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一瞬の勇気が、わたしの世界を大きく変えると知ったから

旅をしている。
憧れていた世界一周の真っ只中にいる。
初めて1人旅をしたネパールの鮮やかさが2年間ずっと忘れられなくて、旅を始めた。

この2年間何度もネパールの写真を見返して、遥かなる国の色彩と人々に思いを馳せた。
訪れる前には未知で怖くて仕方なかった場所が、わたしの憧れの象徴になっていた。
日本にはない喧騒やあたたかさや言葉、埃っぽい土の道、建造物、道行く人の装いが恋しかった。

旅に出れば、あの風景にまた出会える。嫌でも感情や常識を揺さぶられる経験が待っている。旅に出たい。
仕事からの帰り道、「旅、ときどき仕事」というキャッチコピーのサイトを見つけて興奮して、旅好きな友人にURLを送ったこともあった。

本当は、分かっていた。
旅をしなくても生きていけること。
むしろ旅なんてしない方が、普通の人生を上手く生きていけるかもしれないこと。

それでもわたしは、旅に出ることをやめられなかった。
ほんの少しの勇気の先に広がる世界の力強さを知ってしまったから。
ただ一瞬、「行く」と決める勇気だけでこんなにも豊かな風景に出会えると知ってしまったから。


旅先の風景の中には、想像もしていなかった形の幸せや日常がある。
他の場所に住む人たちの日常を通して 今まで知らなかった「普通」を知ることは、わたしの中に新しい幸せの価値観が生まれるきっかけになる。
これまでと違う理想を許容できるようになる。

わたしは カレーを毎日食べても案外平気だし、髪を洗うのは週に一度でも別に痒くならないし、池の水って意外と汚くないし、牛もヤギも生きてるし、紙は多少破れててもオッケーだし、日焼けしたって別によくない?

そんな風に小さな当たり前を1つひとつ塗り替えて、旅に出る前には気づかなかった選択肢を手にする。
食べるもの、着るもの、使うもの、時間の使い方、遊び方。

そして思考はいつも、旅が終わった後の日常に行き着く。

帰ったら、どんな日々を作っていこうか。
ベランダにプランターを置いてミニトマトやバジルを育てて、おいしいコーヒーを毎朝淹れて、散歩をして見つけた植物を部屋に飾って。

1年後や5年後、どんなわたしになっていようか。印刷に関する知識がなさすぎるから、印刷関係の会社に入ろう。ポートランドで働いてみたくなったから、英語の勉強もしよう。

そのために、帰ったらまず何をしようか。誰に会おうか。

旅に出る前よりも少し大きなキャンバスを手に入れて、より明度の高い未来を思い描く。
今すぐに作り出せるものは似たようなものかもしれない。けれど、思い描く世界のイメージは日本を出る前よりずっと大きい。


わたしにとって「旅」とは、好奇心を切り開いてくれるもの。
旅をすることで、好きなものを好きなまま前に進めているような気がする。

そんなことを、世界一周を始めて77日目のラトビアの宿で思っている。
あ、ラッキーセブンだ。


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