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『親愛なる潜在的外国人の皆様へ』作品・滞在制作の概要


はじめに

この作品は作家(神里雄大)が上演地に滞在し、現地俳優およびスタッフとクリエーションを行ない、発表するものである。詳しくは→コンセプトを参照のこと。

2023年7月にブラジル・サンパウロ、9月に那覇、長崎で「試演」として上演し(『東アジアのさようならにまつわる妙な人々』というタイトルだった)、2024年2月9-11日に、ペルー・リマでフェスティバル「テンポラーダ・アルタ」のプログラムとして、タイトルを変え完成版として発表した(共催:独立行政法人 国際交流基金リマ日本文化センター)。

以下に作品および滞在制作の概要を記す。

作品・滞在制作概要

必須スタッフ

・俳優1人以上(本人の体験したエピソードや背景を参考にテキストやパフォーマンスを創作するので、それを許諾してもらえる俳優)
・助手(滞在制作中は常に現場にいるのが望ましい)
・舞台監督
・照明
・音響
(スタッフは兼任可/各スタッフとも英語もしくは日本語で意思疎通できることが望ましい。

希望する追加スタッフ

・空間デザイナー
・映像作家
・ドラマトゥルク
・翻訳家
・通訳(上記スタッフが英語もしくは日本語をしゃべらない場合のみ)

*コンセプトにあるように、原則的にテキストは自動翻訳(DeepL、Google翻訳)を利用するが、英語・スペイン語(ポルトガル語も多少)以外は神里本人がチェックできないため、俳優、スタッフもしくは翻訳家のチェックが必要。

会場について

200㎡以上の会場を希望。常設の客席のありなしは問わない。客席エリアの利用等も相談できるとなお望ましい。

スケジュール案

・2ヶ月前を目処に、俳優、スタッフとオンライン・ミーティング。企画の説明をした上で、俳優自身の経験もヒアリングしたい。
・20日前、俳優用テキスト完成。
・10日〜15日前、神里現地入り。会場見学。リハ開始。スタッフとの打ち合わせを並行して行なう。
・5日前、会場の使い方を確定させる。
・2、3日前、セットアップ開始。

本番について

1日6時間〜8時間程度開場。
俳優のパフォーマンスは2時間おきに15分〜20分を想定。

神里サイドから持込可能なもの

・日本語、英語、スペイン語テキスト
・ポータブルプロジェクター(ルーメン不明、非常に弱い)
・bluetoothスピーカー
・mp3プレーヤー+ヘッドフォン×4
・簡易照明(電池式)×2、テープライト×2
・作品にまつわる写真(著作権フリーもしくはクレジット確認済)*ただし大型サイズのものは再度印刷必要
・テキスト掲示用のクリアファイル
・絵具類
・ペンやマジックなど

主催者側で用意していただく必要があるもの

・神里滞在に関する費用(旅費・宿泊・日当)
・DeepL翻訳の有料アカウント(日・英・スペイン語以外の場合のみ)
・プロジェクター
・照明機材
・印刷物(テキスト、写真等)
・その他、会場装飾に必要なものへの予算

テキストについて

コンセプトに基づき「移民あるいは観光客」である11人の架空の人物を創作。各人物はなんらかの点で、つながりがある。
このほか、同コンセプトを背景に、出演俳優のエピソードをヒアリングした上で、それを反映したパフォーマンス用のテキストを創作する。

登場人物

ガブリエル・フェルナンデス(サンパウロ市出身)
小松ラウラ(リオデジャネイロ市出身)
ファンジ(仮名・出身地等不明)
小川麻衣(山形県酒田市出身)
小川信吾(神奈川県出身)
新垣光(沖縄県那覇市出身)
宮里亜希子(沖縄県宜野座市出身)
森多計志(長崎県対馬市出身)
坂本千紘(長崎県対馬市出身)
パク・ユジン(釜山広域市出身)
ホセ・アンヘル・レオン(バルセロナ市出身)

