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第9回神谷学芸賞発表

(2021/07/01記)

1 口上

 七月一日。二〇二一年も折り返しを迎えましたが、コロナ禍は一進一退でなかなか明るい見通しが立ちませんね。

 さりながら、今年は学術書・教養書の実り豊かな一年だったように感じています。「この如何なる名誉も賞金も伴わない賞は、私が感興を覚えた学術書・教養書と、その著者と出版社にたいする個人的敬意の発露である」というのがうたい文句の神谷学芸賞、今年は例年以上にあちこち頭を下げて回らないといけません(笑)。

 第九回目となる本年も、前年の六月一日から当年五月三一日の間に刊行された書物の中から、私が実際に購入した(ご恵投いただいたものも含みます)、日本語で出版された単著を、五つの分野にわけて顕彰し、とくに面白い、優れている、応援したいと感じた書物に、金・銀・鋼の神谷賞を差し上げています。

 ちなみに神谷新書賞というのもあって、こちらは二月一日の発表です(昨年は二月九日にすると宣言していましたが、あまりにもキリが悪いので変更しました)。前年の一月一日から一二月三一日の間に刊行された新書判型の作品を対象としています。

 そのため、わざわざ排除しないものの神谷学芸賞には新書が登場しづらい傾向があります。むろん、どの書物をどのジャンルにノミネートするか、どういった理由で贈賞を決定するか、といったことはすべて私の恣意によりますので、あくまでも遊びと割り切ってお付き合いくださいませ。

 今年も数々の優れた書物と出会い、感動したり啓発されたり地団駄踏んだり(笑)しました。文芸もビジネスもいいのですが、やはり学問の喜び、学術・教養書の悦楽には格別の味わいがあります。そうした読書の妙を多少なりともお裾分けできればと思います。

 では早速、発表とまいりましょう。


2 金・銀・鋼の神谷賞

 まず金・銀・鋼の三賞です。

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 ◆金の神谷賞

 福山佑子『ダムナティオ・メモリアエ』(岩波書店)2020/10

 ◆銀の神谷賞

 長谷川香『近代天皇制と東京』(東京大学出版会)2020/06

 ◆鋼の神谷賞

 塩川伸明『国家の解体』(東京大学出版会)2021/02

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 土壇場で逆転が起こった昨年と異なり、今年の金の神谷賞・銀の神谷賞候補は比較的安定していました(迷った作品がないわけではありませんが)。

 金の神谷賞を差し上げた福山書『ダムナティオ・メモリアエ』は一冊の書籍としては、今期購入したなかで最も高価な本体価格一万円。容易に手を伸ばせる金額ではないので、くれぐれも立ち読みしてからお求めください(苦笑)。

 本タイトルは一般に「記憶の破壊」と訳され、古代ローマ時代、元老院支配に反逆した皇帝などに対して行われた記録(記憶)抹消措置(処罰)を指します。「ローマ帝国では悪帝とみなされた皇帝にまつわる記録や彫刻の削除・改変が、広く行われていた」のだそうです。本書が教えてくれるその徹底ぶりには唖然とするほかありません。

 でも現代を生きる我々は、ちょっと歴史を遡るだけでそれに類する話を思い出さずにおられない訳です。スターリンと敵対したトロツキーや毛沢東に粛正された林彪といった事例を。権力が敵対する者、あるいは都合の悪い者に苛烈なのは時代や洋の東西を問わないのです。

 本書は、記録の抹消(破壊)がある種の刑罰として機能したという事実から、記録を残し後世に伝えるという行為が人間の原初的な欲求であることを逆照射します。

 それは牽強付会だろう、と失笑されそうですが、たとえば森友問題における決済文書の書きかえや「赤木ファイル」の隠蔽が身近な話題である今、古のローマの情報コントロールは、権力と個人の関係にまつわる自分事として読むことができると思います。

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 銀の神谷賞を差し上げた長谷川書『近代天皇制と東京』は、以前自分がお手伝いした、伊藤之雄さんの『京都の近代と天皇――御所を巡る伝統と革新の都市空間 1968~1952』(千倉書房)と比較しながら読みました。手前味噌ながら、これはぜひ並べて読んでいただきたいところ。

 当然のことながら都市の改造には複雑な事情が影響を及ぼします。「儀礼空間からみた都市・建築史」というサブタイトルからも想像されるように、本書は、明治の奠都以降、将軍の都市だった東京が天皇の居場所として整備されていく様子を「儀礼」を切り口に描きます。

 京都と異なり皇室と深く結びついた施設を持たない東京に置かれた(かりそめの)儀礼空間が、やがて近代天皇制の下、伝統や格式といった「由緒」を獲得していく有様を著者は「土地の記憶」と記していますが、私はもはや「土地の神話」と呼んで良いのではないかと感じました(猪瀬さんスミマセン…)。

