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【MTGA】スタンの土地単の一ヶ月後

■ まえがき

突然だが、フライデーレベルの大会で土地単が優勝した。
参照:https://mtgmelee.com/Tournament/View/7406

いや、私なのだが
なんにせよ、完全オリジナルデッキで優勝するのは気持ちが良いものだ。

ということで調整後の土地単の話を、最近デッキ構築を褒められることが多いので調子に乗ってまた記事にしてしまった。

■ 土地単の現在のリスト

この記事で不足している点については、前回の記事を参照してもらいたい。

今の土地単のリストは、以下。(インポートリストは末尾参照)

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勘のいい読者なら、

「《ドルイド・クラス》と《ナイレアの介入》、どこに行った?」
という感想を持つかもしれない。
そういう素直な人は好きだぞ


・・・・・・閑話休題。

簡単に大きな変化を二つ書く。
《ドルイド・クラス》が《偉大なる存在の探索》と入れ替わった。

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また、《セテッサの勇者》を採用し、星座に寄せてある。

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これらの変化は、ウィノータとグルールの強さがはっきりと世に示され、世の中が超絶高速アグロ環境になってしまったことによるもの……ではない

エンチャントベースの土地単は構えるということができず、何ターン目にウィノータが着地しようが、着地した直後に死ぬ
ウィノータには格別不利で、グルールにもほぼ勝てない。

実際のところどう対策したところで構造上の不利は覆らないのだが、せめてウィノータを引かれなかった場合や、もたついたアグロの速度に追いつけるようにはなった。それも一つの理由ではあるが。

最大の理由は、サイド後に何もしないカードが多すぎたためだ。

《ドルイド・クラス》は、主に土地を並べるために採用してある。
メインボードでは相手がどんな相手かわからないので、基本的な最善手は土地を伸ばすことなのだが、相手がアグロなら土地を置くより盤面を重視したいし、相手がコントロールならアド損するカードは引きたくない

そういう意味で、サイドアウトの回数が最も多かった《ドルイド・クラス》を抜き、土地の追加プレイがし辛くなって価値が落ちた《介入》も抜けた。

代わりにテンポや盤面、アドバンテージを補完するカードが入った。

《偉大なる存在の探索》は、3マナの多いこのデッキだと《古き神々の拘束》をアップキープに出すことでドロー直後に2章の効果を得られる。
4マナが浮く上にマナ加速が1ターン早まることで《高貴なる行いの書》コンボにも近づき、予想以上に効果が大きかった枠だ。
狙って盤面を作る必要はあるものの、《高貴なる行いの書》を0コストで唱えて突然のコンボもできる。
《ドルイド・クラス》の土地の追加プレイに近い仕事はしてくれる。

《セテッサの勇者》は能動的なアクション不足を解決すべく採用した。
成長すれば大きく、除去されなければアドで勝てる。(たらればが多い!)

とはいえ除去の薄いアグロには壁兼ドローエンジンとして機能する。
やや重いが、2枠目の《ネシアンの放浪者》として申し分ない。

《ナイレアの介入》の代わりを務めるのは《ブロコスの神話》だ。

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《ナイレアの介入》ではできなかった《高貴なる行いの書》をサーチでき、重いが《古き神々の拘束》での除去も可能だ。

《介入》は非常にこのデッキに合っていたのだが、土地の追加プレイがなければ非常に弱いカードに成り下がっていたのが正直なところであった。

《魔女の小屋》や各種土地を採用して何とか採用価値を担保しようとしたが、残念ながらサイド後の価値を考えると抜かざるを得ないと判断した。

■ 土地単の変化と、大事な根幹

と、ここまで改善点ばかりを述べたが、明確な改悪点がある。

リストからは、もはや土地単さが感じられないのである

土地は現在27枚。
《鳥獣保護区》と《廃墟の地》を抜いた。
《スコフォスの迷宮》や《タイライトの聖域》の枚数も減った。

デッキを組む原動力となった《ドルイドクラス》《ナイレアの介入》も0枚、土地単を名乗ることは少々厳しくも感じる。

最初、このデッキを見た方々が感じたトキメキからはかなり外れた形になっただろう。

でも、私にとっては最初から今まで、全く形が変わっていない。

回していればわかるのだが、今も土地が主役である。
このデッキが目指す動きは今も変わらず、
土地を伸ばし、中盤を耐え、コンボを決める、である。

何せ「理想の4ターンの展開」を表すなら、

《ネシアンの放浪者》着地、無事生還。
《偉大なる存在の探索》着地、《放浪者》生還。
アップキープ《セテッサの勇者》から《ドライアド》等で爆アド。

という、あまりに悠長なデッキなのだ。

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これが理想のムーヴ……?
ウィノータなら人が死んでいる

だが、これが土地単のブン回りなのだ。
この動きをしたいからこのデッキを作ったし、握っているし、この動きをした上で勝つために《高貴なる行いの書》コンボを搭載している。

