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不味いパン 雑記その2

お世話になっております、神春です。
「不味いパン」もう、お読みになられましたでしょーか?
まだな方は、ぜひ、読んでみてください。無料ですよ。

https://www.pixiv.net/artworks/93458457

さてさて、はるか遠い遠い昔、ガンダムとかひと段落し、実はちょっと・・・いや、相当に凹んでて、なーーーんもやる気がおきなくて、ほげ~っとする日々が続いてた時期がありまして、そんな寒くもなく暑くもない、ある昼下がり、公園で缶コーヒーをジビジビと飲んでると、私の対面に座るスーツをビシーっと着た若いOLさんが、急いだ感じでコンビニ袋からコロッケパンを出したわけです。
今から相当前の頃のことでして、当時のセブンで売っていたコロッケパンは今のとは全然違って、細長いコッペに濃いソースが染みたコロッケが二つ挟んである、いかにも、コロッケパン!だったわけです。
で、彼女は、パクっと、そのコロッケパンを食べたわけで、それが、もう、見事に美味しそうに食べるわけですよ。パクっと食べるとすぐにモグモグして、美味い&ほぉっとする安心感の表情が、ああ、彼女は、今、そのコロッケパンを食べて幸せなんだなぁと、こっちにも伝わるほどでした。で、食べ終わりまでチラ見観察し、家に帰ると、すぐに彼女のコロッケパンを食べる状況をテキストにしたぐらいです。この話を友人にしたら、おまえ、変態かよ!と言われたことが(笑
でも、ほんと、記録に残したいぐらい美味しそうに食べてたんですよ。

時は変って、これも遥か遠い昔、都内では桜が満開の頃、長野の諏訪湖に行った時の光景。
いやぁ、すっげー風も強く寒くて、諏訪湖の湖面が強風で波が高くて荒れた海みたいな感じになってるの。
こりゃ退散ということで歩いてると公園のベンチに二人のマフラーをしたJKが水筒・・・とは言わないのか、なんちゅうの、暖かい飲み物が冷めないような、昔で云うと魔法瓶みたいなのから白いコップ蓋に何か液体を入れてるのね。で、ぷ~んと、これまた、味噌のすっげーいい匂いがしたですよ。
ああ、場所柄、味噌汁かぁ~、と。
彼女らは、小さなお弁当箱からオニギリをパクリと食べて、で、もう、2人とも鼻真っ赤っかにして、すっげー美味しそうに味噌汁をフーフーして、ズズっと一口二口、口に入れて味わってゴクン。で、ほぉ~っと、暖まる~&美味し~という表情の口から白い息が出る~と、もうね、映画のワンシーンですよ。
チラ見していた自分、なぜか、感動しちゃって泣きそうになっちゃいましたよ。

他にも、岩手にちゃぐちゃぐ馬こを見に行った際、河原で、自家製の稲荷と太巻きを大きな口をあけてバク~っと食べるハッピを着たオジサンとかの表情が、これまた、良い味が出てて、「あ~、稲荷、食いてーーーー!」と思ってコンビニに行って買って、同じ河原で食べたけど、なんだろ、なんか違う。
と、まあ、美味しいものを食べた時の顔というのは、見ているこっちも幸せになれるわけで。

さて、その逆に、強烈に不味いものを食べた時のことも心にシッカリと刻まれてます。
九州のある温泉旅館に泊まった時に食べた晩御飯ってのが、これが、もう、不味いの。
なんで、ここまで不味く作れるのか?というぐらいに不味いの。どう不味いのか?と問われれば、それは塩気が強いのか甘味がくどすぎるとか、そういうレベルじゃないの。
板長さん(その宿の息子さんだそうで)の創作イタリアン料理だったんだけど、肉なんか、いや、もう、普通に焼いてエバラ焼肉のタレをかけて出してくれよ、刺身も、変な味付き油なんかかけんでワサビ醤油で食わせてくれよ、と。
一緒に行った友人らも、今まで見た事の無い複雑な顔で食べてる。
誰かが「不味いな、これ」と呟き、次々と箸を止めた中、自分は、この不味さに何か意味があるんじゃないか?と最後までビールで流し込みながら食べたわけで。
でね、すっげー不思議なのは翌日の朝食。卵焼きに味噌汁に、数切れのお刺身に味噌漬けの焼き魚、山菜の小鉢とか、いろいろと揃った和食なんだけど、これが、また、本気で美味いの。
こんな美味しい朝食、他じゃ食えないんじゃねーの?というぐらい美味いの。
いったい、この宿はなんなんだ?と思ったわけで、ひょっとしたら、本当は和食が売りなんだけど、方針転換で、まだ実験段階でイタリアンを出して、その反応を観察したんじゃないかな?と。だから、安かったのかな?と。