 ちなみに先に触れた伊藤書では、天皇の行幸啓ルートの重要性が強く指摘されます。狭い路地の街・京都の宿命として、道路の整備、拡幅を伴う以上、当然なのですが、まずそれが基本となって大きな見取り図が現れます。

 天皇が去って行く京都と、それを迎え入れた東京、近代を境にした二つの都市の対比を愉しんでいただけたら幸いです。

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 さて、一転どころか二転三転四転して、一体何処に落ち着くのだろうと途方に暮れたほど候補が入れ替わった今年の鋼の神谷賞。

 物理的精神的に重厚長大な労作・意欲作に差し上げるつもりでいる本賞は、昨年十月の段階では、杉原薫さんの『世界史のなかの東アジアの奇跡』(名古屋大学出版会)に決まりだろう、と思っていました。

 ところが翌十一月に竹岡敬温さんの『ファシズムへの偏流』(国書刊行会)が出て「ムム…」、十二月に佐々木力さんの『数学的真理の迷宮』(北海道大学出版会)が出て「ムムム……」となり、そして年明け一月、麻田雅文さんの『蒋介石の書簡外交』(人文書院)が登場するに及んで、これで決まりかと思われた二〇二一年二月、塩川伸明さんの信じがたい大著が刊行されてゲームセットとなりました。

 箱入り全三巻からなる塩川書『国家の解体』は冷戦構造の一方の雄であったソビエト連邦が、ペレストロイカとその後の混乱を経て国家解体にたどり着くまでを、時系列と地域という二つの軸で追った超大作です。本体価格は驚きの三八〇〇〇円(分売不可)。けして伊達や酔狂で手を出してはいけません(苦笑)。

 冗談はさておき、私は非常に強固な冷戦構造に支配された世界で物心つき、わりと厳しい第二次世界大戦への省察とうっすらした核戦争への恐怖に覆われた社会で育ちました。はじめて私が意識した世界において、冷戦は所与のものだったのです。

 高校時代にゴルバチョフが登場したときは、それまでのムッツリしたソ連指導者たちとのギャップに驚き(書記長は永遠にブレジネフ、外相は永遠にグロムイコだと思ってました)、それが進めようとする改革に、どうせ変わらないか、どこかで揺り戻しが来るだろう、と冷めた目を向けていました。何しろ私は友人のMacintosh Plusで「Balance of Power」をプレイしていたんですから(笑)。

 ところがまもなくゴルバチョフはレイキャビクでレーガンと握手し、世界はあっという間に変わっていきました。私が大学生になるとベルリンの壁も崩れ、東欧諸国では次々と共産党が倒れていきました。「平和の配当」だとか「歴史の終焉」などという言葉がもてはやされた頃のことです。

 長々と自分の話をしてしまいましたが、まぁ、何が言いたいかというと、私にとって冷戦とは何だったのか、それはなぜ、如何にして終焉したのか、というのは自分の生まれ落ちた世界に対する認識にかかわる問題であり、とても重大な疑問だということなのです。

 もちろん、本書はいつ何処で何が起こり、それがどのようなバックグラウンドを持っていたか、それぞれがどのように連関していたかを丁寧に教えてくれますが、私の疑問を氷解してくれるわけではありません。

 しかし様々な補助線を引いて、全体像を把握するために、現状これに匹敵する書物はないと思います。ヴィトルト・シャブウォフスキの『踊る熊たち――冷戦後の体制転換にもがく人々』(白水社、二〇二一年)などと一緒に、これからも折に触れひもとくだろうことから授賞とさせていただきました。


3 政治・経済部門

 この部門は編集者である自身の関心事ですし、本を見ると担当編集者の顔が浮かんだりするので客観視が難しい部分もあります。

 昨年までは「政治・経済」「学」より「史」に寄りがちなセレクションを多少なりとも修正しようと思っていたのですが、現実問題として相当な困難が伴うと判断し、開き直ることにしました(苦笑)。

