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イオン(2007年8月16日の日記)

走行中の異音が気になるとの乗客の申告でサンダーバードが止められてしまった。
これで2度目。
非常に厄介な問題になってしまったと感じる。
狼少年の例を出せば分かるように、本当の異音に対する感性が失われる危険性を危惧せずにはいられない。
今回も前回も、我々からすればほぼ問題ない程度、種類の異音であり列車を止めるほどのものではないことは明らかだった。
しかし、ドイツのICEは乗客からの異音の申告を無視して走行し最後には脱線転覆、101名の死者を出している。
さて、どうする???


*この記事、タイトルをつけ忘れて書いちゃってそのまま次の記事を書いてしまったので連番が付いていません。

ICEの脱線事故については以下を参照。

アンチローリング装置:
曲線通過時の車体ローリングを抑制し乗心地を向上させる装置
(通称 アンチロ)

これは68系のアンチローリング装置が油切れになると”キーコー”鳴く音なんです。注油すれば治りますし、音が出る前に注油するようにしているんですが、雨が続くと油切れになることがあります。
それを神経質なお客様が車掌に申告すると、どうしても安全側と言う事で列車を止めてしまう。
止めると音が出ないのでどんな音か確認できず運転再開できないと言う事になる。
っで、後続の列車に乗り換えてもらって当該列車は回送で車庫に戻して検査しますが、予想どおりアンチローリングの油切れ。
と言うのが2回連続発生したと言うお話し。

車掌が音を聞いてある程度判断できればいいんだけど、車掌はそのような訓練を受けていないんです。
今思えば自分はこの時から、これが後に大きな事象につながりかねないと言う危惧を持っていたと思います。

そして、これが後の”のぞみ34号”の問題につながっていきました。

サンダーバードは実は運転に支障のない異音で止まったのに対して、のぞみ34号は止めなければいけない異音で運転を継続してしまったので違うと考える人がいるかもしれませんが、実はこの2つの事象は同じです。
要は運転中に発生した通常とは違った状況に対して、正確な判断ができなかったと言う点で同じなのです。

とりあえず止めれば少なくとも大事故にはならないので止めれば良いと考える人も多いですが、それを突き詰めると列車は運転しなければ事故が起きないので運転しなければいいのです。

しかし、それでは鉄道の使命を果たすことができません。
どこまでなら止めてもいいとか、遅れてもいいと言う基準も人それぞれです。
ですから、鉄道の使命を果たすには、すべての事象に正確な判断を下すことを目標として、少しでもその目標に近づけるように不断の努力を行うしかないのです。
そこへ到達する一つとしてこの様な事が行われていることは評価に値すると思います。

今後もハード・ソフト両面からの努力が継続されると信じています。

*アンチローリング装置はその後、球面軸受けの変更などで改良され、現在の683系ではほとんど異音が出ないようになっています。

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