最後にもうひとりいたらしい。
「どこが悪いの? 傷が痛むんですか?」
下を向いた彼は、顔を上げたとき、なんと笑っていた。
「あなたが治してくれたでしょう。おれは平気です」
「なら、どうしてそこに座るの。そこは話を聞いて欲しい人の席です」
「聞いてください。おれも、くたびれました」

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