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◆候補作品

 西出順郎『政策はなぜ検証できないのか』(勁草書房)2020/06

 志田淳二郞『米国の冷戦終結外交』(有信堂高文社)2020/06

 佐藤信『近代日本の統治と空間』(東京大学出版会)2020/07 ★

 立石洋子『スターリン時代の記憶』(慶應義塾大学出版会)2020/07

 平井一臣『ベ平連とその時代』(有志舎)2020/07

 那須耕介『法の支配と遵法責務』(勁草書房)2020/07

 市川紘司『天安門広場』(筑摩書房)2020/08

 常井健一『地方選』(KADOKAWA)2020/09

 阿古智子『香港あなたはどこへ向かうのか』(出版舎ジグ)2020/09

 川村朋貴『扉の向こうの帝国』(ナカニシヤ出版)2020/10 ★

 平川克美『株式会社の世界史』(東洋経済新報社)2020/10

 成田千尋『沖縄返還と東アジア冷戦体制』(人文書院)2020/12

 林采成『東アジアのなかの満鉄』(名古屋大学出版会)2021/01 ★

 麻田雅文『蒋介石の書簡外交』(人文書院)2021/01

 都築勉『おのがデモンに聞け』(吉田書店)2021/01

 小嶋華津子『中国の労働者組織と国民統合』(慶應義塾大学出版会)2021/02

 須田祐子『データプライバシーの国際政治』(勁草書房)2021/02

 谷川嘉浩『信仰と想像力の哲学』(勁草書房)2021/02

 塙和也『原子力と政治』(白水社)2021/02

 網谷龍介『計画なき調整』(東京大学出版会)2021/02

 上村剛『権力分立論の誕生』(岩波書店)2021/03

 塚本栄樹『日本外交と対中国借款問題』(法政大学出版会)2021/03

 清水剛『感染症と経営』(中央経済社)2021/05

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 佐藤書『近代日本の統治と空間』は、師匠である御厨貴さんの『権力の館を歩く』(現在はちくま文庫)を見事に換骨奪胎し、さらに視野を広げて政治的空間のバリエーションと意味合いを描き出しています。

 筆致にはもう一工夫あっても良かったと思いますし、目配りが行き届きすぎたが故に項目が微細に渡り、読み物としてやや細切れ感が出てしまったのは惜しまれましたが、テーマの面白さをいささかも損なうものではありません。

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 川村書『扉の向こうの帝国』と林書『東アジアのなかの満鉄』は、私の好みのど真ん中を突いてきた感じです。一九世紀アジアへ向かって膨張する大英帝国の姿と、アジア市場を目指して次々と設立された国際銀行群(イースタン・バンク)のダイナミズムを描いた川村書は、自分が担当だったらこんなタッチで描いてもらっただろう、こんな構成を提案していただろう、と妄想が広がる作品でした。

 佐藤書もそうですが、書籍に学問的な魅力を感じると、読者に如何に読ませるかを考えてしまう(作品をドラマティックに盛り上げたくなる)のは編集者としての私の悪癖なので、実際に担当していたら著者と大喧嘩になっていたかもしれませんけれど(苦笑)。

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 林書のタイトルだけで私はご飯三杯いけます(笑)。言われてみると、菊池寛以来、あんなこともやっていた、こんなことも担っていた、という情報が錯綜し、その全容を解明してやろう、と、つい書き手が奮い立ってしまいがちな南満州鉄道株式会社を、まさに本業である鉄道から見直すという逆転の発想。

 昨年「歴史・思想」部門の候補に挙げた代珂さんの『満州国のラジオ放送』(論創社)を読んだときも思いましたが、この時代の大陸は本当に魅力的に見えますね。結構な数の日本人が一旗揚げてやろうという気持ちに駆り立てられたのもわかる気がします。

 著者は二年前、第七回の「政治・経済」部門で、『飲食朝鮮』(名古屋大学出版会)が候補になっていました。力のある書き手だと思います。

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 個人的には小嶋書『中国の労働者組織と国民統合』、塙書『原子力と政治』、網谷書『計画なき調整』も非常に興味深く読みました。ただ関連分野の研究者はともかく、これを私と一緒に読み物として面白がってくれるひとはさすがに少なそうです(悲)。


