実録・鉄道トラブル(その21)車両故障2件(2008年4月27日の日記)
1014Mの運転士から入善停車中に無線連絡。
三相表示灯が点灯、SIVリセットしても復旧せずとのこと。
電源誘導の指示を出したが、残念ながら不良ユニットは3両もの。
ジャンパーを接続する時間を惜しんで、とりあえず富山までそのまま走行を指示。
富山で検査によってジャンパーをつなぐ手はずにしていた。
しかし、富山まで来たのならそのまま金沢まで現状のまま走らせて取り込み特発で良いんじゃないか?
と言う事になり、そのまま走らせてしまった。
一つドジったのは、電源誘導ボタンを押したら3両ものにはジャンパーがないので給電できないにもかかわらず、4,5,6号車が半減になることを分かっていなかった。
車掌からの連絡で、高岡停車時に電源誘導解除を指示して元に戻した。
ちょうど良い気候なので、特に苦情もなく最低限の遅れで金沢に持ってこられたのは良かった。
夜になって今度は1022M運転士が加賀温泉停車中に車両故障の連絡をしてきた。
最初輸送指令が出てろくに話を聞かずに切ってしまい、症状がつかみ切れなかった。
分かったのは、小松―加賀温泉間でVCBが4回トリップ、いずれも力行若しくはブレーキ中。
不良ユニットはNo.3、現在は所定に復していると言うこと。
とりあえず、明日の1005Mまでに車両交換をすることは現実的ではないので、1005M~1008Mはこのままで運用することにして、1017Mから別編成を充てる計画を乙丸と立てた。
芦原温泉停車中に1022M運転士を呼ぶと、見習運転士(女性)が応答し、ハンドルは指導操縦者が持っていることがわかったので、走行中に詳しい症状を聞くと
加賀温泉発車後同現象が発生したので機器開放を扱い、現在「VCB全入」は点灯、「三相」表示灯は消灯、No.3ユニットのモーターが一つカットされている。
という情報。
これなら、越後湯沢1往復は問題ない!
しかし、このまま運用する訳には行かないので1008M~1017Mでの編成振り替えは行うことにした。
最初、681系の車両故障ということで、SIVか?と短絡的に考えていたので、症状を聞いた時インバーター故障という判断に数秒かかってしまった。
しかし、はくたかが2つ故障したにもかかわらず、どちらも5分以内の遅れで済んだのは良かったと思うことにする。
また、見習には良い経験になったはず。
指導操縦者がちゃんと今回の事象を理解させてくれていることを願います。
解説
1014Mは、はくたか14号、1022Mは、はくたか22号です。
1014Mは金沢に到着後、車両所に入区するのでその後は車両所に任せておけばよく、金沢まで運転することが目的になります。
1022Mは福井まで運転し、回送で南福井まで行き南福井に滞泊後、翌日1005Mで越後湯沢まで行って1008Mで金沢に戻り、金沢駅で入換後、車両所に入区することなく1017Mで再び越後湯沢に行くのですが、運転にはほぼ支障がないとは言え、故障した車両を営業に使い続けるのはよろしくない(新たな故障が発生した場合の影響が大きくなる可能性が高い)ので1008Mは金沢で入区させ、別編成を1017Mとして出区させる手配です。
こういう運用変更を「取り込み特発」と言います。
単に取り込み特発と書けば簡単ですが、車両の手配は言うに及ばず、運転士や車掌の運用にも変更が伴います。
まず、1008Mで到着した運転士は、通常なら金沢に到着したら入換運転士と乗り継いで次の乗務になりますが、入区作業しなければなりません。
入区作業をしていると次の乗務に間に合わない事も考えられるので、次の乗務を確認して入区作業の可否を判断します。
入区する暇がない場合は、他の運転士でその時間帯に入区できる運転士を探して入区を指示します。
入区できる運転士がいない場合は、他区の運転士で空いている人を探して、見つかれば所属区の当直に連絡して入区依頼します。
それでも見つからない場合は、内勤の指導担当係長に依頼して入区してもらう事もあります。
あ、それ以前に出勤予備の運転士がいたら入区を指示しますね。
次に1017Mの運転士ですが、通常なら金沢で1008Mを乗りついで、入換後に1017Mの乗務ですが、1017Mは出区しなければならないので、車両所まで歩かないといけません。
これも、前の乗務から時間的に不可能な場合もあり、その場合はその時刻に車両所から歩いて戻ってくる運転士がいないか探します。
見つかればその運転士に出区を指示します。
見つからず、出勤予備もいない場合は上記と同様に出区のできる運転士を探して指示。
どうしてもいない場合は内勤の指導係長に以来となります。
車掌も1008Mの金沢到着後の移動方向が逆になるため、車内点検のやり方が変わります。
また、1017Mは通常福井方面から金沢駅に入換で入線となりますが、出区なので逆方向から入ってきますし、入換での入線時刻と、出区での入線時刻が変わる場合もままあるので、入線方向や入線時刻の変更を車掌に連絡する必要があります。。
運用指令は、この様な事を総合的に考えて、乗務員区の当直と協力して指示を出したり、乗務員への連絡を行ったりしています。
1022Mの故障は、1ユニットに4つあるインバーターが一つ故障して、モーターが1個動かない状態です。
3ユニット、9両編成で12個あるモーターの内、1個が動かなくても運転にはほとんど影響はありません。
運転席でボタンを押すことで、車両が勝手にモーターを開放してくれ、モニターにその状況が表示されます。
最も処置が簡単な故障のひとつです。
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