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「ブンガワン・ソロ」の物語

「ブンガワン・ソロ」をご存知だろうか。
映画のタイトルにもなった程、1950年代まで日本でも流行った曲だ。

元々は、インドネシアの貧しかった作曲家/演奏家による曲だ。
インドネシアは長い事ベルン条約に加盟しておらず、日本で歌い継がれてきたにもかかわらず、作曲家の生前には著作権料が支払われてこなかった。
それが支払われたのが、彼の死後4年ほど経ってからだ。

結局親族のいなかった(?)彼の一族には渡らず、著作権協会が受け取った様だった。

作曲家は生前何度か日本を訪れて、著作権料の支払いを訴えている。
相当貧しい生活を強いられていた様でもある。
それは彼の死後に叶えられるのではあるが、遅きに失した感は拭えない。

制度や習慣の差、国境などによって、うまく行かない時はある。
その場合は時を待たねばならないのはその通りなのだが、彼の場合は本当に残念としか言いようがない。

”ブンガワン ソロ”と歌い出すその曲は、インドネシアの人なら誰でも歌える曲らしい。昔からある民謡ではなく、1940年あたりで流行したと言う事なので、オランダ植民地状態と、日本占領下の境で生まれた曲と言える。

物事はなる様にしかならないのだが、そのなる様にしかならないためにも努力が必要だ。その作曲家には残念な結果と言えるのかもしれないが、彼に続くインドネシアの作曲家には朗報だったのかもしれない。

生きると言うことは、実に苦労が多く、残酷なことだと思う。
その中でも何のために生まれてきたのかと言う課題は、生きるための一つの指標になるのだろう。

「ブンガワン・ソロ」の曲を耳にする度に、そんなことを考えている。

サポートいただき感謝します。いろいろ困難な時ですが、人様のお役に立てる事を考え、行動していく所存です。宜しくお願いいたします。