4 社会・風俗部門

 同じジャンルの中に国道三号と十六号がいたり、ディズニーがテーマの本が二冊あったり、と、この部門もユニークなラインナップが揃いました。

 ただ、社会・風俗という言葉の持つ幅の広さ、懐の深さゆえ、あれこれここに詰め込みすぎたかな、という反省もあります。

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◆候補作品

 石岡学『「地方」と「努力」の現代史』(青土社)2020/06

 岡安儀之『「公論」の創世 「国民」の誕生』(東北大学出版会)2020/07

 樋口恵『エリアス・カネッティ「群衆と権力」の軌跡』(晃洋書房)2020/07 ★

 宮平望『ディズニー変形譚研究』(新教出版社)2020/08

 畑中章宏『五輪と万博』(春秋社)2020/08

 森元斎『国道3号線』(共和国)2020/08

 日比嘉高『プライヴァシーの誕生』(新曜社)2020/08

 伊藤亜紗『手の倫理』(講談社選書メチエ)2020/10

 先崎彰容『鏡の中のアメリカ』(亜紀書房)2020/10

 平山洋介『「仮住まい」と戦後日本』(青土社)2020/10

 東千茅『人類堆肥化計画』(創元社)2020/10 ★

 伊東達也『苦学と立身と図書館』(青弓社)2020/10

 金子勇『ことわざ比較の文化社会学』(北海道大学出版会)2020/10

 飯田未希『被告民な女たち』(中公選書)2020/11

 柳瀬博一『国道16号線』(新潮社)2020/11

 大石始『盆踊りの戦後史』(筑摩選書)2020/12

 椎名美智『「させていただく」の語用論』(ひつじ書房)2021/01

 伊藤智樹『開かれた身体との対話』(晃洋書房)2021/01

 饗庭伸『平成都市計画史』(花伝社)2021/02 ★

 清水知子『ディズニーと動物』(筑摩選書)2021/02

 松村淳『建築家として生きる』(晃洋書房)2021/03

 和田健『経済更正運動と民俗』(七月社)2021/03

 北村陽子『戦争障害者の社会史』(名古屋大学出版会)2021/03

 西山隆行『<犯罪大国アメリカ>のいま』(弘文堂)2021/03

 田中輝美『関係人口の社会学』(大阪大学出版会)2021/04

 真辺将之『猫が歩いた近現代』(吉川弘文館)2021/05

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 樋口書『エリアス・カネッティ「群衆と権力」の軌跡』はあまり迷いなく選んだ感じです。池内紀さんの翻訳でカネッティの『眩暈』(法政大学出版局、現在は改装版あり)を読んだのは学生時代でしたが、代表作である『群衆と権力』(法政大学出版局)を読み落としていたため、『眩暈』の内包する深い闇を長らく理解できていませんでした。

 しかしあるとき池内さんが書いたエーゴン・フリーデルの評伝『道化のような歴史家の肖像』(みすず書房)に、雷に打たれたような衝撃を受け、慌てて『群衆と権力』へと立ち返り、以来、何かにつけ読み返す、というのが私とカネッティの因縁です。

 私はカネッティの戯曲を全く読んでいなかったので、まず『群衆と権力』を群衆論の中に位置づけた上、戯曲を手がかりに、ユダヤ人作家としてはアンビバレントな内面を持つ彼の深層に分け入ろうとする手法に強い興味を引かれました。

 読後、何度か本書の面白さについてネットに書いたりもしたのですが芳しい反応はなく、もうちょっと注目されても良い本ではないかと思っています。

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 東書『人類堆肥化計画』は冒頭、自分の生きる目的を「ただ悦びを得ることだけにある」と宣言してはじまります。諧謔なのか真剣なのか、これをどう受け止めて読み進めたらいいのか、読者は面食らうに違いありません。

 人類の道徳的ありかたを堆肥になぞらえ、腐敗せよ、と説き、「さっさと土にまで堕落してしまえばいい」と喝破する著者の肩書きは「農耕者」「里山制作団体主宰」。二〇一五年に奈良の山奥で米を作り鶏と暮らす生活をはじめ、その日常と思索をエッセイ風にまとめたのが本書です。

 堆肥男の生活と意見(社会考察)を条々解説するのは無粋が過ぎるというものなので、引用などは控えますが、この本自体が非常に周到に計算し作られたものであることは称揚しておきたいと思います。隙がありません。担当編集者、端倪すべからざる腕です。

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 続く饗庭書は二〇一六年に「社会・風俗」部門の候補となった前著『都市をたたむ』(花伝社)を越え、日本の都市計画の三〇年を地方分権やコミュニティの問題、災害からの復興といった観点にも目配りしながら探っていきます。

 「元号なんて適当なもので歴史をくくるんじゃないよ」と歴史学者に忠告されたと告白する著者が、それでも本書に『平成都市計画史』のタイトルを冠したことには、自らの研究手法への自負も秘められているのではないかと忖度してみたり……。

 法と制度の多寡、そして「民主化の度合い」と「ビジョンの構成」をそれぞれXY軸にとり、四つの象限で都市計画の性格を明らかにするマトリクスは、じつは様々な分野で応用が可能ではないでしょうか。

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 そのほかには柳瀬書『国道16号線』と先崎書『鏡の中のアメリカ』がテーマといい筆致といい、手練れの技を堪能させてくれました。


