見出し画像

株式投資での、グロース・バリュー・高配当・割安のまとめ

グロース・バリュー・⾼配当・割安、どんな定義があるの?
漠然と使われる⾔葉で、本来はいずれも厳密な定義はありません。ただし、指数などを作るときに定義ができてきました。⼀番よく使う定義は、「PBR(株価純資産倍 率)*」で市場を半分に分けて、⾼い⽅をグロース、低い⽅をバリューというものです。これは、正直なところ指数を計算するのに問題を簡略化しすぎですが、⼀番多く 利⽤されている定義と⾔えます。多くの場合、バリューと割安を同じ意味で使うので、割安もPBRが低い⽅のグループとする場合もあります。⾼配当は「市場の銘柄全 体を配当利回りの⾼い順に並べて上の⽅」ですが、どのくらい「⾼い⽅」かの決まりはありません。ただ、実際に⾒てみると、配当利回りが⾼い銘柄はPBRが低いこと が(⽇本では)多いので、バリューと重複しています。
だんだんと話がこんがらがってきましたが、定義はもともとはなかったので、意味を説明します。グロースとバリューは、昔から運⽤のプロの世界にあった⼆つの運⽤ スタイルで、成⻑する会社(グロース株)を選ぶのが得意なグロース・マネージャーと、市場で無視されがちな地味な銘柄(バリュー株)の中から実⼒に応じた評価を 得て株価が上昇する銘柄を選ぶのが得意なバリュー・マネージャーがいたのです。それぞれが得意とする銘柄の集まりをグロースやバリューなどとよび、国内株投信の 種類もそのように分けることもあります。
当たり前ですが、プロの運⽤マネージャーは、PBRが⾼いほど良いグロース株とは思わないし、PBRが低いほどバリュー株(割安株)と考えるとも限りません。そんなに 単純ではないですよね。ただ、投信やETFでグロース型、バリュー型、⾼配当などがあれば、投資のイメージは沸きやすいとはいえます。
*PBR(Price Book-value Ratio)︓株価純資産倍率。株価が1株当たり純資産の何倍に買われているかをみる指標。


グロース、バリュー、成熟、ターンアラウンドに分ける考え方
運用の実務の観点ではなく、市場を分析するときに、私は4分類を使います。PBR(株価純資産倍率)とPER(株価収益率)の両⽅を使って、市場を4つに分けます。PBRが⾼い銘柄は成⻑株とは限らず、ROE(株主資本利益率)が⾼くて成⻑しない(成熟)株が含まれます。このような銘柄はPBRが⾼いがPER(成⻑期待)は低いで す。また、PBRが低い銘柄には、PERも低い銘柄とPERは⾼い銘柄があります。低PBRでもPERが⾼い銘柄は、現時点での利益⽔準が明らかに通常より低すぎて、例え ば円⾼など⼀時的な要因での利益の低下がすぐに回復(ターンアラウンド)しそうな銘柄です。PBRもPERも低い銘柄は、現時点で利益率も低いが目先はターンアラウ ンドの期待もない、という意味で、今後の期待の回復そのものが待たれている状態です。グロース・マネージャーは、この4分類でもグロース株を⾒ているでしょう し、バリュー・マネージャーはバリューやターンアラウンドを主に⾒ているでしょう。
*PER(Price Earnings Ratio)︓株価収益率。株価が1株当たり純利益の何倍まで買われているか、1株当たり純利益の何倍の値段が付けられているかを⾒る指標。
*ROE(Return on Equity)︓株主資本利益率。株主資本に対する当期純利益の割合。

グロース、バリュー、成熟、ターンアラウンドの4分類で見た日米の市場特性

興味深いのは、この4分類で日米を比べると、市場の特性がとても違うことがわかるということです。日本ではバリューがとても多く、グロースや成熟が少ないです。⽶国ではグロースがとても多いです。つまり儲かっていてしかも成⻑している銘柄が多い。儲けを⾃分 の成⻑に流し込むので成⻑に⾃信が持てます。違う⾔い⽅をすると、⽇本は全体としてはバリュー、⽶国はグロースの性格を持っているのです。
⽇本の株式市場は正直なところ⽶国より活力が足りないように⾒えます。ターンアラウンドの銘柄が今後株価が期待する程度に利益を増やして、PERもPBRも⾼い銘柄 になって欲しいものです。ちなみに、PBR=PER×ROEという関係式であることは、覚えておいてほしいポイントです。

スタイル別の投資で気をつけたいこと
「⾼配当」「グロース」「バリュー」などの観点で、個別銘柄や投資信託、ETFを選ぶことはあると思います。「どれが⼀番儲かるか」ではなく、自分の投資の目的は 何かを先に考えて、それに合うものを選んでください。
⾼配当銘柄: PBRやROEが⾼くて成熟した企業が、成長機会が少なく配当を⾼くするということが多いです。これは企業の⾏動として適切なのですが、成長銘柄の株価がどんどん上昇するときに置いていかれやすく、下がるときには価値を保つ傾向にありますので、ディフェンシブでもあります。
グロース: 流れに乗るとうまくいきますが、割⾼に買われているので、利益が増えないまま流れが変わると、急落するなどリスクが⾼い傾向にあります。
バリュー: じっと待つスタイルですが、なかなか流れが来なくて(バリュー・トラップに引っかかるなどと⾔います)待ったままになることもあります。
また、⼀番怖いのは、いつの間にか全部の種類に⼿を出して、全部合わせるとインデックスになってしまっているケース(押し⼊れの中でいつの間にか、という意味 で、クローゼット・インデックスと⾔います)があります。あれこれ気が散るなら、⻑い目で⾒れば市場を丸ごと買うインデックスタイプの⽅が簡単でいいのかもしれ ません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?