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北辰テストの目標偏差値はお早めに


1.北辰テストは早めに卒業

埼玉県内の多くの私立高校では、北辰テスト2回分の偏差値で「確約」と呼ばれる事実上の合格を与えてくれる。2回の偏差値の平均ではなくて、例えば、上位の滑り止め項であれば「7月以降の北辰テスト、3教科か5教科の偏差値が70を2回超えたら安心して受験してください」という感じじゃな。最近は「この北辰偏差値であれば過去に受験して落ちた子はいません」的な言い回しもあるぞ。

中3の子羊さん達は、7月以降、北辰テストを受けるたびに大きなプレッシャーや不安と戦うことになる。2回分の偏差値なので、7月回と次の9月回で、とんとん拍子に目標偏差値が取れれば安心じゃが、9月回が終わった時点で未だ1回も目標に達していないと、10月、11月、ぎりぎの12月という残り3回の追い込まれた状況で戦う必要があり、さらに12月からは選択問題も絡んでくるので対策がややこしくなる。

もっと実務的な細かいところでは、10月回からは理科に3年の範囲(イオン等)が入って来るし、社会には暗記で時間を取られる公民も加わる。こうした教科では、それまでは対策の範囲が限定的(基本的に1,2年生の復習のみ)だったので、出題範囲の増加は子羊さんによっては不利に働く可能性もある。

ということで、出来るならば北辰テストは7月と9月で卒業がベストじゃ。少なくとも10月回で卒業できるくらいの余裕が欲しい。その為には、3年生の早い段階から北辰テストの様式と効率的に点を稼ぐ方法に慣れて、1,2年生の復習をしっかりやる必要がある。この基礎固めは最後の公立対策の土台ともなるしな。もし仮に出遅れたとしても、夏休みに北辰テストをターゲットにした集中的な対策をすれば、少なくとも10月号では蹴りをつけられるはずじゃ。いいか。「夏休み」は北辰対策じゃ。

2.目標偏差値の確認

自分が受ける高校の確約に必要な北辰テスト偏差値は、各校が開催する説明会や合同説明会のブースで確認することができる。関心のある学校には早めにアプローチして、自分の耳で条件や点数をしっかり把握して欲しい。WEB情報などは変更されている可能性もあるので、鵜呑みにするのは危険じゃぞ。特に大宮開成高校のように3教科での偏差値を基準にする学校もあるでな。基本的には3教科か5教科の良いところ取りで基準偏差値を超えればOK。例えば、7月回の北辰は3教科で偏差値70を超えて(5教科は69だった)、9月回では3教科は足りなかったが5教科で70を超えていれば、ハイブリット(3教科と5教科の組み合わせ)で目標クリアになる学校がほとんどじゃ。この辺の条件もしっかり事前に学校から言質を取る事じゃ。

3.特待生へ、より上位へ、そして公立へ

北辰テストの偏差値が目標に達しても、2つの観点で北辰テストは最後(1月回)まで受け続けた方が良い。

(1)公立試験の様式に合わせた試験なので、引き続き公立受験対策になる。多くの受験生が受けるということは、本番で同類の問題が出ると、受けていないことに因るデメリットの可能性がある。
(2)同じ滑り止め校(私立)でも、より高い偏差値を提出することで、特待生などの上位コースに合格することができる。

早めに目標偏差値を取ったら、次のモチベーションとして、その上の高校や特待生を目指すのも良いな。埼玉県の高校受験生は、北辰テストというイベントを通じて成長することができるのじゃ。
※なおワシは北辰テストからの回し者ではない🎊

埼玉県の私立入試制度の賛否はあるが、滑り止めの受験も公立と同じ一発受験だったら、受験生のプレッシャーはさらに高まる。ここは、民間試験という既成の枠組みをうまく利用して、賢く受験を乗り切って欲しいのう。

4.北辰偏差値が足りない場合

頑張ったものの、志望校(滑り止め私立)に偏差値が足りなかった場合。確約なしの一般受験は基本的に不合格になると思ってよい。したがって、受験校のレベルを引き下げるしかない。

公立高校はどうじゃろう。判定と同時に受験者の中の順位なども出るが、合否は学校の実質倍率にも左右される。また、北辰テスト以外に、中学校が2学期から3回程実施する「校長会テスト」という別の指標もある。中学校の先生によれば、北辰テストよりも正確に合否を予想できるテストじゃ。こうしたものと組み合わせて、最終的な志望校の判定に役立てることになる。

夏休み前ならば、北辰偏差値が少し足りないくらいで志望校を諦める必要はない。特に部活動に打ち込んできた生徒さんなら、その時間を強い思いと共に勉強に当てれば、偏差値の現在位置によっては、まだまだ偏差値の10くらいは普通に伸びるじゃろう。

5.塾にも要注意

塾によっては、夏休みに北辰対策を数日だけやって、後は予習に多くの時間を割くところもある。本当にそれでよいのかはよく考えよう。できれば、塾以外の自分の勉強時間は、北辰テストを中心に対策をして欲しい。

それから、確約を取れたにもかかわらず、某大手塾では、各私立高校を借りて「受験本番と同じ学校で受けると効果抜群!」的な受験対策をしたり、冬期講習に私立対策をするバカげたカリキュラムまである。21世紀を先導するはずが、まちがって斜め上の22世紀に行ってしまったのか。「屋上屋を重ねる」ということわざがあるが、確実に合格することがわかっている第一志望でもない学校の対策に時間とお金を使うほど阿保らしいことは無いぞ。

何度も言うように、確約を取った学校に落ちることは「白紙解答」でもしない限りは無い。そして私立高校の問題は、例え偏差値60前半の学校でも難しく、公立高校の受験対策とは方向性が全く違う。大事な冬の時期に第一志望の公立とは無縁な対策に時間を取られ、急に高くなる講習費を払うくらいなら、年内に退塾した方が良いかもしれんのう。

ここはワシのうがった見方じゃが、塾も年が明けると中3はオワコン。受かる奴は受かるし、講義をするより、塾に集めて問題を解かせておけばよい。その間に、次の2月から実質的に始まる次年度生の募集に全力を注ぐじゃろう。経営の観点から見れば当然なので非難するつもりはない。しかし、当事者の受験生とそのご家族は、少し考えてみた方がよい。自宅では勉強できないので、場としの塾を活用して、というのが正しい塾との付き合い方かもしれんな。

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