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令和6年度の埼玉県公立入試を振り返る


1.御三家の滑り止め化

なかなか衝撃的だったのは、県立浦和高校の受験者数じゃな。願書提出時の人数から、あれよあれよと人数が減り、最終的には40数名というとんでもない数が受験を放棄した。これは浦高を受ける層の中でも上位に位置する生徒が、国立付属や都内の私立に流れたことを示している。同じような傾向は少なからずとも大宮高校や浦和一女にも見られたが、やはり浦高が顕著じゃった。この影響は3年後のアウトプット(東大・医学部医学科等の難関大学入試結果)に影響を与える規模かも知れん。

大学をゴールと考えたときに、埼玉県の公立高校に通う選択を選ばないというのは、効率の面から考えても納得は出来る。それはそれで良いのじゃろう。ただ、浦和高校や浦和一女のような、埼玉県の公立高校が築き上げてきた伝統と、そこに集うとんでもないポテンシャルを持った仲間たちと過ごす時間を放棄することには「もったいない」という気持ちがあるのも正直なところじゃ。

いくら浦高が東大に合格者を出していると言っても、昔のような公立ナンバーワンではなく(2024年度は公立2位の復権を遂げているが)、全国の有名私立や都立の日比谷などとはステージが異なる。現実的には浦高の校内順位で上位50番以内に入っていれば超難関国立や医学部への現役合格の可能性もあるが、浦高が本来持っている魅力でもある行事や部活を満喫した場合は、やはり巷で言われている4年制体育大学というイメージになってしまうのかもしれんな。高校生活における他の要素を捨てて、東大や医学部への現役合格を目指すのであれば、わざわざ通学時間のかかる都内私立や国立を目指すのもうなずける選択ではあるな。

2.倍率

倍率は公立高校全体で1.11倍となり、理数科のような特殊な例を除いて2倍を超えるような学校は例外じゃった。普通科で倍率が高かったのは、

市立浦和 普通科 1.73

川口市立 普通科スポーツ科学コース 1.64

蕨 普通科 1.49

市立川越 普通科 1.49

春日部 普通科 1.47

川越 普通科 1.46

和光国際 普通科 1.46

それでも市立浦和は倍率が例年よりも低かった。春日部高校や春日部女子の倍率が上がり、熊谷と熊女は定員割れすれすれじゃった。浦高、一女、大宮普通科については、ほぼ例年通りの1.2~1.3倍程度じゃったな。各校の最終倍率は下記の埼玉県のリンクにまとまっておる。

https://www.pref.saitama.lg.jp/documents/222625/r6nyushikyokakouhosya.pdf

3.入試本番

未だ平均点や各校のボーダーははっきりしていないが、平成6年度入試の難易度は、ここ数年あるいは選択問題開始以降で見ても、難しい部類であったと思われる。特に数学と英語の選択問題は難化したか点が取りにくい問題であった。

とはいえ、早慶や都内の最難関私立を受けるような層は普通に450点以上を取れる内容であったはずじゃ。特に理社は北辰偏差値70前後の子であれば、普通に9割が取れていたじゃろう。

来年度以降の対策としては、数学と英語がここまで平均点の低い傾向だとすると、正直、やれることが限られてくる。数学で言うと空間図形の切断による求積問題や、北辰テストでは毎回、捨て問題にするような最後の問題にちゃんレンジ仕様として過去問を極めても時間(費用)対効果が難しい。そう考えると、大問1~3の取れる問題でのちょっとしたケアレスミスで合否の差が付くことになる。もちろん、難問が取れる生徒は大問4の最後の小問や、前半に挟み込まれる空間図形や規則性で差をつけてくる。そうなると御三家などでは合格者の中でも、数学の最高点と最低点が40点近い差になることも起こりうると考えられる。

その結果、合格者の二極化が進み、第二集団的な山にボリュームゾーン(ボーダーライン)に多くの生徒がひしめき合う可能性がある。選抜方式の関係で、やはり最後は当日点の多さが有利に働く側面もあるが、ボリュームゾーンから抜け出す際どい戦いの中で、点数化された内申書が効力を発揮する機会が増える傾向にあるかもしれない。実際問題、当日点をひっくり返す合格者の例は普通に聞かれている。都市伝説の域を出ないが、某市立高校ではスポーツ推薦に近い様な内申書の評価がなされている可能性が囁かれている。逆に女子高などの内申点に差が付きにくい学校もあるとされるが、裏返せば、内申点を落とせないとも言えるので、やはり、学校の評価をないがしろにしない意識は重要じゃ。

4.平成7年度に向けて

平成7年度入試はどうなるのかというと、指導要領や私立高校の状況などを考えても、今年度と大きく変わるような要素は見当たらない。特に上位校の倍率等は安定しているので、今年度までの統計データを参考にして、志望校を絞り込んでいくだけじゃな。根拠はないが、6年度が難化していたので、もしかすると7年度の数学・英語(選択問題)と国語は、もう少し基礎学力を問う方向に向かうかもしれん。逆に理科は難化してもおかしくない。

北辰テストと内申書が重要なのも変わらない。新3年生は、1年間を通して、今は何に全振りしているべきなのか?を常に意識して、効率よく効果的に偏差値や評価を獲得していかないといけないのじゃ。同時に中3の前半には、部活動の集大成を控えた生徒さんも多いじゃろう。こちらも悔いの内容にやり切って欲しいので、自分なりのスケジュールで勉強と他の活動の両立を図っていく必要がある。

親御さんも本人も、塾に行けば何とかなるという思考停止に寄りかかって、自らどうすれば良いのかを考えなくなる場面が増える。そんなときに、タイミングよく情報を発信できればと思っておる。最後は一人一人の強い思いと、その裏にある夢のような原動力じゃ。人間はモチベーションなしには力を発揮できないから、ただ塾に通うだけのような3年生を送るでないぞ。何度も行っておるが、埼玉県の公立入試は御三家であっても独学で十分に戦えるし、無駄な時間とお金を要求してくる学習塾の力を借りる必要もない。自分の力で受験を乗り越えて成長するのじゃ。


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