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ふりかえるとよみがえる(#毎週ショートショートnote)

 機械メーカーの冴えない営業マン、幸次、59歳。
 最愛の妻容子がガンで亡くなり10年が経つ。子供はいない。容子の親に猛反対されての結婚。当然親戚付き合いもほとんどない。職場とワンルームマンションの往復の日々。たまに容子がよみがえってきたらと思う。

 今日は週に一度の楽しみ、スナックで一杯。
 TVを見ながら、自分の母親位の年齢のママとニュースにアレコレしゃべるだけ。
 今日は少し飲みすぎたようだ、やっとマンションに着いた。エレベータに乗って5階へと。

 電気が一瞬消えた。電気がつき、エレベータの扉がディスプレイに

初めて容子とデートした喫茶店、結婚を申し込みに行ったときの相当怒っている容子の父、結婚10周年でようやく二人で結婚式を挙げた教会、病院に入院している容子・・・
これは走馬灯か?そして「ふりかえると、よみがえる」の文字。

ふりかえった。

そこにはいつものボロエレベータの壁。

まだ、この世でもう少しやることがあるようだ、容子。
もう少し待っててな。


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