あと、かつて世話になった方が定年後にラーメン屋を始めたのね。
で、付き合いで行ったんだけど、よくもまあ、ラーメンが、ここまで不味くなるものだ!と感動するぐらい不味いの。
麺は普通の縮れ麺なんだけど、とにかくスープが本気で不味い。このガチで不味いスープが芸術的に縮れ麺に絡んでて、口に入れ舌に味が伝わった瞬間、吐き出しそうになるぐらい不味い。鰯か鯵か鯖みたいな魚と狼が合体したような味なの。脳がパニクる不味さ。どうして、こんなわざわざ不味くするのか不思議でした。
てか、あんた、試食してねーのか?と心の中で叫んだけど、いや、してるか。だったら、なぜ、これが不味いと分からんのだ?と強くツッコミたい気分に。
同席した知人らも、今にも泣きそうな顔で食べてて、店を出てからしばらくは、みな、無言でした。

この不味いものを食べた時の人の表情って、個人的に、すっげー味のある表情をすると思ってて、それはテレビのバラエティ番組で罰ゲームで大量の辛子が入ったシュークリームを食べた時のタレントの表情ではなく、旅番組とかでタレントが食べた瞬間の、あの独特な表情が最高に良いのです(タレントさんやお店には申し訳ないけど)。
一口食べ、ん?という顔をした後、「個性的なお味ですね」とか「バラエティにとんだ味ですね」とか、細かく震える声でコメントするんだけど、あの顔は、あっきらかに不味いものを食った時の顔。
最高に面白かったのは、有名なフォークシンガーが、ある店でシチューを食べた時の顔で、もうね、顔色が一口食べるたびに変るの。だんだん白くなっていくのが分かるわけで、瞳がチラっと画面外にいるであろうスタッフの顔を見るの。目が訴えてるの、こんなもの食わせんなよ!、と。

あ、長々とすみません、最後に、もうワンエピソードを。
私、ある超巨大激真っ黒外食企業の仕事をしていたことがあって、その時に、これがまた絵に描いたようなワガママな女性社員がいて、健康に良い牛丼みたいな試作品を持って来たのね。本人は自信満々なんですよ。
「これで、神春さんもダイエットできるわよ!血圧も下がるし」なんて、血圧なんか高くないのに大きなお世話を言って来たわけです。
で、一口食べたら・・・血圧が一気に頂点まで跳躍し血管と脳が破裂するほどの不味さ。
彼女、満面の笑みで「どう?」なんて顔をしてるわけで、これは、もう、飲み込むこともできずモグモグと噛むこともできず、本当に困った。
ちなみに、彼女、ネガティブな意見を言うと、人前でも電車の中でもすぐに号泣する人で、地獄って、こういう責め苦を受けるんだなと思ったです。
今でも、あのクッソ不味い味は脳裏にこびりついていて、まるで、粉の漢方薬に醤油と子供用風邪シロップ液体を混ぜたところに、IQの低い獣系魔物の食べ残しに繁殖した、やはり魔界に蔓延する細菌を混ぜたような味で、こんなん、誰も食わねーよ!と思ったわけで、結局、むりくりお茶で流し込んだのですが、まだ、残ってる。
もうね、心の中で噎び泣きしながら、鼻で呼吸しないように、全部、食べましたよ。
でね、その時の自分の顔がね、PCのモニターに反射して映ってたわけですよ。その自分の顔を見てたら、もう、自分が可哀相すぎて可哀相すぎて(泣
結局、商品として出ることは無かったんだけど、あれはあれで出したら面白かったのにとも思うわけです。

不味いとか美味しいとか文句を言うな!食べるものも無く困っている人がいるんだぞ!と叱られそうな雑記その2ですが、そうは言っても、本当に不味いものって不味いんですよ。
でも、ひょっとしたら、その不味い味ってのは、何かメッセージを送ってきているのでは?と良かった探し的意識を持って生きているので、そう責めないでください。
さて、雑記ですが、もうしばらくお付き合いの程、よろしくお願いします。

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