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お前の隣にいるやつを今...

大学で同じゼミの男どもが夏休み手前で、肝試しをしようと盛り上がっていたのである。彼らが向かおうとしていたのは“地獄の家”と呼ばれる廃墟だった。周りの人たちが「あそこだけは止めろ」と説得を試みた。しかし、あろうことか行かないほうが良いと言ったにも関わらず“地獄の家”へと赴いたという。
案の定、なにか起きて全員バラバラに逃げて一人が僕のところへ逃げ込んできた。怯え方が尋常でなかったのを覚えている。
どうにも出来なかったのでとりあえず匿まうことになった。何が起きたかも分からない状況では余計に怪しく感じていた。
そんなとき逃げてきた男の携帯が鳴った。しかし怖がってやつは僕に出てくれと言い出した。嫌々ながら電話に出ると、他のメンバーからの電話であった。いろいろあって何とか一人を除いて全員合流できたのだという。あー良かったと思った矢先、突然電話の向こうから変な声が響いた。

「ああ良かった。最後の一人を...お前の隣にいるやつをいま見つけたからさ…」

聞きなれない女の声であった。

しばらくして失踪した者が相次いだ。

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