5 歴史・思想部門

 今年は格別に充実していましたね、この部門。政治史・経済史系の書籍を思い切って「政治・経済」部門に戻したのにこのラインナップですから、見事なものです。

 あれもこれも採り上げたい気持ちは如何ともし難く、結局、部門賞が五つになってしまいました(笑)。

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◆候補作品

 梅澤佑介『市民の義務としての<反乱>』(慶應義塾大学出版会)2020/05

 川島昭夫『植物園の世紀』(共和国)2020/07 ★

 小林善文『中国水環境の歴史と現在』(昭和堂)2020/07

 根川幸男『移民が作った街サンパウロ東洋街』(東京大学出版会)2020/07 ★

 上原兼善『黒船来航と琉球王国』(名古屋大学出版会)2020/08

 桃崎有一郎『礼とは何か』(人文書院)2020/08

 入不二基義『現実性の問題』(筑摩書房)2020/08

 赤松加寿江『近世フィレンツェの都市と祝祭』(東京大学出版会)2020/08

 中村亨一『海の上の建築革命』(忘羊社)2020/09

 廣部泉『黄禍論』(講談社選書メチエ)2020/09

 山縣大樹『帝国陸海軍の戦後史』(九州大学出版会)2020/09

 陳肇斌『中国市民の朝鮮戦争』(岩波書店)2020/10

 杉原薫『世界史のなかの東アジアの奇跡』(名古屋大学出版会)2020/10

 森岡正博『生まれてこないほうが良かったのか?』(筑摩選書)2020/10

 左近幸村『海のロシア史』(名古屋大学出版会)2020/11 ★

 竹岡敬温『ファシズムへの偏流』(国書刊行会)2020/11

 中根誠『プレスコードの影』(短歌研究社)2020/12

 張雲『日中相互不信の構造』(東京大学出版会)2021/01

 飯田洋介『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争』(NHKブックス)2021/01 ★

 枝久保達也『戦時下の地下鉄』(青弓社)2021/02

 植木朝子『虫たちの日本中世史』(ミネルヴァ書房)2021/03

 手代木俊一『日本における賛美歌』(日本キリスト教団出版局)2021/03

 榎本泰子『「敦煌」と日本人』(中公選書)2021/03

 〓澤歩『ふたつのドイツ国鉄』(NTT出版)2021/03

 竹倉史人『土偶を読む』(晶文社)2021/03

 三村昌司『日本近代社会形成史』(東京大学出版会)2021/04 ★

 城山英巳『マオとミカド』(白水社)2021/05

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 川島書『植物園の世紀』には一目惚れでした。まず装丁が良いんです。紀伊國屋書店新宿本店で目にした本書の前を素通りすることなど出来ませんでした。

 そしてページをめくった私は、著者が本書の出版を目前に校正ゲラを遺して逝去され、お弟子さんが後を引き継いで刊行にこぎ着けたことを知ったのです。嗚呼!

 大英帝国の植民地政策と「植物園」の関係は複雑なものです。博物学や植物学、そして庭園といった学問的趣味的な要素が一方のドライブとしてあり、他方には国益追求の手段としてのプラント・ハンティングや植物資源の活用などの実利的経済的要素が厳然と存在するからです。

 その様子を全八章構成で描いた本書は、言われなければバラバラの論稿の集成とはにわかに信じがたい仕上がりとなっています。生前の著者の揺るぎない視座、一貫した分析の指針を感じました。

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 根川書『移民が作った街サンパウロ東洋街』は多くの資料と人々の証言をもとに、南半球最大の都市の「世界最大の日本人街」がどのように形成され発展していったかを探訪します。

 「地球の反対側の日本近代」というサブタイトルも、「ブラジル移民110年の物語」という帯の惹句も、自身のブラジル初体験から筆を起こす導入部も、単なる学術書に留まらない余情を漂わせるもので、読者を作品に引き込まずにおきません。

 韓国系、華人系移民の流入によって、日本人街が本来の意味での東洋街(総合的なアジア・エスニックの街)へと変容していく様をたどる六章、終章が、ウェットな懐古や愛惜のトーンでなく、未来を見据え、マルチエスニックなコミュニティに対するさらなる調査研究意欲にあふれた筆致に貫かれていることもポイントが高いです。

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 左近書『海のロシア史』は一読して、いいタイトルだなぁ、と感じ入りました。もちろん「ユーラシア帝国の海運と世界経済」というサブタイトルとのバランスの上に成り立ってはいますが、本書の描こうとする物語を余すところなく表現していて著者と編集者のセンスを感じます。

 イギリスに引きずられる形で、図らずも海上輸送による国際交易競争(著者は「第一次グローバリゼーション」と書きます)に巻き込まれた巨大帝国ゆえのロシアの苦悩は、もっぱらユーラシア国家としてロシアを理解しがちな私には新鮮な観点を与えてくれました。

 同書と、次の飯田書『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争』を並べて読むのは、まさに読書の愉楽というものでしょう。両書は、取り扱う時期も地域も少しずつ違うものの、近代化にともなう海洋進出競争のなかで、国家の角逐がどのような形で進展し、そして数度の戦前、戦争、戦後を経て現代へとつながっていくかを鮮やかな見取り図に示してくれます。