舞台となった街、言及される街

サンパウロ(ガブリエル、ファンジ)
リオデジャネイロ(ラウラ、ファンジ)
ボゴタ(ガブリエル)
ロサンゼルス(ガブリエル)
サンフランシスコ(ガブリエル)
台北(ガブリエル、ホセ・アンヘル)
エンカルナシオン@パラグアイ(ラウラ)
アラサトゥバ@ブラジル(ラウラ)
大阪(ラウラ、多計志、光、ホセ・アンヘル)
メキシコシティ(ファンジ、ホセ・アンヘル)
オアハカ(ファンジ)
アンティグア@グアテマラ(ファンジ、ホセ・アンヘル)
リマ(ファンジ)
クスコ(ファンジ)
マチュピチュ(ファンジ)
チチカカ湖(ファンジ)
ウユニ塩湖(ファンジ)
アスンシオン@パラグアイ(ファンジ)
酒田(麻衣)
那覇(麻衣、光、ホセ・アンヘル)
宜野座(亜希子、千紘)
石垣(麻衣、信吾、亜希子)
対馬(多計志、千紘、亜希子)
福岡(千紘、ホセ・アンヘル、ユジン)
東京(千紘、信吾、ホセ・アンヘル)
奈良(多計志、ラウラ、光)
釜山(ユジン、ホセ・アンヘル、千紘)
長崎(ユジン、多計志、ラウラ)
バルセロナ(ホセ・アンヘル)
デリー(ホセ・アンヘル)
広島(ホセ・アンヘル)

リマ公演の写真と解説

*写真はすべて神里撮影

手書きの会場地図。入口(★)を入ってすぐコンセプトが掲示されていた。番号は推奨する順路と対応する人物名。
①舞台左手、ユジンのコーナー。テキスト上でマッサージの話が出てくるため、足ツボ図と足ツボ用に石を置いた。来場者はこの上を歩くことができる。これだけのために舞台上は土足禁止になった。テキストと写真のほか、テキスト上でメンションされるセウォル号沈没事故の概要も掲示。
②舞台側左手。千紘のテキストと対馬の解説文と風景写真を掲示。上部にテキストから着想を得て作った影絵のようなもの。
③街と人と海をイメージして描いたがよくわからない絵。空白部分に亜希子のテキストを掲示した。
客席側から見た舞台(照明作業中)。真ん中の赤い布には、テキスト上で触れられる出来事の写真が、クリスマスツリー状に掲示されている④。これはマクラのパフォーマンステキストの内容から来ている。向かって右手にあるテーブルに、人物相関図が描かれた紙と地球儀が置かれている⑦。右手の紙には来場者自らの体験や感想を書くことができる⑧。
④クリスマスツリーに使った写真の説明。
⑤楽屋を利用し、プロジェクターでサンパウロ公演の一部(ガブリエル・フェルナンデス)を上映。テキストに登場する台北の写真や臭豆腐の解説などを配置。
⑥舞台右奥。ラウラと多計志(カップル)のテキストが音声で聞ける。写真はテキストから。
⑦テーブルに置いた人物相関図。開催中に完成させるつもりだったが、来場者によってどんどん書き加えられていった(ペルーの街名だったり、自分がどこに行ったか、どこに行きたいかなど)。
⑨テキスト上でメンションされた国の国旗を吊ったが今後はおそらく採用しない(コンセプトに矛盾するため)。国旗のあいだに、バックパッカーだったホセ・アンヘルのテキスト、彼の訪れた場所の写真、そして彼が体験したテロ事件や検索した事件の概要を掲載。
⑩客席側。ブルーシートで覆っているところは東シナ海をイメージし、サンダルの配置で琉球列島を表した。石垣島在住の麻衣と信吾のテキスト、写真、沖縄に関する概要文を配置。
⑪客席に座ってサンパウロ公演の映像(ファンジ)や沖縄、長崎公演の上演写真などを見ることができた。2時間置きのパフォーマンスが始まると、スクリーンは上部に収納された。
⑫客席最後列。光のテキストに加え、沖縄公演で歌われた上門みきの歌を聴くことができる。写真の左側にドアがあるため、本来ここを出口にしたかったが、工事中のため封鎖。
マクラ・ヤマダによるパフォーマンス。父親が日本への出稼ぎのため幼少期から10年以上家にいなかったことを、自分が日本人の子孫(曾祖父が移民している)であるという事実を交えて語る内容だった。本人の話を聞いて、それを元にテキストを書いた。
⑧さまざまな感想や体験談が来場者より寄せられた。

改善点等

目安の所要時間はパフォーマンスを含めおおよそ2時間程度だったが、読み物が多いことによる体力的な負担から、すべてを体験する観客は少ない印象だった。
音声を聞いたり、石の上を歩いたり、あるいは自由に自分の体験や感想を書いたり、といったポイントでは、多くの観客たちが楽しんでいるようだった。
以上のことから、今後の開催にあたっては、文章を読む以外の方法で架空人物たちを知り、想像できる仕掛けを増やしてしていきたい。
現在考えられることとしては、動画の充実、俳優の登場を増やすといったことだろうか。
各地のアーティストや俳優と対話をしながら、そのアイデアを発展させていきたいと考えている。

開催の検討をしていただける団体(もしくは個人)の皆様へ

当作品のご依頼および、テキスト・上演映像等の資料をご希望の場合は、以下のメールアドレスまでご連絡をお願いいたします。

info@okazaki-art-theatre.com

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