2020.05.28

綾鷹の2Lのペットボトルを二本買ったので重かった。

自分への誕生日プレゼントとして欲しかった本を買った。備忘録としてなんで欲しかったのかも書いておく。

〇ユング『自我と無意識』

大学時代にずっと「集合的無意識」という概念についてずっと考えていた。けれど不真面目だったのでユングを読んでこなかった。去年あたりから塚本邦雄のことを考え始めた。彼は象徴=人間の集合的無意識にアクセスした人間だったんじゃないかと思う。フロイトの『精神分析入門』を読むと、非常に参考になることが書いてあったりする。精神分析なのに詩人について書かれているのである。塚本邦雄は、あえて短歌的にいえば茂吉の「実相観入」を「言語」に対して行ったんじゃないかと思う。実相観入は茂吉が精神科医であったがゆえの観念ではないかと思う。もちろん俳句にもその原因、要因はあるだろうけれど、あきらかにこれは精神的な動きの話だ。塚本邦雄の『詩歌美術館』は彼のペダンティックな欲望がもっともよくあらわれた著作だと思う。彼は藤原定家的な、アンソロジストとしての才に秀でていたのだろう。茂吉の方法が演繹的なら、塚本は帰納法的だ。

〇ポール・オーディ『ミシェル・アンリ』

〇ジャン・ナベール『悪についての試論』

大阪にいたとき、珍しく短歌の人と飲むことがあった。その人はずいぶん年上で、ぼくの短歌ではない話(短歌についてではあるのだけど)を酒を飲みながらうんうんと聞いてくれて、「短歌をやっていながらそういう方向に考えが及んでいる人がいるとは思わなかった」と褒めてくれた。そして「君は現象学をやったほうがいい」と方向を指し示してくれた。現象学といったらフッサールくらいしか知らなかったけれど、ミシェル・アンリとジャン・ナベールを教えてくれた。とても楽しい飲み会だった。あまりに酔いすぎて停めてあった自転車にぶつかってこけてしまった。

〇ファイヤアーベント『方法への挑戦』

正直詳しいことは何も知らない。けれど、確か何かの新書を読んだ時に「ファイヤアーベントは何もかもを否定する、完全なるアナーキストである」と紹介されていた。先程の短歌の人に、「君は破壊のことしか考えていない、そのあとの創造について考えてみるといい」という言葉を突きつけられた。これは完璧にその通りだったので、それから破壊と再生について考えている。脱構築するために飛び込むこと。思考だけでなく実践すること。その一助になれば、と思う。

〇シャルル・フーリエ『愛の新世界』

空想的社会主義としてマルクスなどに批判されるフーリエだけれど、ぼくは「情念引力」というオカルトな単語に惹かれている。愛と愛で引き合う力である。谷川俊太郎かよ、と思う。ゲゼルシャフトでもゲマインシャフトでもない、それこそ東浩紀のいう「憐れみ」と、もしかして接続することもあるのでは、と思ってもいる。でも、そんな実践なんかより、とにかく「愛と愛で引き合う」というロマンチックな考え方と「引力」という物理法則を組み合わせたその単語が気になって仕方ないのだった。ソーカルとかにぼこぼこにされそう。たぶんバルガス=リョサの『天国への道』で知ったんじゃなかったかと思う。ちなみに10000円くらいしたので、ぼくの部屋にある本では『マルセル・シュオッブ全集』の次くらいには高いんじゃないかと思う。

複素くんから『ノット救済エンド』が届いた。装丁がかなりよい。ハイライトをカートンで買ったら「ROCK」と書かれたライターが届いた。ROCKは死んでないぞ。


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