これが、私の土地単の、最も大切な根幹である。
土地がデッキの半数入っていたり、無色土地を採用していたのはこの動きを補完するための手段に過ぎない。

だから、土地30枚のコントロールデッキでフィニッシャーが《夢攫い》のデッキなんかには特に興味がないし、星座デッキが土地を伸ばしつつ《ペガサス》で盤面をとって勝ちに行くのはやっぱりコレジャナイ感が強い。

《耕作》で土地を伸ばして似た動きをすることも可能だが、基本土地を伸ばすならそれこそ《出現の根本原理》を使わない理由はないだろう。

特殊な土地が伸びるのが、このデッキのユニークな面白さであり、ユニークな強みである。
だから、このデッキが最終的に土地24枚になろうと、この動きが変わらない限りは私は土地単と呼び続けるだろうし、逆に《耕作》を入れるようなことがあれば上陸デッキランプと呼んで興味をなくすだろう。

現在と以前を比較してみれば、伝わるだろうか。

変更点
・《ドルイド・クラス》に代表される土地関連カードが減った
・《鳥獣保護区》などの特殊な土地が減った
・《セテッサの勇者》の採用により、星座要素がさらに強まった

変わらない点
・星座シナジーはリソース源であり勝利に直結しづらい
・無色土地がまだ7枚とそれでも多く採用している
・終着点は《高貴なる行いの書》コンボ

どうだろうか。
薄くなったものの、土地単の要素はまだ色濃く残ってはいないだろうか。

無論、これを呼んでいるあなたが
「言い訳してるけど結局星座デッキじゃね?」とか「高貴書デッキじゃん」と思うのは自由だし、反論する気はさほどない。
さすがに「黒緑ミッドレンジ」と言われるとさすがに口を挟むだろうが。

だが、私はこんな動きをするデッキを他に知らない。
オリジナルデッキだと胸を張って言えるし、私はこのデッキが大好きだ。

■ 詳細アップデート箇所

このリストが今も土地単であることと、大まかな変更は述べたので、あとは詳細点に触れていく。

《無情な行動/パワー・ワード・キル》

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かなり悩んでいる枠。
グルールを初めとするアグロに対する枠なのだが、アグロはコンボへの妨害手段が乏しいので、自分の加速か相手の減速かのカードの選択が難しい。

アグロへは6マナ到達でのコンボを目指すため、正直加速の方が良いのではと思いつつあるのだが、最も裏目が少ないのが除去なので採用している。

自分の都合なら《ぬかるみの捕縛》にしたいものの、ミシュラランドや《恋煩いの野獣》、《黄金架のドラゴン》を意識して《無情な行動》を採用中。

世界樹への道

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ブン回りには貢献せず、土地を引っ張ってくるだけのカードの採用は本当に躊躇われたのだが、触ってみると思った以上に強かったいちまい。

2マナエンチャントが8枚では足りず、《偉大なる存在の探索》は4枚入れたくないこともあって探した枠で最も勝利貢献度が高かったので残留した。

氷雪ランドのサーチがコンボに近づくことにつながり、無色土地を抜いたことで増えたフラッドのリスクを低減してくれている。
特にコントロール相手の際、《レンジャー・クラス》はあるが全除去を嫌って2体生物を並べたくない場合に真価を発揮する。

しかし、プレイ時とリストを眺めた時の乖離があまりにも激しく、
「いや絶対に抜くべきでしょこれ…」と毎回首を傾げている。でも残留中。

第一回イロアス競技会

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17,18枚目のエンチャントカウント兼、生物枠の、幾度もクビになりつつその度に戻ってくる60枚目の枠。
2章のタイミングで《踏みつけ》られるとよくテンポ損でそのまま死ぬ

単に《レンジャー・クラス》との相性だけをみればLv3でキャストできる、《運命を紡ぐ者》や《騒音のアフィミア》らのテーロスの生物にしたい。

したいのだが、それらがコンボに嚼まない反面、これはドローと金によるマナ加速がコンボに貢献していて机上論ではこれが一番強いので困る。

《偉大なる存在の探索》で即時4/4を作り出せるようになった言い訳も増えて、ますますこのカードを抜けなくて困っている。

このカードで負けた試合は損失が大きいため印象に残りやすく、一番抜きたい一枚として個人的なヘイトを稼いでいる。
でも多分、このカードで勝った試合も結構あるんだろうなあ、という印象。

《ナイレアの介入》

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土地単というデッキを面白くしてくれていたのだが、X=2で打つケースがあまりに多く、《ブロコスの神話》と入れ替わってしまった。

もともとスタンのコントロールは基本的に青く、2アクションできないのが微妙で、腐りやすいアグロ相手だと打つ暇がないのがネックであった。
X=4が通ればかなり勝利に近づくのだが……

