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あの扉の向こうに『初めの恋人と聖夜を』

あの扉の向こうには


いつかの夏休み、ボクらは部活で学校に来てた

キミはコーラス部でボクはバスケ部

同じクラスなのにあまり喋った記憶もない

そんなただのクラスメイト

ボクは学校の周囲をランニングして

体育館に戻る途中に

来たばかりのキミが歩いてた

なんとなく掛けた「おはよー」の挨拶と

軽く振り上げた手

そんなきっかけから

キミと少しづつ話すようになった

中学の暑い夏から無意識の恋に落ちた

夏休みも終わりかけの頃

初めてキミと一緒に帰った

部活のメンバーにバレないように

他愛もない会話で過ぎてゆく時間の速さに

焦りながら下校を楽しむボクがいた

授業が始まってからは

クラス内で話す機会も増えてた

ちゃんと話してみてわかったこと

キミは少しボクより大人だった

初めて週末に誘い出したのも
初めて手を繋いだのも

いつもキミがリードしてたっけ

ある放課後の部活帰り

コーラス部の練習はないのに

待っているキミが居た

「音楽室で待ってる」

そんなメモを下駄箱に入れたキミは

誰もいないはずの音楽室の窓際に座ってた

一人で2時間も待ってたからか

駆け寄ってきたキミは

少し寂しそうな顔をして見せ

その表情に申し訳なさそうに謝ると

恥ずかしそうに、だけど少し強めに

ギュッと抱きついてきた

いい匂いがボクの鼻を刺激して

ちょっとの間、ただ抱きしめ合った

そうしているうちに

きっとキミは焦れたんだろうね

そっと唇を重ねてきた

初めてのキスもキミからだった

12月24日、放課後の音楽室にて



そんな『初めの恋人と聖夜に』キスをした甘ったるい物語。。


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