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えんとつ町のプペル感想文

劇作家・演出家の平田オリザさんが「権力者の孤独」をテーマにしているという話を読んで「この人、天才だなあ」と思いました。これまでの日本文学のテーマは「弱者(普通の人)の悲しみ」という方向性のものが常識だったからです。

先日、映画「えんとつ町のプペル」を観に行ってきました。キングコングの西野亮廣さんが製作総指揮・脚本・原作を努めるアニメです。キャラも背景も世界観もストーリーもいろいろなふうに楽しめる作品でした。観る人の「関心」によって面白さのポイントが変わる「いろいろ楽しめる」が特徴の作品かなと思いました。

途中あっと思ったのは物語の背景として新しい三角の貨幣の由来が語られるシーンです。エッセンシャルマネジメントスクールのコミュニティに参加していますが、そこで教えてもらった近未来(すでに稼働し始めている)新しい貨幣システムと原理的に完全に合致をしていたからです。めちゃ細部まで作り込んでるじゃん。

オリラジの中田敦彦さんが「芸人としての凄さ、キングコング西野亮廣さん」というYouTube動画で西野さんの芸人としての凄さを語ってます。有名な話ですが、西野さんは吉本の芸人養成所NSC在学中に梶原雄太さんとのコンビでお笑いコンクールを総なめにします。そこから「はねるのトビラ」MCまで5年です。

中田さん談「西野さんは人の話を聴く時、両手を顔の前に持ってきて満面の笑みで大きく拍手する。そして相手の話の面白さを何倍にも増幅してしまう。たとえば堤下さんという別の芸人さんのウケのスキル。ボケの人の多少ボールぎみの玉でもキャッチャーミットの素早い動きで笑いに変えちゃうスキルとは違っている。西野さんは相手のボケを最大限に引き出す特別なスキルをもっている」。考えたら絵本にしても映画にしても「作家性」というより「テーマ性」の新しさに西野さんの真骨頂がありそうです。

「プペル」には幾つもの物語的な綾があります。いろんなテーマの読み方ができると思いますが、西野さんはよく「新しいことに挑戦する人を嫌う理由」をテーマとして挙げます。
誰かが新しいことに挑戦しようとすると人はそれを嫌って攻撃をはじめます。西野さんは「そこにはその人の夢/挑戦を諦めた経験がある」と言います。これを聴いた時にすぐにオリザさんを思い出しました。このテーマもめちゃオモロいです。

ここまで書いたところで岡田斗司夫チャンネルで「対談キングコング・西野 Round3 国造りと独自通貨発行のススメ(2016/05/08)」という動画を見ました。「独自通貨」の部分が目に入ったからです。ところが、この映画の作られ方(どうやって作ったら面白いか)の作戦なども普通に対談されていた笑っちゃいました。西野さんの「俺はディズニーを倒す」というホラ話がホラ話でもなくなったなと思えた瞬間でした。

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