬼人化どちらも可
2.23<E:属性優勢

螺旋斬を軸にする場合、渾沌ゴアレベルの物理寄り肉質ですら属性優勢になることが分かる。標準的な肉質の相手に物理攻撃力に割り振る余地を考えるならば鬼人化【獣】を使うことを前提にどれくらいの割合を空舞コンボで構築するかから考えることになるだろう。鬼人化軸であれば攻撃スキルは優先度はかなり低い。
また属性肉質の悪い相手には状態異常武器にも検討の余地があることが示唆された。ただしその際主力になる空舞関連のモーションはフルスペックを発揮する難易度が螺旋斬軸と比べ高めであることは気に留めておく必要がある。

今回定義したEはゲーム外でしか見られない情報を使用する点、全体の攻撃構成を把握する必要がある点(録画環境があれば比較的楽)で導く難易度が高いことが問題となる。さらにシンプルな指標があればより構築の助けになると考えられる。

あとがき

ここまで真面目に読んだ方、お疲れ様です。

この文章は完全に気まぐれによって書かれているため表記揺れが酷かったり条件設定が急に雑になったりしています。本当は図4のグラフ作って後は読む人に丸投げしようと思っていたのですがそこで終わると書き出しが示唆する内容とずれるかもな~とか思ってしまい数値基準の考察を追加しました。なので特に後半が雑です。ついてこれた人すごい。

やってみた感想がありまして筆者の予想以上に体感と数値基準が一致していました。効率比E自体指標としてただの思いつきなのでまともに機能するかわからないまま計算していたのですがやってみるもんだなと思いました。
この続きを作るならダメージ倍率の方に重点を置いたパターンを用意することですかね。よほど気が向かない限りやらないと思いますけど…

以上です。またね

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