 私は普仏戦争にもビスマルクの事績にもまったく明るくありません。でも、ドイツ語、フランス語の史資料を駆使して描写される臨場感あふれた記述にほだされ、やや強くビスマルクに感情移入してしまいました(苦笑)。NHKブックスという限られた紙幅の中でこれだけの叙述を展開できるのは著者の力量かと(もうちょっとたっぷり読みたい、という気持ちになるのは、私が今時の読者でない証なのでしょう)。

 なお、近年の歴史研究ではすっかり常識となった感のある「グローバル・ヒストリー」という言葉。耳にするようになった当初、茫漠としてよくわからんなぁ(今までの研究と何が違うんだろう……)、という感想だったものが具体的な作品を読む中で、最近ようやく腑に落ちてきました。

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 自分がその面白さを伝える十分な言葉を持ち合わせないことに苛立ちさえ覚える、三村書『日本近代社会形成史』ですが、おそらく前田亮介さんの『全国政治の始動』や松沢裕作さんの『明治地方自治体制の起源』(ともに東京大学出版会)と並べる私の読み方は間違っていないだろう、と思います。

 本書には「議場・政党・名望家」という不思議なサブタイトルが付いていて、これまでも政党に着目する研究はこの分野に数多くありますが、議場、名望家に目配りする研究はごく限られ、ましてこれらを並べて分析しようなどというチャレンジャーには出会ったことがありません(私が不勉強なだけなのですが……)。

 各章で取り上げられる個別の事例(おおよそ今の兵庫県、旧三田藩エリアに限られる)が、どれくらい全国的に敷衍できるのか、という疑問はついてまわるにせよ、言葉と実態が大きく乖離していた「国家」「社会」「個人」というものが、徐々に現在我々が共有する語彙に収まっていく過程に分け入る試みは十分に刺激的で興味深いものでした。


6 自然・科学部門

 純粋に学術という観点で見ると佐々木書『数学的真理の迷宮』に突出した存在感があります。ただ、面白いからみんな読んでみて、という軽やかな(軽薄な?)読書への誘いたる神谷学芸賞にはやや重すぎる感もこれあり……。

 なお同書も「歴史・思想」部門の川島書同様、刊行と相前後して著者が急逝されています。合わせてご冥福をお祈りします。

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◆候補作品

 田村公平『文化進化の数理』(森北出版)2020/04

 大熊孝『洪水と水害をとらえなおす』(農山漁村文化協会)2020/05

 標葉隆馬『責任ある科学技術ガバナンス概論』(ナカニシヤ出版)2020/06

 山田俊弘『<正義>の生物学』(講談社サイエンティフィック)2020/06

 松本敏治『自閉症は津軽弁を話さない リターンズ』(福村出版)2020/06 ★

 稲垣英洋『生き物の死にざま はかない命の物語』(草思社)2020/07

 頭木弘樹『食べることと出すこと』(医学書院)2020/08

 奥野克巳『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』(亜紀書房)2020/09 ★

 信岡朝子『快楽としての動物保護』(講談社選書メチエ)2020/10

 佐々木力『数学的真理の迷宮』(北海道大学出版会)2020/12

 岡本拓司『近代日本の科学論』(名古屋大学出版会)2021/03

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 一〇年近くにわたり「自閉症児者は方言をしゃべらない」という俗説の正否を探る過程で、方言のもつ社会的機能を切り口に自閉症児者の言語習得やコミュニケーションの特異性に迫った前著『自閉症は津軽弁を話さない』(現在は角川ソフィア文庫)から三年、その続編である松本書は、その後、著者のもとに寄せられた「自閉症者が方言をしゃべるようになった」という情報を手がかりにさらなる調査研究に挑んだ記録です。

 前著を世に問うたことで「ASD(自閉スペクトラム症)そのものを自分なりにどう捉えているのかという問題に向きあわなければならなくなった」著者の前には次から次へと新たな謎が立ちはだかります。

 この紹介を読んだだけで知的好奇心を刺激されませんか。私など、本書と出会って慌てて前著を読んだこともあり、未知の世界に大興奮しました。認知だとかミームだとか社会性の獲得、といったタームにピピッと来た人にはかなりオススメです。

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 奥野書『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』は、二〇一八年(第六回)に「自然・科学」部門の候補に挙げた前著『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』(亜紀書房)に比べると、章タイトルがやや悪ノリっぽくなっていて気になったものの、膨大なフィールドワークを背景にした哲学的思索からは、人類学という学問の豊かさ、自由さ、おおらかさも感じられます。

 すでにかなりの世評を受けていて、山のように書評も出ましたから今さら神谷学芸賞でもないだろうという気はしますが、前著がめちゃくちゃ面白かった記憶も覚めやらぬことから、合わせ技一本で授賞とさせていただきます。


7 文芸・芸術部門

 個人的には関心を持ちつつも編集者としてはやや離れてしまっている感のあったこの分野。でも今年は小鳥遊書房さんからトントンとユニークな本が出て、目を向ける機会が増えました。