《スコフォスの迷宮》や《タイライトの聖域》、一時期は《魔女の小屋》など、スタンダードのありとあらゆる土地を試して残留を試したのだが、ゲーム中サーチしたいカードは2枚で充分という実戦経験も向かい風だった。

1マナ重くてもこれがインスタントであれば…と歯がゆい気持ちで一杯だ。

鳥獣保護区》や《眷者の居住地》など

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プレイを続けるにあたって、以下の知見が得られたた。

  1. コンボが決まれば、覆されることは珍しい
  2. 4T目にGダブルが出ないと死ぬ
  3. サイド後はBBダブルが出ないと死ぬ

1の理由により《鳥獣保護区》と《眷者の居住地》が抜け、2と3の理由により《スコフォスの迷宮》《タイライトの聖域》が1枚ずつ減った。
《迷宮》は《黄金架のドラゴン》に強いので1枚残留、《タイライトの聖域》はコンボ達成が遅い時にサーチしたいカードなので1枚残留している。

これだけ能力土地が抜けるともはや土地単とは…呼べない気もするが、実は《世界樹》と《不詳な安息地》など能力土地はまだ10枚の採用である。
これだけ抜いても10枚もあるのか

■ 総括

星座型の土地単はファンデッキとしては十分に強い

が、 構造上アグロに非常に弱く、ミッドレンジがいない現在(2021年8月)のスタンダード環境では逆風が吹いている。

最初に考案した時に「ブレイクスルーがあれば環境デッキとやりあえそう」と思っていたのだが、《高貴なる行いの書》だけでは今一歩足りなかった形だ。
星座シナジーの強みを発揮するには環境が早過ぎて、盤面に関与しない行動が許されていないのが現状である。
今のアグロ環境に通用する土地単は星座型ではない

これ以上の土地単を作ろうとした場合、《ネシアンの放浪者》に頼らない新たな形を模索する必要があると感じた。

ただ、そろそろ9月になるということで、
それはつまり妹の日が近づいているということで、
そろそろ土地単の調整はできなくなってきた

とても気に入ったデッキだが、私の手ではこれ以上にはできなさそうだ。
それは実に残念ではあるが、完全オリジナルのスタンダードのデッキを初めて真剣に調整して、胸を張って対戦できるまで仕上げられたと思っている。

とはいえ、今後も隙あらば土地単をいじっていきたい。
次回なにやら土地単に向くPWもいるようだし。
よろしければ、今後も温かい目でスタンダード土地単を応援してほしい。

■ インポート用リスト

使い手がいるのかは知らないが、リストは以下。
注意点として、以前よりコンボ達成後に相手を倒せなくなっているため、

時間切れ勝ちを許容できるBO3プレイヤー以外の使用は推奨しない

どれだけTODが起きるのかは、戦績を参照してほしい。

デッキ
4 森林の地割れ (KHM) 274
1 スコフォスの迷宮 (THB) 243
1 タイライトの聖域 (KHM) 272
4 闇孔の小道 (KHM) 254
4 古き神々への拘束 (KHM) 206
4 イリーシア木立のドライアド (THB) 169
1 第1回イロアス競技会 (THB) 170
4 不詳の安息地 (KHM) 255
4 レンジャー・クラス (AFR) 202
3 インダサのトライオーム (IKO) 248
4 世界樹 (KHM) 275
2 冠雪の沼 (KHM) 281
1 ゼイゴスのトライオーム (IKO) 259
4 ネシアンの放浪者 (THB) 183
3 冠雪の森 (KHM) 284
1 ブロコスの神話 (IKO) 168
4 セテッサの勇者 (THB) 198
4 高貴なる行いの書 (AFR) 4
3 偉大なる存在の探索 (KHM) 177
2 世界樹への道 (KHM) 186
2 無情な行動 (IKO) 91

サイドボード
1 鎖を解かれしもの、ポルクラノス (THB) 224
4 レイ・オヴ・エンフィーブルメント (AFR) 116
2 死に至る霞 (M21) 118
2 消失の詩句 (STX) 244
2 強迫 (M21) 96
2 絶滅の契機 (IKO) 88
2 巻き添え (M21) 201

■ 直近の戦績

赤単ジャイアント ◯ コンボ決めたが粘られたので破壊不能7/6で詰め
業務用赤単 × 先手でも間に合わず。ドルイドクラスを抜いた弊害
UBローグ × 先手カニが居座ってLO。ライブラリ2枚の差だった。
BG骸骨 ◯ アド源着地後に骸骨エンチャ割ったら爆発された。
UBローグ ◯ 高貴書でカウンター釣ってミシュランを通して殴り勝ち
UBコン △ アショクで両者無敗へ。お互い回答なくBO1のため投了
黒単ハンデス ◯◯ 土地詰まりに動かず8ディスカードを幾度も待って勝ち
スゥルタイコン ◯◯ レンジャーとコンボ勝ち。キオーラは辛くも弾いた
青赤ドラゴン ×◯◯ パワキルが腐って負け、除去で釣ってコンボで勝ち