真夜中の会議?
サトルさんから聞いた話。
真夏のある夜中、サトルさんは夜勤が早く終わり家へ帰って来た。奥さんと子供が寝ているのを確認し起こすのは良くないと静かにシャワーを浴びて、ビールを飲んで居間でくつろいでいた時だった。どこからともなく
「あいつふざけんなや...ほんま死ぬかと思ったで」
「あれま〜これまた酷くやられはったな〜」
「大丈夫だっぺか!?あんこオイタにも程があるっぺ!」
なんだか甲高い男女の声が聞こえて来た。お隣か?随分と奇妙な日本語を使うんだな...サトルさんはそう思った。
そして翌々日の真夜中またその声を聞いた。一体どんな奴らが喋っているんだ?そう思うほど声は甲高くそして間の抜けたような喋り方である。そんなとき彼はある事に気がついた。
「確か...この壁の向こうって庭じゃなかったっけ?」
ということは、庭に誰かがいるのか?
サトルさんはソッと玄関を出て恐る恐る近寄って行くとやはり声が聞こえる。
「ほんま、あのガキァ〜調子くれよって!」
「だっぺ!だっぺ!許せんっぺ!!」
「いっぺんシメなあかんな!」
その光景を見た時、サトルさんは凍りついた。壁に30cmくらいのカブトムシ、クワガタ、バッタが物干しの上で喋っていた。関西弁らしき言葉を話すカブトとクワ、だっぺと言いながら飛び跳ねるバッタがそこにいたのだと言う。そんなビッグな虫は生まれてから一度も見た事がなかった。それどころかなぜ喋っているのか理解が追いつかなかった。すると三匹がサトルさんに気付いたようで
「見られてるっぺか?」
「かーアカンなあのオッさん」
「まあ、ええ。場所変えようや」
そして真夜中の空へ飛び去って行った。
翌日、子供が虫カゴのカブト、クワ、バッタがいなくなった!と大騒ぎしていた。あれは夢だったのか?現実だったのか?真相は分からず仕舞いだが、この数日後に息子が怪我をして帰って来た。サトルさんの脳裏に「いっぺんシメなアカンな!」という声が蘇ったそうだ。
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