 授賞とはなりませんでしたが、伊藤書『<時間>のかたち』や大塚書『統計学を哲学する』が、ここに置かれているところに、私の「世界」の捉え方が表出している、と感じます。

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◆候補作品

 秋草俊一郎『「世界文学」はつくられる』(東京大学出版会)2020/07 ★

 日高昭二『利根川』(翰林書房)2020/07

 永吉雅夫『「戦時昭和」の作家たち』(青弓社)2020/09

 伊藤徹『<時間>のかたち』(堀之内出版)2020/09

 木村智哉『東映動画史論』(日本評論社)2020/09

 大塚淳『統計学を哲学する』(名古屋大学出版会)2020/10

 堀江秀史『寺山修司の写真』(青土社)2020/11

 小野俊太郎『「トム・ソーヤーの冒険」の世界』(小鳥遊書房)2020/11

 堀内正規『「白鯨」の探求』(小鳥遊書房)2020/12

 鈴木優作『探偵小説と〈狂気〉』(国書刊行会)2021/02

 小笠原亜衣『アヴァンギャルド・ヘミングウェイ』(小鳥遊書房)2021/03

 今井亮一『路地と世界』(松籟社)2021/04 ★

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 世界文学とは何か、みたいな論争は過去に何度も繰り返されており、秋草書『「世界文学」はつくられる』のタイトルを見たときは、どこか懐かしささえ感じてしまったのですが、さにあらず。

 アメリカ、日本、ソ連を比較しつつ、それぞれで刊行された「世界文学全集」がどのような意図から編まれたのか、そこには如何なるパワーが働いていたのか、そしてそれらはどのように変貌していったのかを描いた、それこそ「政治・経済」部門に挙げてもよいくらいの大河ドラマでした。

 かつて実家に講談社の「少年少女世界文学全集」があり、それで古典デビューを果たした元少年(私)は、世界文学(全集)にこんなエグい政治性があったことにまったく無自覚でした(当たり前ですけど)。

 でも講談社版「少年少女世界文学全集」にはワレンチン・カターエフの『連隊の子』が入っており、わりと気に入って繰り返し読んだ記憶があるので、これがなぜ収録されたのか逆に疑問が湧いたりもしました(全数十巻のうち、ロシア[ソヴィエト]文学の巻が四、五巻はあったはずです)。

 政治や軍事とは異なる、プロパガンダの文脈から国際社会や冷戦構造を考える上で相当面白い物語となっています。

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 偶然にも、今井書『路地と世界』も「世界文学」が一つのキーワードになっています(秋草書とは別の意図で用いられていますが)。もちろん主人公は中上健次です。

 著者は『枯木灘』をはじめ『千年の愉楽』『賛歌』『異族』などの中上作品を、「自由」「翻訳」「資本主義」「同時代性」「周縁」といった切り口から縦横に分析していきます。それは中上作品の持つ世界性の源を探る旅路でもあります。

 こういう作品に出会うと、最初は本読みとしての自分の理解の浅さや視野の狭さに暗澹としますが、その一方、ガラガラと音を立てて視界が開け、何度も読んだはずの物語がそれまで想像もしなかった奥行きをもって再び立ち上がり、まったく新鮮な読書体験が出来るという悦びもあります。

 アラフィフのおっさんには、そうした悦びが何ものにも代えがたいイニシエーションに感じられます(苦笑)。


8 総括

 最後に改めて本年度の神谷学芸賞授賞作品をご紹介し、感想めいたことをつづります。

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◆金の神谷賞

 福山佑子『ダムナティオ・メモリアエ』(岩波書店)

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◆銀の神谷賞

 長谷川香『近代天皇制と東京』(東京大学出版会)

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◆鋼の神谷賞

 塩川伸明『国家の解体』(東京大学出版会)

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◆政治・経済部門賞

 佐藤信『近代日本の統治と空間』(東京大学出版会)

 川村朋貴『扉の向こうの帝国』(ナカニシヤ出版)

 林采成『東アジアのなかの満鉄』(名古屋大学出版会)

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◆社会・風俗部門賞

 樋口恵『エリアス・カネッティ「群衆と権力」の軌跡』(晃洋書房)

 東千茅『人類堆肥化計画』(創元社)

 饗庭伸『平成都市計画史』(花伝社)

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◆歴史・思想部門賞

 川島昭夫『植物園の世紀』(共和国)

 根川幸男『移民が作った街サンパウロ東洋街』(東京大学出版会)

 左近幸村『海のロシア史』(名古屋大学出版会)

 飯田洋介『グローバル・ヒストリーとしての独仏戦争』(NHKブックス)

 三村昌司『日本近代社会形成史』(東京大学出版会)

