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映画『上飯田の話』 監督インタビュー③ −俳優とのコミュニケーションについて−

4月15日に公開される横浜市泉区の小さな町を舞台にした全く新しいタウンムービー『上飯田の話』。本記事シリーズはその魅力をより深く知ってもらうために監督にインタビューを行いました。

聞き手:本田ガブリシャス克敏

―――出演しているエビス大黒舎の俳優の方々はどういった経緯でキャスティングされ、またどのような演出を心がけましたか。その際、今までの作品制作と違いなどはありましたでしょうか。

僕はもともとあまりオーディションをして俳優の方を決めるのが得意ではなく、始めから演じていただく俳優さんをイメージして話を考えていく方が性に合っているなと思っていました。そのため色々な俳優さんとお会いしたいと考えていました。では新しい俳優さんと出会うためにはどうしたらいいだろうかというときに、元々2話目に登場する生沼さんとはお知り合いでしたので、レッスンを見学させてくれないかと連絡をしました。そこでお会いしたのが、この映画に出演してくださった皆様です。レッスンといっても「自主稽古」と呼んでいたと思いますが、どなたか先生がいるわけではなくて、自分たちで脚本を持ってきて、演じて、自分たちでフィードバックをしていくというスタイルでした。そういう姿を見てチームで動いている感じを受けました。週に1回のレッスンに僕も見学として参加させてもらい、みなさんと話していくうちに、どんな人なのかということがだんだんわかってきました。

で、上飯田で映画を撮ろうと思ったときに、レッスンに参加されている中から何名かを選んで映画を作ることはやめようと。彼(女)たちはチームなので。そうではなくて、そこにいた皆さんに出てもらいたい。そのときに1本の大きな群像劇ではなく、小話が好きだったので、3話のオムニバスという形式をしようと決めました。

演出面では特に大きく変わったことをしたわけではありません。ただ、例えば1話目に出てくる竹澤さんは本当に保険の営業をされている方です。僕自身も(竹澤さんからではありませんが)何度か保険の営業を受けたことがありましたし、前職の仕事上関わることも多かったんですね。そのときから、映画にうまく出せないものだろうかと思っていました。なので今回は実際に保険営業をされている方として出てもらいました。

今までの作品制作での違いについてですが、彼(女)たちはお互いにレッスンでフィードバックをし合っている仲なので、撮影中も「もっとこうしたらいいんじゃないか」と言い合っている姿が印象的でした。2話目に出てくる3名は本番直前にカラオケルームで自主的にリハーサルをしてくださって、そのことを後から知って僕も急遽合流してリハーサルに参加したりもしました。

ちなみに俳優について軽く触れておきたいのが、今回出ていた俳優さんの中で唯一エビス大黒舎さんではない吉田晴妃さんです。彼女とはIndieTokyoという映画団体で知り合いました。今回の配役の中で唯一ぴったりのイメージの方がいないなぁと思っていたときに、フと思い出して「彼女しかいない!」と思い声をかけました。もちろん普段は映画に出てきたような方ではありません。

ーー④に続く

監督インタビュー① −作品の着想について−
監督インタビュー② −町民の方々との撮影について−


横浜市泉区上飯田町を舞台にした
全く新しいタウンムービー
04月15日 ポレポレ東中野にてロードショー

本作は単なるショートストーリーが連なったオムニバス映画ではないかもしれない。いうなればショートストーリーによって連結された町の物語であり、主役は町そのものと言ってよいだろう。その不思議な感覚は特殊な撮影手法によってもたらされている。

今回が初の劇場公開作となる本監督は、劇中にも登場する「上飯田ショッピングセンター」の建物の佇まいから強い映画創作の着想を得た。現地に何度も足を運び、町民の人々と交流するなかで、物語を制作していった。

主要キャストはエビス大黒舎に所属する若手俳優たち。こちらも演技のレッスンに足を運び、それぞれの人物像と登場人物を丁寧にすり合わせていった。上飯田町に実際に生活する人々も出演してもらっており、俳優たちの演技のなかに、いきいきとした町民の会話が溶け込み、フィクションにいろどりが与えられた。

フレームの外の町の風景、生活、人々が、巧みにフレーム内に融合した、この時代にしか撮れないエスノグラフィックムービーが誕生した。

コメント

上飯田という場所は実在するが、『上飯田の話』はどこにも存在しない。それは誰かの私的な記憶の場所でありながら、誰もが知っているはずの風景である。映画と現実。ドキュメンタリーとフィクション。歴史と現在。あなたとわたし。バナナの木とソフトボール。あらゆるものを結びつけながら分割する「と」という接続詞をヒョイと飛び越え無効にしてしまうたかはしそうたの大胆不敵さを御覧あれ。これもまた映画にしかできない離れ技である。

諏訪敦彦(映画監督)

その辺の普通の人たちのいつもの生活が、気味悪いほど確信に満ちた映像で撮られることによって何やら神聖なものに見えてくるから不思議。たかはしそうたは若くして映画の本質をつかんでしまったようだ。カメラがゆっくりパンを開始する度に、僕は自然と襟を正した

黒沢清(映画監督)

生きることを物語に要約しないことで、毎日の暮らしのどうでもいい細部にひそむ不安が見えてくる、隠された日常の発見。

谷川俊太郎(詩人)

その他のコメントはHPで閲覧ができます。

横浜の小さな町を舞台にした『上飯田の話』4月15日(土)ポレポレ東中野にて公開。

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