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◆自然・科学部門賞

 松本敏治『自閉症は津軽弁を話さない リターンズ』(福村出版)

 奥野克巳『モノも石も死者も生きている世界の民から人類学者が教わったこと』(亜紀書房)

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◆文芸・芸術部門賞

 秋草俊一郎『「世界文学」はつくられる』(東京大学出版会)

 今井亮一『路地と世界』(松籟社)

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 さて、じつは今年の候補作の中には四六判のソフトカバー(並製とも言います)の作品が結構ありました。選書のような既存のパッケージに収められたもの、というわけではなく、きちんとデザインされた単独の書籍としてです。

 かつて学術書と言えばA5判のハードカバー(こちらは上製と言います)と相場が決まっていましたが、最近はそんなことはありません。

 以前、新書や選書に参考文献や索引を載せられなかったのは、本を綴じている背の部分が割れてしまう「背割れ」という現象が起こるため、ページ数を一定以上増やせなかったからでした。

 しかし近年、本を綴じるのに使われる糊(!)の性能が劇的に上がり(強さと柔らかさを両立したのです)、三〇〇頁、四〇〇頁の(なんとなれば六〇〇頁近い)新書を、ある程度強く開いても背割れが起こらなくなりました。

 結果的に、厚く出来る(ページ数を増やせる)なら参考文献も載せましょう、索引もつけましょう、という話になって、研究者が新書や選書を敬遠する大きな理由がなくなりました。

 もちろん二〇〇〇年代の頭(新潮新書が創刊され新書戦争という言葉がしきりに喧伝された頃)まで厳然と残っていた、新書などを書くのは、きちんとした専門書を何冊か書いた後、という業界(学界)のお約束(先生や先輩たちのプレッシャー?)が急速に失われたこともあります。

 統一されたパッケージデザインに落とし込まれる新書や選書は組版や装丁にかかる費用が抑えられる上、全国の書店に新書棚、選書の棚といった専門の売り場を持つため、刊行すれば一定の数がはけることは明らかで、安定した初刷り部数が期待できるぶん、単価も下げることが可能です。

 書き手としても、高価でどっしりしたA5判の専門書というステイタスにこだわるより、安価により多くの読者に手にしてもらえるほうがいい、という判断は当然あるでしょう。

 新書・選書の攻勢に、そうしたラインを持たない零細・学術専業出版社が対抗するのは容易ではありませんでした。

 しかし、各社はそれぞれに編集や制作上の工夫を凝らし、学術書としての品格を落とさないよう細心の注意を払いながら価格を抑える努力を続けました(当然、会社の規模や販売力によって採算ラインは異なるので、ある出版社では二〇〇〇円台をつけられるパッケージが、他社ではどうしても三〇〇〇円を切らない、といったことは起こります。それはご理解ください)。

 あくまで管見の範囲での出来事であることはお断りしなくてはいけませんが、四六判ソフトカバーの学術・教養書が例年になく多かったのは、厳しい競争と、コロナ禍という日本人のライフスタイルに甚大な変化を強いた厄災の中でも各出版社、編集者たちが懸命の努力を続けた賜物だったのではないか、それが今年芽吹いたのではないか、というのが、銓衡を終えての感想です。

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 もう一点、お断りがあります。

 毎年お尋ねをいただくのでお気づきの方も多いと思いますが、神谷学芸賞に私は自分の担当書を挙げません。

 それは当たり前の話で、私だって自分がお手伝いした本がかわいい、それはもう一番かわいいのです。毎年、金の神谷賞は自分の担当書に決まってしまいますから、それでは具合が悪い(笑)。

 じつは今年、「文芸・芸術」部門の部門賞にもう一冊、堀江書『寺山修司の写真』を挙げようと思っていました。ところが私は同書に個人的に関わっており、あとがきに名前を挙げていただいているのです。

 どのみち候補作の選出も授賞作の選考も恣意的なのだから、自分が読んで面白かったのなら選んでしまえばいいだろう、という気持ちもありました。

 でも、それであとがきに私の名前を見つけた人がお手盛り感にしらけてしまうのも嫌だなと、散々迷った末、かつてサントリー学芸賞の選考委員として、自分の名前が謝辞に挙がっている作品を決して推さないことを自らに課していた五百旗頭真さんのひそみに倣うことにしました。

 と言うことで、もとよりあまり厳しい縛りのない神谷学芸賞ではありますが、今回から「あとがきに神谷の名前がある作品には授賞しない」というルールを設けます(候補には挙げますけど)。

 ご承知置きください。

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 さてさて、気づけば原稿用紙五〇枚を超えているではありませんか。よくぞここまで読んでくださいました。御礼申し上げます。

 また一年、あなたに素晴らしい読書体験がありますように。

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